私は大学院のとき熊大病院の中央検査部にいました。たいていは大学院生は基礎の研究をするのですが、私は病院内の研究室で過ごしました。研究室の横の検査部には検査をする機械が所狭しと並んでおり、大学病院全体の採血などのサンプルが集まってきていました。ほとんどの検査機器は自動ロボットになっており、スピッツ(試験管)に貼り付けたバーコードを自動的に読み込んで検査項目が自動的に設定されて、ベルトコンベアの上を流れながらどんどん検査が進みます。検査技師さんたちはロボットができない難しい手作業の検査をやっているのですが、それ以外はもっぱらロボットのメンテナンスです。
そこで技師さんたちによく言われたのが、どんな高価なロボットでもしないといけないことは1つ。汚れたり詰まったりしやすい部分を毎日きちんと掃除すること、だそうです。血液は放っておくと固まってしまい、機械のチューブがつまったりすると大ごとです。そこで、定期的に洗浄液を流したり汚れを拭き取ったりすること。これに尽きるとのこと。言われてみればそうですよね。私たちの身近なところで例を挙げると、車検。車を定期的に点検することそのものよりも、車検でオイル交換したり汚れたところを掃除したり交換したりしてもらうことが車をいい状態に保つのには重要です。
そのことを人に当てはめて考えてみましょう。毎年人間ドックや検診を受けている人は多いと思いますが、それでメンテOKと思ったら大間違いです。もっと毎日しないといけないことがあります。それは、きちんと歯を磨く、口腔内をきれいにする、お風呂に入る、頭を洗う、水をたくさん飲む、便秘しないように気をつける、などです。体のメンテはきれいな洋服を着るとか、きれいに化粧するのが大事ではなく、もっと内側を磨く必要があるわけです。人に見せるためではありません。全ては自分のためです。