お盆が明けてからも、残暑の厳しい毎日が続いています。昼の一番暑い時間帯に訪問診療に出かけると、太陽の光はギラギラと照りつけ、車の冷房もなかなか効きません。去年の夏も相当暑かった覚えがありますが、今年の夏はさらに暑いような気がします。
屋外で仕事をされている方は、普通の人より暑さに慣れているとはいえ、今年の夏はかなり厳しいようです。ちょっと油断すると、手足の筋肉が痙攣して動けなくなったり、強い倦怠感が出たりする方もおられ、毎日のようにそういった相談を受けています。皆さん、水分補給には気をつけているようですが、いくら水分を取っても、体温を超えるような気温の中で作業するというのは、それだけで非常に過酷な環境です。場合によっては、熱中症から臓器障害につながってもおかしくないレベルだと思います。
十分な水分や塩分を補給することが重要なのは間違いありません。しかし、それに加えて大切なのは、時間を決めて涼しいところで休息を取ることだと思います。まだまだ暑い日が続きますので、屋外で作業される方には、くれぐれも油断しないようにしていただきたいと思います。
私は先月からスポーツジムを変えて、快適に運動できています。エアコンの効いた部屋で筋トレをしたり、ランニングをしたりできますので、外が暑くても定期的な運動を続けることができます。しかし、道や公園をウォーキングすることを運動習慣にしている方にとっては、ちょっと厳しい毎日だと思います。日が暮れてしばらくすると多少は涼しくなりますが、まだまだ蒸し暑く、あまり運動する気にもならないのではないでしょうか。
私は毎朝5時頃に起きて、まだ暗いうちにゴンと一緒に少しだけ散歩をします。この時間帯なら、日中に比べると少し涼しいなと感じます。ただ、そんなに朝早く起きて散歩する人は、そう多くはないでしょう。私がクリニックに出勤して、朝7時頃に玄関前の植え込みに水を撒いたりするのですが、もうその時点で30度を超えるような暑さになっています。これでは、日中に屋外で運動することには、かなり危険を感じます。
さて、今日は診療の後、ウェブ講演会に参加しました。テーマは、震災後に起こる体調不良や精神的なストレスに対して、漢方薬がどのように役立つかという内容でした。
講演をされたのは東北大学の高山先生です。高山先生は、東日本大震災の後、多くの患者さんに対して漢方薬を用いた治療を行い、非常に効果があったというお話をされました。今回の講演は、熊本地震の被災地で役立つようにという趣旨で緊急企画されたものです。非常にタイムリーな話題で、有益な講演でした。
ただ、少し気になった点もありました。東日本大震災が発生したのは3月で、まだ非常に寒い時期でした。一方、今回の熊本地震は、真夏の猛暑の中での対応となっています。漢方医学では、同じような症状であっても、季節や患者さんの寒熱虚実などによって、適切な処方は変わってきます。
したがって、東日本大震災の際に有効だった漢方薬を、そのまま現在の熊本地震の被災者に当てはめればよいというわけではありません。特に漢方に慣れていない方が講演内容をそのまま受け取って、「震災後にはこの処方」というように機械的に処方してしまうのは注意が必要です。その時の季節や気候、避難生活による身体的な負担、患者さんの体質や症状を総合的に判断して、処方を選択することが大切だと思います。
また、講演では、鍼灸治療が患者さんの痛みやストレスに対して有効だったというお話もありました。国際的には、災害救助の医療班に鍼灸チームが派遣されることも珍しくありません。鍼灸には、災害現場においていくつかの大きなメリットがあります。まず、基本的には鍼などの必要な道具があれば、医薬品を使わずに治療を行うことができます。また、避難所などの狭く窮屈な空間で長期間生活していると、肩こりや腰痛、足腰の不調などを訴える方が増えてきます。こうした身体的な不調に対して、鍼灸治療は活躍する場面が多いと思います。
さらに、必ずしも鍼を刺す必要はありません。肩を揉んだり、腰をさすったり、体をほぐしてあげるだけでも、患者さんにとっては大きな癒しになります。災害時には、病気を治療するだけでなく、被災された方の心と体の疲れを少しでも軽くすることが重要です。その意味では、医師や看護師などによる医療チームだけでなく、鍼灸師やマッサージなどの専門家に現場に入ってもらうことには、大きな意義があると思います。
今回の熊本地震でも、そろそろ避難所生活による疲労がかなり蓄積してくる時期に入っています。暑さによる身体的な負担に加えて、住み慣れた自宅を離れて生活するストレス、睡眠不足、運動不足、将来への不安など、さまざまな負担が重なってきます。こうした時期だからこそ、被災された方の心のケアだけでなく、体の疲れや痛みに対するサポートもしっかりと行っていく必要があります。漢方や鍼灸を含め、さまざまな医療やケアの力を上手に組み合わせながら、被災された方々を支える体制を、早急に整えてもらいたいと思います。



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