むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 出血傾向を治すサプリ

    世間はいよいよGW入りですね。当院は連休前に薬を補充しようという患者さんも多く、連日相当忙しいです。27日(土)は通常通り午前中の診療をしますので、連休中薬が切れないように早めに補充しておいてください。

    今日は電気料金の案内が来たので確かめたところ、前年同月比−70%でした。すごいですね。ソーラーパワーです。朝の8時過ぎにはすでに院内で使用する電気量を超えるソーラー発電のため、売電が始まっています。ちょうどこの季節はエアコンをほとんど付けないで過ごせる快適な日々なので、発電した電気はわずかな自家消費を差し引いて残りは全部売電にまわっています。往診用の電気自動車さくらにも充電できて、太陽さまさまです。

    私は循環器が専門ですが、循環器内科に入る前は血液内科で研修をしました。大学院でも貧血とか出血傾向などについて研究していました。今日来た患者さんで、鉄剤を飲まないと生理の出血量が多くてすぐ貧血になってしまうと言われる方がいました。鉄剤もいろいろな種類があります。通常の鉄剤は胃腸障害で飲めないという人には、副作用の少ないリオナという鉄剤を使います。また、リオナも飲めなかったという場合、注射製剤があります。通常鉄の注射は10回とか20回とか打たないといけないのですが、当院では1回の点滴で半年ぐらい効果がある製剤を使っています。それだと年に2回くらい点滴するだけで貧血治療ができます。すごい朗報だと思います。

    今日の患者さんにはもう一つオトクな情報をレクチャーしました。生理の出血量を抑えるサプリです。おすすめはコラーゲンパウダーとビタミンCの併用です。これらを日常的に摂取すると血管が強くなり、止血能力が高まります。そうすることで鉄剤を飲まなくても貧血にならない体を作ることができます。当院で前に経験した症例では、子宮筋腫で手術したほうがいいレベルだけど年齢的に閉経間近だから手術しないで様子を見ようと言われた患者さんがいて、毎月かなり出血していたそうですが、コラーゲンとビタミンCを勧めたところ、コントロールがうまくいきました。似たようなことで困っているようなら具体的に教えますので、診察の際にお尋ねください。

  • 眠れないときの処方あれこれ

    眠れないので漢方がほしいと来院される方がたくさんおられます。睡眠薬に頼らず眠りたいという気持ちはわかります。サプリや健康食品でも不眠に効くというものはよく売れています。ヤクルト1000もなかなか手に入らない状態が続いています。実際漢方薬でどのくらい眠れるかというと、通常睡眠薬を飲んでいない人で、何かをきっかけに眠れなくなったという場合なら効くかもしれません。しかし、マイスリー(ゾルピデム)などの眠剤を使っている人が、漢方に変えられないかと言われても、それはハードルが高く、気軽に「できます」とは言えません。

    漢方は睡眠薬のように眠れない人に出せば眠れるというほどシンプルではありません。その人ごとに眠れなくなった背景が違うので、それを考慮しながら処方を決めます。例えば職場の異動とか人間関係のストレスで寝ようとしたらいろいろ仕事のことを思い出して眠れないというもの。これは抑肝散加陳皮半夏を用います。親の介護などで疲れすぎて眠れなくなったという場合は、柴胡桂枝乾姜湯がよく効きます。眠れるだけでなく疲れも取れる処方です。子供などが明日遠足だ!とはしゃいで眠れないような場合は、黄連解毒湯がいいでしょう。寝ようとするとなぜかドキドキと心臓が強く打って動悸が気になって眠れないという場合は柴胡加竜骨牡蛎湯がよく効きます。熊本地震の際にいつまでも余震がつづいて、寝たら逃げ遅れるんじゃないかと不安でしかたなくて眠れない、みたいな場合は加味帰脾湯がよく効きました。この様に、背景別に薬を使い分けます。したがって、診察の際にはなぜ眠れないのかということを聞き出すことが私の仕事になります。その情報さえ正確に得られれば適切な処方をすることができます。

    実は、漢方だけでなく、西洋薬も不眠の状態によって薬を使い分けます。不安が強いときは抗うつ剤がいいし、何の不安もストレスもなくただ寝つきが悪い場合睡眠導入剤を使います。寝つきはいいけど中途覚醒する場合は作用時間が長めの睡眠薬を使います。時々、自分はデパスとかソラナックスが一番あっている、それがあれば熟睡できて目覚めもいい、と言われることがありますが、当院では断固そのような人にそういった安定剤を処方する事はありません。それでないと眠れないという場合は精神科に紹介しています。

  • めまいの原因はいろいろある

    今年は雨が多いですね。本来ならこの季節は冷房も暖房もいらない快適な時期なのですが、スッキリしない天気が続きます。そんな中、今日は診療のあとに漢方の講演会でした。テーマは「めまい」。こういった雨の多い時期はめまいやふらつきが多くなります。通常は梅雨時に増えるのですが今年は早くもいまごろめまいの方が来られます。めまいにはいろいろな原因があります。多いのは頭位めまいと言って、内耳の三半規管に耳石がひっかかったときに起こるもの。これはめまい体操をすると改善することがあるので、自力で治せるめまいです。めまい体操はYouTubeで見ることができるので、それを参考に真似してやっていただければ良いと思います。ただ、頭を動かすとめまいがするのに、頭を動かす体操ですから、ちょっと我慢が必要です。めまいがひどすぎるときは、とりあえず安静にして落ち着くのを待ったほうがいいと思います。

