むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方の研修

    今月から、漢方を勉強したいという女医さんが週1回私の診察を見学されています。当院は日本東洋医学会の研修指定施設になっているため、漢方を勉強して専門医を目指す場合、当院で実績を積まないといけないことになっています。熊本県内ではもう一箇所熊本赤十字病院の総合内科でも漢方の研修を受けることができます。診察時には私の後ろから診察風景を見学して、私が決めた処方を見てその処方に至る考え方のプロセスを後で考察する、という勉強となります。患者さん方はどうぞ気にされないようにお願いします。漢方に関しては勉強中の先生ですが、内科としてはすでにベテランの方なので、よろしくお願いします。

    私も実は20年ぐらい前に師匠の先生の陪席について、その先生の外来を毎週見学して技術を見て盗むという昔風職人の育て方で勉強したことがあります。それは鍼治療です。当時御幸病院で針の外来をされていた長尾先生に直々に頼んで見学させてもらいました。長尾先生は熊本弁で冗談を言いながら患者さんの診察をして、病態を確かめたら、ベッドに寝かせて針を打たれていました。私が見学に行くと、半身だけ針を打って、反対側は私に打つようにと残りの針をくれました。私はそれこそ見様見真似で長尾先生が打った針の場所と角度と深さを左右対称な位置に正確に打つ練習をしました。

    そうこうしているうちに、寸分たぐわぬ左右対称の位置に打とうとして左手で探っていると、そこはつぼでないとわかる時がありました。そう、人の体は人形ではないので左右対称ではないのです。特に腰痛や肩こりなど問題がある人の場合、骨盤が歪んでいる影響で背骨も曲がっており、左右対称の位置にツボがあるとは限らないのです。これに気がついたとき、私は独立して一人で針が打てるようになったのです。長尾先生は一昨年亡くなられました。私の漢方の師匠である牟田先生もだいぶ前に亡くなられたので、今となっては私が後進を育てる番になりました。