わりと暇だった4月も、残すところあと1週間となりました。来週にはGWも始まります。
今週は連休中に薬が切れないよう、早めに来院される方が多く、徐々にいつもの忙しさが戻ってきました。季節の変化で風邪の患者さんも相変わらず多く、咳が長引いて胸が痛くなったり、だるさが取れないと訴える方も目立っています。それでも、コロナ後遺症に比べれば、治療にはそれほど苦労しません。多くの咳の患者さんは、感染後咳嗽(かんせんごがいそう)と呼ばれる状態で、病態としては咳喘息に移行している方が多く見られます。このため、通常の咳止めではなかなか改善せず、喘息治療用の吸入薬を使用して治療しています。
もともと花粉症がある方は、風邪をひくと鼻炎症状がさらに悪化し、こじらせると副鼻腔炎を起こします。耳鼻科ではレントゲンやCTを用いて診断することが多いですが、臨床的には、頬や眉間あたりが重く痛む、ジャンプするとその部分に痛みが響くといった症状があれば、副鼻腔炎を疑います。当院では、抗ヒスタミン剤(アレグラ)、去痰剤(ムコダイン)に加えて、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)を使用して治療しています。慢性化して治りにくいケースでも、こうした組み合わせが非常に有効です。
昨日は、漢方薬についての講演を行いました。今日、参加者の方から「ここが面白かった」という感想をいただきました。それは、薬剤耐性菌に対する治療戦略についてです。
通常、薬剤耐性菌が出現すると、さらに強力な抗生剤を使用することになります。しかし、これを繰り返すと、菌はますます耐性を強め、どんな薬も効かない状況に陥ります。
抗生剤開発ばかりに目が行きがちですが、実は別のアプローチもあります。それは、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)といった補剤を使って、体の免疫力を高める方法です。免疫力が上がれば、感染した菌が自然に消失することもあるのです。
抗生剤で戦うのではなく、漢方で身体の免疫力を引き上げるという新たな戦略を紹介したところ、「とても面白かった」という感想をいただきました。こうしたフィードバックは、本当に励みになります。