    その他家庭でチェックしてほしいのは血圧や脈拍です。低血圧でめまいがすることは多いです。若い女性などで通常から血圧低めで、何かの原因が重なってさらに低血圧になるとふらつくことがあります。貧血があると更に症状は悪化します。脈拍は通常1分間に60−70前後ですが、50を切るようならなにか異常があるかもしれません。トイレで力んだり排尿後に急に徐脈になることがあります。迷走神経反射といいます。これでふらつくときは、静かに横になっていると回復することが多いので慌てないでいただきたいと思います。逆にいつも以上に血圧が上がっているときも頭痛や目まいがすることがあります。血圧の薬を飲み忘れたとか、なにか理由がわかれば対処していただくと良いと思います。

    ストレスでめまいがすることもあります。メニエール症候群といい、繰り返しひどいめまいを起こす事が多いです。更年期で自律神経の乱れが起こりめまいがすることもあります。その他には、スーパーの陳列棚にたくさん商品が並んでいるのを見たり人混みなどでめまいがすることがあります。肩こり、首コリでもめまいが起こります。高齢者では、めまいじゃないけど歩くときに真っすぐ歩けずふらつくという場合があります。このようにいろいろな原因からめまいが起こっってきますので、一言にめまいに効く薬(漢方)はないかと言われても、その背景を考えないと適切な薬は選べません。

  • コロナが5類になって1年

    あっという間に4月も終わろうとしています。来週からはゴールデンウィークとなりますね。当院の診療はカレンダー通りとなります。4月30日、5月1,2日は通常通りです。幸い、最近はコロナやインフルエンザが減ってきており、連休後にまた急増する心配はないように思います。そういえば、新型コロナが5類に変更になったのがちょうど去年のGW明けからでしたね。あれから私達の生活も一気に変わりました。とても忙しくて慌ただしい1年でした。思い返すと遠い過去のような気がします。みんながマスクを外して街を歩けるようになったし、旅行も行ける、宴会もできる、自由というのは本当にありがたいものだと実感しました。この頃まで、ほとんど外出はせず、するときもマスクは2重にして、ゴム手袋をする、みたいな人がいましたが、さすがにそういう人も見なくなりました。家にこもりっきりで筋力低下(フレイル)とか、認知機能低下とか、抑うつ気味になった人も大勢いました。そういう2次被害的なものもだいぶ減ったと思います。

    家に引きこもると鬱になりやすいのはなんとなくイメージできると思います。ここで大事なのは、朝きちんと起きること、朝ご飯を食べること、朝日を浴びること、長い昼寝をしないこと、運動すること、などです。どれも引きこもりの人がちゃんとできていないことです。朝起きて朝日を浴びると目から入った光刺激で10数時間後に脳内でメラトニンという睡眠ホルモンが出てきて夜眠くなるリズムができます。また光刺激でセロトニンという気分を安定させる脳内ホルモンが増えてきます。メラトニンやセロトニンは光刺激も必要ですが、栄養素、特にタンパク質がその材料となりますから、肉や魚、卵などを食べる必要があります。ナッツ類も良いと言われています。また、そういった蛋白質をセロトニンやメラトニンに変換するためにビタミンB(特にナイアシン)やビタミンD、亜鉛、マグネシウム、鉄などのビタミン・ミネラルを必要とします。

    うつになりやすい人はそういった栄養をきちんと取っていない事が多いのは、診察中に聞いてみると明らかです。仕事が忙しくて朝昼ろくに食べない、コンビニのおにぎりとか菓子パンで済ます、夫や子供にご飯や弁当を作るが自分は余り物をつまむ程度しか食べない、などなど、カロリーは足りても栄養(ビタミン、ミネラル、蛋白など)が全然足りていない。新型の栄養失調です。

     

  • ツムラのはんこ(懐かしい思い出)

    先日から話題の生活習慣病療養計画書という書類を患者さんごとにプリントして説明し、サインを頂くという一連の作業をやってみました。一日を通して生活習慣病に関連する患者さん全てに書類を作成してサインを頂きました。多少の時間をとるもののなんとか診療時間内にできることを確認することができました。細かい詰めはまだこれから必要だと思いますが、一旦はこの方法で大丈夫だと確認できてホッとしました。今回の国の大きな方向転換についていけないクリニックは淘汰されていくことになると思います。こういうときに頼りになるのは相談できる友人です。特に同業の友人は同じ悩みで対策を考えているので、良いヒントがあります。私たち昭和生まれは、友人たちと定期的に飲みにいったりする世代なので情報交換もそういう会に参加すれば簡単です。若い世代になると、オンラインでZOOMとかチャットになると思いますが、そちらは時間と空間の壁がない分広くつながれる一方で、どこまで本音を引き出せるかがポイントになるかと思います。

    今日は診療が終わったあと、保険医協会の主催で診療報酬改定の説明会がオンラインでありました。これも上に書いた生活習慣病の話がメインでした。話を聞いていて驚いたのは、紙カルテにはんこを押して療養計画書を作る方法をレクチャーされていた点です。今どき紙カルテで・・。はんこを作って療養計画書を作る前に電子カルテを導入しないと、と思いますが、はんこは数千円、電子カルテは数百万ですからさすがに同じ土俵で話はできないのでしょう。

    はんこといえば、昔の診療所の診察机にはツムラの漢方の処方名が入ったはんこが100個以上並んでいたのを思い出します。カルテに漢字で葛根湯などと書くのに手間だからという理由です。なかには当帰四逆加呉茱萸生姜湯という長くて難しい名前もあるのでさすがにはんこがほしいのはわかります。電子カルテの時代になり、あのはんこは姿を消しました。私は電子カルテ用のパソコンにユーザー辞書登録をしているので「とうき」と打ち込むと「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」が出てくるようにしています。