むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • Office365が大幅値上げ

    ネットでニュースを見ていたところ、マイクロソフトのオフィス365が大幅値上げされるとのこと。これからは毎年、何万円もの使用料を支払う必要が出てきそうです。サブスク型にはこうしたリスクがあるため、当院ではサブスク型ではなく買取型のオフィスを全パソコンに導入しています。日常業務ではGoogleスプレッドシートを使うため、エクセルを使用する機会はほとんどありません。ただし、パワーポイントだけは他のソフトに置き換えるのが難しいのが現状です。特に学会発表では、PowerPoint形式がほぼ標準となっているため、他のソフトでは互換性の問題でスライドが崩れてしまうリスクがあります。このような事情もあり、パワーポイントだけは依然として必要不可欠なツールだと感じています。

    一方で、WPSオフィスという格安ソフトも存在しています。私は自宅で複数台のパソコンを使用しているため、コストパフォーマンスの良いWPSを導入していますが、ほとんど互換性に問題はありません。ただし、厚労省から送られてくるエクセル調査ファイルなど、複雑な計算式が埋め込まれたものにどの程度対応できるかは試したことがないため、引き続き検討が必要だと感じています。また、厚労省のファイルがMacで開くとエラーになるケースもあり、このような問題は改善されるべきだと思います。

    話題は変わりますが、今日は福岡で漢方の講演が予定されていました。あちらに出向く予定だったのですが、急な都合で自宅からWEB配信での講演に変更することになりました。運営を担当されている方々には急なお願いをしてしまい申し訳なかったですが、ZOOMのようなツールの発達により、出張せずに仕事ができる利便性を改めて実感しました。

  • コロナ後遺症の治療

    明日は福岡で漢方の講演をする予定です。タイトルは「Long COVIDの中西医結合治療」というものです。Long COVIDとは、いわゆるコロナ後遺症のことです。当院はコロナが5類になった時から積極的にコロナ後遺症の患者さんの治療に取り組んでいます。

    多くの患者さんがコロナ感染後に倦怠感、長引く咳、めまい、動悸などに悩まされていました。かかりつけ医で相談しても対症療法的な対応や、場合によっては「治療法がないから経過観察」とされることが一般的でした。厚労省のコロナ後遺症治療ガイドラインでも、検査で異常がない場合には経過観察や専門医への紹介が推奨されていますが、その専門医が必ずしもコロナ後遺症に詳しいわけではなく、多くの患者さんがたらい回しにされている状況でした。

    私は漢方で治療すれば多くの症状が改善できるという手応えを得たため、当院のホームページや保健所を通じて「コロナ後遺症外来を実施します」と宣言しました。

    その結果、これまでにおそらく1,000名を超える患者さんが来院されました。漢方治療の結果、8割以上の患者さんが改善を見せましたが、やはりどんなに工夫しても改善しないケースも少なからずあります。しかし、初診時に車椅子で寝たきりに近かった患者さんが動けるようになり、仕事に復帰できた例もあり、治療に取り組んできた甲斐を感じています。今日は、匂いが分からないという患者さんが、漢方治療を続けた結果、8か月かけて匂いを正常に感じられるようになったという報告を受け、非常に嬉しい気持ちになりました。

    明日の講演でお話しする「中西医結合」というのは、中医学(漢方)と西洋医学の併用療法を指します。一方に偏ることなく、効果が期待できる治療法を洋の東西を問わず取り入れるアプローチです。

    現在では、多くの患者さんを診療して治療経験を積んだ結果、効率的に改善を目指す治療ができるようになりました。しかし、当初は試行錯誤の連続でした。過去のカルテを見返しながらスライドを作成していると、当時は非常に悩みながら治療を進めていたことを思い出します。

    医療は理論だけでなく、実際の臨床経験を通じて新たな治療法を模索することが重要だと改めて実感しています。コロナ後遺症という未知の病態に対する治療は遠回りも多かったですが、その経験があったからこそ現在の自分があると感じています。

    https://www.youtube.com/watch?v=M7z-PLe_RNU

    ノーランズのリンダ・ノーランがなくなったとの訃報を聞き、とても残念です。この曲を久しぶりに聞いたら青春時代がまぶたに浮かびました

  • 体にいいこと、わるいこと

    日曜日はクリニックのワックス清掃があったため、夕方まで院内に待機していました。2ヶ月ごとに清掃が入るので、毎回この日は帳簿整理にあてています。ちょうど先月開催した東洋医学会の会計報告書もまとめる必要があったので、仕上げの作業をすることができました。あとはコピーを取って本部に送るだけです。

    今回の学会は、ほとんど私の個人的なパソコンやクリニックの備品を活用した「手作りの学会」だったため、驚くほど費用を抑えることができました。しかし、困ったことに予算がだいぶ余ってしまい、その処理方法に頭を悩ませています。このまま決算を学会に報告すると、本部に全額吸収される可能性があります。できれば熊本の漢方界の発展に役立つ形で活用できないかと考えていますが、今さら適切な使い道を提案するのも難しい状況です。

    会計の作業を進めながら、WEB講演会にも参加して勉強しました。その中で特に印象に残ったのは、体を老化させる要因として「酸化」「糖化」「アルデヒド化」の3つが挙げられていたことです。

