むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 舌磨きのすすめ

    先日、沖縄で有名な歯科医の宮城先生にお会いしていろいろ教えてもらいました。首コリをとることの重要性はとても納得でした。その時、先生が話された内容の一つが舌磨きの重要性です。歯磨きをするのは当たり前ですが、舌磨きはそこまで普通にはされていないと思います。実は、舌は肺炎の原因となる雑菌や胃潰瘍や胃がんの原因となるピロリ菌、あるいはカンジダのような真菌など、いろんな菌の温床となっています。お年寄りが誤嚥して肺炎を起こすのは有名ですが、実は食事が気道に入ってしまうことより寝ているときに唾液が気道に入って肺炎を起こす方が多いと考えられています。そこで、最近では誤嚥性肺炎という言い方を嚥下性肺炎に呼び替えています。その嚥下性肺炎の予防になるのが舌磨きです。

    やり方は特に難しくはありません。歯磨きをしたついでに歯ブラシで舌の表面を軽くブラッシングするだけです。舌を傷つけないようにそっと磨きましょう。なれないとオエッとくるので、軽く軽くです。私は通常電動歯ブラシを使っているのですが、これでは舌磨きはできません。強すぎます。薬局には舌磨き専用の道具が売ってありますが、それは必要ありません。講演で宮城先生がおすすめされていた歯ブラシはデンタルプロ・ブラックという商品です。それ一択でおすすめされていたのでどんなものかとおもい早速買ってみました。みかけただの黒い歯ブラシです。使ってみると本当によくできています。柄の握り心地もよく操作性がいい。ブラシの大きさや硬さもちょうどいい。100点です。わたしもこれで舌磨きを始めました。

    歯磨き粉をつけて舌を磨くかどうかと言う問題がありますが、それは必要ないです。刺激が強いと思います。塩や重曹でいいでしょう。私は殺菌作用と虫歯予防効果のあるConCoolジェルコートをつかって舌磨きをしています。とてもいいです。宮城先生はうがいせずに飲み込むこともできるスーパーフードのみで作った歯磨き粉を推奨されていましたが、これは高価。品物がいいのは間違いないですが、コンクールでいいと思います。リステリンなどの殺菌作用のある洗口液は刺激がとても強いので舌磨きには使わないほうがいいかなと思います。

    一の宮

  • めまいの漢方治療

    台風の接近で天気は下り坂ですが、夜も蒸し暑くて寝苦しかったですね。私はタイマーでエアコンを付けて寝たのですが、エアコンが切れると暑くて目が覚める。結局朝までずっとエアコンを入れていました。患者さんで、冷えるから腰にカイロを入れているという話を聞いて、人の感覚は十人十色だとつくづく思いました。

    最近、ダイエットの漢方を希望される患者さんがおおくなってきました。有名なのは防風通聖散という漢方ですが、これは下剤成分が入っており、便秘でない人が飲むとお腹が痛くなったり下痢して飲めなかったりします。そこで、下剤の入っていない処方を何パタンか準備しています。結局、下剤ありなしの判断でいくつかの組み合わせのパタンを変えながら処方することが多かったのですが、最近少しそのワンパタンの処方を改めることにしました。それは、気のめぐりが悪い人、血のめぐりが悪い人、水のめぐりが悪い人のパタン分けをしてそれぞれに、気のめぐりなら五積散あるいは茯苓飲合半夏厚朴湯、血のめぐりなら桂枝茯苓丸、水のめぐりなら防已黄耆湯あるいは越婢加朮湯という処方を用いてその人にあったダイエット処方に組み立てようという試みです。みんなに同じように処方する病名漢方よりは証を見て薬を選ぶ漢方本来の使い方のほうが治療成績がいいであろうことは自明のことです。

    もう一つ、最近多いのはめまいの患者さんです。季節柄かもしれません。台風が近づき、気圧の変化で頭痛やめまいがするという敏感体質の方もかなりおられます。この場合、五苓散や苓桂朮甘湯を用いることがほとんどです。めまいは内耳の水分過剰な状態です。一方、スマホやパソコン作業が長時間に渡ることで首肩が凝ってくるとめまいの原因となります。肩こりを葛根湯のような処方で治療したり、鍼灸やマッサージすることで改善するとめまいが軽くなります。もう一つは安定剤です。昔の先生はデパスのような安定剤を肩こりの治療に使っていた時代があります。緊張が取れることで肩こりもめまいも劇的に良くなることがあるのですが、この手の安定剤は何度も使うと習慣性が出て依存症になってしまうので最近ではめったに使いません。

    一の宮の亀の井ホテルから外輪山を望む

  • 朋あり遠方より来たる、また楽しからずや

    「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」論語の出だしの文章です。昨日も書きましたが20年ぶりに再開したモンゴルの先生と同時に、私がテキサスに留学してた頃に一緒に働いていた日本人が沢山熊本に集まってくれました。なつかしい面々。うれしいことこの上ないです。私がいたのはテキサス州のガルベストンという街です。ヒューストンから車で1時間ぐらいはなれた島でリゾートになっていました。熊本で言えば天草みたいなところ。そんな田舎に留学してたみんなが一同に集まって食事会なんて夢みたいです。みんなアメリカ生活が長かったので英語が話せます。当時同僚だった友達の近況をきいて、懐かしいことこの上ないです。アメリカにいた頃がありありと思い出されました。

