昨日のブログでは、「酸化が体の不調や老化の原因になりうるため、抗酸化物質をいろいろバランスよく摂取することが大切です」という話を書きました。実は、細胞の機能が低下する原因にはもう一つ大きなものがあります。それが「糖化(とうか)」です。
糖化とは、体のタンパク質などが高血糖の状態にさらされ、糖と結びついて変性してしまう現象です。つまり、血糖値が高い状態が続くと、体の構造自体が傷んでいくということです。
糖尿病の人は、この糖化が進みやすくなります。
病院で糖尿病のコントロール状態を調べるときに使われる「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」という検査があります。
これは、血液中の赤血球に含まれるタンパク質「ヘモグロビン」に、糖がどの程度くっついて変化しているか(=糖化しているか)を示す数値です。
HbA1cが高いということは、血糖コントロールがうまくいっていないという意味であると同時に、体内で糖化が進んでいるサインでもあります。つまり、細胞機能の低下や老化と直結している指標ともいえるのです。
健診などでは通常、空腹時血糖値を測定します。
これは、前日の夕食後に何も食べていない状態の血糖を測るものですが、ここが正常でも、「食後高血糖」という隠れた異常がある人もいます。
食後に血糖値が急上昇し、また急降下するタイプです。
こうしたケースではHbA1cの数値が一見それほど高くなく、見逃されることもあります。
しかし、血糖の乱高下は血管に大きなダメージを与え、動脈硬化や心血管疾患のリスクを高めることが分かっています。
また、骨の健康についても意外な事実があります。
「骨はカルシウムでできている」と思っている方が多いかもしれませんが、実際には、カルシウムとコラーゲン(タンパク質)の複合体でできています。
このコラーゲンが糖化すると、骨のしなやかさが失われ、もろくなってしまいます。つまり、糖化が進むと骨折のリスクが高まるということです。
同様に、皮膚のコラーゲンが糖化すれば、肌のハリや弾力が失われ、見た目年齢の老化が進行します。
糖化は酸化と違って、HbA1cなどの数値からある程度の評価が可能です。健診で「血糖値がやや高め」「HbA1cが基準より高い」と指摘された方は、どうかそれを軽く考えず、食事や運動療法を継続するか、必要な場合には薬でのコントロールをしっかり行ってください。
「糖化の予防」は、まさに老化の予防につながります。
体の中から若さを保つためにも、血糖のコントロールはとても大切なのです。