    体を老化させ、病気を引き起こす3つの要因
    1. 酸化
    酸化LDL(酸化したコレステロール)が動脈硬化を引き起こすことが知られています。興味深いことに、酸化する前のLDLは体にとって重要な物質であり、問題なのは「酸化すること」です。この現象はよく「体が錆びる」と例えられます。
    対策としては、抗酸化物質を多く含む食品(緑黄色野菜、魚油、アマニ油など)を摂取することが有効とされています。

    2. 糖化
    糖化は、過剰な糖質(高血糖)が体内のタンパク質と結合し、タンパク質を変性させる現象です。この影響は老化や病気の進行につながります。料理では、食品を高温で焼いたり揚げたりすると糖化が進みます。これが、焼き目や香ばしさを伴う美味しさの元になるため、「美味しいものほど体に危険」と言われる理由です。
    対策としては、血糖値の急上昇を抑える食事法(低糖質食、玄米菜食、高タンパク食など)が推奨されています。

    3. アルデヒド化
    アルデヒドは、体の蛋白質や脂質に結合し、これらを変性させる物質です。アルデヒドはお酒の代謝過程で産生されることで知られていますが、タバコの煙にも含まれており、特に電子タバコには添加されている場合があるため注意が必要です。
    対策としては、お酒やタバコを控えることが重要です。

    このように、体を老化させる3つの要因(酸化、糖化、アルデヒド化)は、健康管理の上で見逃せないポイントです。対策として摂るべき食材、避けるべき食材としてあげたものは、どれもすでに知られていることですが、科学的背景が明らかになってきたことで、より説得力を感じました。

  • 頭痛の講演会でした

    毎日のようにWEBで講演会があります。心不全、腎不全、糖尿病、漢方などがテーマだと、できる限り聞いて勉強するようにしています。今日は「頭痛」をテーマにした講演会に参加しました。頭痛は患者さんが非常に多い疾患で、専門的に診療する頭痛クリニックもあるほどです。当院では漢方を専門としているため、通常の頭痛薬が効かない、あるいは頭痛薬の飲み過ぎで体調が悪化してしまったという相談を受けることが多くあります。今回の講演では、頭痛をきちんと分類し、疾患ごとに対策を考えることの重要性や、薬物治療だけでなく、生活習慣(食事や運動など)の見直しが必要だという点について学ぶことができました。また、私が取り組んでいる分子栄養学とも関連が深く、慢性頭痛にも栄養学的なアプローチが大切であると再認識しました。

    片頭痛体質の女性では、生理前や雨の降る前に頭痛が悪化すると訴える方が多くいます。最近では「気象病」や「天気頭痛」とも呼ばれていますが、基本的には片頭痛であることが多いようです。また、音や光に敏感で頭痛やめまいが生じる人も多く、これも片頭痛に分類されます。このような感覚過敏型の片頭痛患者には、私は抑肝散加陳皮半夏を処方することが多いです。これは体質改善を目的とした漢方薬で、鎮痛効果ではなく根本的な改善を目指しています。

    また、鎮痛剤の常用により、頭痛が悪化する「薬物乱用型頭痛」という病態も存在します。これは鎮痛剤を服用することで次の頭痛が誘発されるという負のスパイラルが特徴です。抑肝散加陳皮半夏は、この悪循環を断ち切る働きがあり、服用を続けることで次第に鎮痛剤が不要になり、薬物乱用から脱却できるケースが多くあります。当院でも多くの患者さんに使用し、良好な結果を得ています。鎮痛剤を過剰に使用すると、胃潰瘍や腎不全など重大な健康被害を引き起こすリスクがありますので、頭痛予防策をしっかり立てることが重要です。

  • 無事学会が終了しました

    微に入り細に入り学会の準備をして5ヶ月、ついに本番でした。演題募集、プログラム作成、学会ホームページ作成、会場設営の打ち合わせ、領収書の印刷などなど上げればきりがありません。ずっとこのことばかりを考えつつ仕事をしていたので、頭が休まる暇がありませんでした。昨日は友達から電話があり、ちょうどバスに乗っていたので、後でかけ直す、と言ったのに今日電話がかかってくるまで忘れていました。というより、今日電話がかかって、「やあ、ひさしぶり、どうした?」と昨日のことを全く忘れていました。気もそぞろというのはこういう事を言うのでしょう。仕事中はそぞろにならないように一切学会のことを考えないようにしていましたが、さすがに昨日今日は学会のことしか頭にありませんでした。

    おかげさまで、約100名の参加者を迎え、つつがなく盛会に終了できました。非常に盛りだくさんのプログラムだったので、聞いている人は楽しめたと思います。私は時計とにらめっこしながら、進行が数分遅れているだけで気が気でなく、全く楽しめるどころではありませんでした。裏方というのはこういうものでしょう。今回はたくさんの友人達に助けてもらったおかげで思った通りの進行が出来ました。助けてくれた皆さんにも、この場を借りてお礼を申し上げます。

    コロナ禍で学会はこの4-5年はWEB開催が多く、久しぶりに県外の多くの仲間とあって話すことが出来ました。とくに飯塚病院は漢方診療科があり、定期的にWEB講演会を開催してくれているため私も毎回楽しみに参加しています。そんなWEBでしか会えないみなさんとリアルにお会いすると、私にとってはアイドルなみにあえて嬉しいものです。今回の学会では私の声掛けに応じて随分手助けしていただきました。来年は福岡で開催される予定なので、いただいた恩を返せるようになにかしら貢献できたらと思います。