    阿蘇で泊まったホテルで会議室を借りて、女子医大の教授になった友人がこれまでの30年の研究生活を振り返ったプレゼンをしてくれました。一緒に働いたフェロー(研究員)たちは今では宮崎大学の教授とか大分大学の教授とか日本医大の教授になっています。モンゴルの先生は私たちの留学先だった研究室の教授です。みんな偉くなりました。

    また、当時アメリカで研究(動物実験)していい成績だった医薬品(遺伝子組み換えアンチトロンビン)があるのですが、今日聞いた話では、その薬がアメリカで重症熱傷の患者さんの救命に臨床応用されたとのことです。アメリカにいた頃、私の研究でどれだけの命が救えるのだろうと思っていましたが、ついに臨床応用されたというニュースを聞いてとても嬉しかったです。基礎研究は直接患者さんを救うことはないのですが、こういった発見が臨床応用されると間接的に何万人という命を救うことになるので本当にやりがいがあります。

    モンゴルの先生(テキサス大学教授)ご夫妻と

  • モンゴルの先生と再会

    待ちに待ったモンゴルの先生との再会の日です。彼は20年以上前にモンゴルから熊本大学に留学してきた内科医でした。当時私は大学院生だったので、彼と一緒に毎日実験を繰り返し、論文も執筆しました。その後私はアメリカのテキサス大学へ留学したのですが、そちらのボスが研究員を募集すると言っていたので、熊本から彼を呼びました。そこで、熊本での研究生活の延長みたいにテキサスでも一緒に実験を続けたのです。私が2004年に日本に帰国した後、彼はそのまま頑張ってテキサスで研究生活を続け、ついには教授になったのです。この度、日本熱傷学会が彼を演者として招待したので、来日が実現しました。ちょうどコロナも明けてベストなタイミングでした。

    学会を主催する女子医大の教授は、私がテキサスに行った時入れ替わりで帰国されたのですが、縁あって交流がありました。その先生のご好意で、熊本まで足を運んでいただけたというわけです。土曜日、診療が終わってから阿蘇の一の宮にあるホテルまで駆けつけましたが、夕食会まで少し時間があったのでホテルの大浴場に行って露天風呂に浸かっていたら、なんと、そのモンゴルの先生と女子医大の教授が温泉にいました。20年ぶりの再会をまさか露天風呂でするとは思っていませんでした・・・。

    一の宮の宮地にある亀の井ホテル阿蘇というところにきています。ホテルの窓から根子岳が見えます。凄い眺めです。空気は綺麗で鳥のさえずりが聞こえます。忙しかった日々から喧騒を逃れて心も体もリフレッシュです。今から宴会に出かけます。20年ぶりなので何を話そうかと思っています。

    一の宮 亀の井ホテルより根子岳を望む

  • 忙しさは心をうしなう

    GW前後の忙しさが一段落して、最近はかなり落ち着いた診療になっています。カルテが山のようになったり、駐車場が満車になったりすると気持ちも焦って、一人にかけられる時間も最小限となり、ゆっくり考えられないので、とりあえず血圧の薬や眠剤など必要な分は全部出しておく、みたいな状態でした。ところが、今週くらいゆっくりなってくると、一人ひとりとじっくり話を聞いて、他に困っていることはないかとか、診療に関係ない雑談などしながら、患者さんの人柄や仕事の内容など詳しいことまで聞いて理解が深まります。忙しいという漢字は心をうしなう(亡)と書くように、本当に心がどこかに消えてしまって、機械的に動いてしまいます。忙しさのあまり体調を壊したり、気分の変調をきたしたりします。やはり忙しすぎるのは良くないことです。そういう私もGW前後で多忙のあまり心を失っていたような気がします。今日あたり、やっと心に潤いが戻ってきました。

    折しも、コロナが開けてどの業界も大忙しです。コロナ中にリストラを進めたところは、今忙しくなって求人を出しても全然集まりません。結局少人数でコロナ前の倍働いてクタクタ、というケースも多々見受けられます。今までの分を挽回しようとがむしゃらに働いている経営者の方も多いと思いますが、経営者と従業員は心の持ちようが違います。経営者はどれだけ忙しくても会社の存続がかかっているので必死ですが、従業員は忙しすぎるとやめてしまいます。今このタイミングで退職者が出たらただでさえ人手が足りないのに、会社はとんでもないことになります。

    そう考えると、今流行りの「持続可能な」会社経営ということについて考えると、(1)事業を縮小して無理なく働く、(2)外国人を雇ってでも事業を拡大する、(3)日本を飛び出して外国に進出する、ぐらいしかありません。最悪なのが、人員が足りないまま忙しさにかまけて気がついたら事業拡大してしまった、みたいな状況です。

    萌の里から俵山方面を見上げる