むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • めまいの漢方治療

    台風の接近で天気は下り坂ですが、夜も蒸し暑くて寝苦しかったですね。私はタイマーでエアコンを付けて寝たのですが、エアコンが切れると暑くて目が覚める。結局朝までずっとエアコンを入れていました。患者さんで、冷えるから腰にカイロを入れているという話を聞いて、人の感覚は十人十色だとつくづく思いました。

    最近、ダイエットの漢方を希望される患者さんがおおくなってきました。有名なのは防風通聖散という漢方ですが、これは下剤成分が入っており、便秘でない人が飲むとお腹が痛くなったり下痢して飲めなかったりします。そこで、下剤の入っていない処方を何パタンか準備しています。結局、下剤ありなしの判断でいくつかの組み合わせのパタンを変えながら処方することが多かったのですが、最近少しそのワンパタンの処方を改めることにしました。それは、気のめぐりが悪い人、血のめぐりが悪い人、水のめぐりが悪い人のパタン分けをしてそれぞれに、気のめぐりなら五積散あるいは茯苓飲合半夏厚朴湯、血のめぐりなら桂枝茯苓丸、水のめぐりなら防已黄耆湯あるいは越婢加朮湯という処方を用いてその人にあったダイエット処方に組み立てようという試みです。みんなに同じように処方する病名漢方よりは証を見て薬を選ぶ漢方本来の使い方のほうが治療成績がいいであろうことは自明のことです。

    もう一つ、最近多いのはめまいの患者さんです。季節柄かもしれません。台風が近づき、気圧の変化で頭痛やめまいがするという敏感体質の方もかなりおられます。この場合、五苓散や苓桂朮甘湯を用いることがほとんどです。めまいは内耳の水分過剰な状態です。一方、スマホやパソコン作業が長時間に渡ることで首肩が凝ってくるとめまいの原因となります。肩こりを葛根湯のような処方で治療したり、鍼灸やマッサージすることで改善するとめまいが軽くなります。もう一つは安定剤です。昔の先生はデパスのような安定剤を肩こりの治療に使っていた時代があります。緊張が取れることで肩こりもめまいも劇的に良くなることがあるのですが、この手の安定剤は何度も使うと習慣性が出て依存症になってしまうので最近ではめったに使いません。

    一の宮の亀の井ホテルから外輪山を望む

  • 人に尽くすことvs自分のやりたいことをする

    今日は昼休みに北区の清田産婦人科の院長先生から電話があり、今晩時間ある?と聞かれました。なにかと思ったら、産婦人科漢方勉強会がホテル日航であるから、よければ出席して、とのこと。7時に間に合うにはかなり急がないといけないのですが、診療後車で直行したらぎりぎり間に合いました。講演は名古屋大学の産婦人科の教授で、座長は熊本大学に新たに就任された産婦人科の教授でした。私は、前産婦人科教授の片渕先生とは大学の部活が同じで、片渕大先輩と慕っていたのですが、今度の教授は随分若い感じでした。最近の大学教授はことごとく自分より年下です。昔は大学教授といえば、恐れ多く近寄りがかかったですが、自分のほうが年上になってしまうと変な気分です。

    さて、心療内科をしていると、心を病んでいる人に多いのが、人からどんなふうに見られているかばかりが気になり不安、周りによく思われたい、という心優しい人。例えば新婚のお嫁さんで、お姑さんから悪く思われたくない(よくできた嫁だと思われたい)から家事も育児も精一杯頑張る。だけどもう限界、と体を壊して来院されます。繊細な人ほど周りからの評価を気にします。反対に、憎まれっ子世に憚る、といいますが、マイペースで周りの人を巻き込みながら大騒動する人は、他人からの評価など全く気にしません。この2つのキャラクターは丸反対なので、お互いのことは全く理解できないと思います。

    今私がイチオシでみているNetflixの韓国ドラマは「医師チャ・ジョンスク」です。主人公の女性は女医さんなのですが、結婚して医学部教授の夫とセレブな家庭を守るため専業主婦として一生懸命夫やお姑さんや娘に尽くすのですが、あることをきっかけに自分の人生を歩きたいと思い始め、研修医からやり直すというストーリーです。やはり、夫婦、家族とはいえ、自分の好きなことやりたいことを一切抑えて家族のために尽くすというのは限界が来ます。もし限界が来なかった場合、きっと死ぬときに後悔すると思います。周りの評価ばかり気にせず、自分のやりたいこと、幸せと感じることを優先してもいいのではないでしょうか。

  • 首コリの話 Pt2

    先日「無印良品」に行って面白いものはないかと、うろうろしていてふと目に止まったのが、コーヒー豆。大きな袋にレギュラーコーヒーが400gも入ったお得用。1200円はちょっと高いと思いましたが、200g600円は本当はオトクな値段。こんな大量に買って好きな味でなかったらどうしようと思いましたが、「無印」を信用して買ってみました。帰ってからすぐに入れてみたところ、雑味が全くない、とてもスッキリとした気持ちいい後味。おいしい!苦いのが苦手な人もすーと飲める味です。私はスタバの焙煎の強い味も好きですが、今回買った無印のコーヒーは気に入りました。リピートします。

    昨日、学会で「首わしづかみ」で指圧することで頚静脈の流れを良くしてあげると頭痛、めまいなどが改善するという話だったと書きました。早速、その発表をされた宮城先生の著書を2冊購入し、読んでいます。手技はあまり詳しく書いてないのですが、懇親会で先生に直接して見せてもらったのでだいたいわかりました。私は日頃から患者さんの肩こり首コリを鍼治療しているため、首のつぼは触ればわかります。患者さんごとに凝った場所が違うのですが、針をする前に首から肩にかけてそっとなぞるように触れば、ここ掘れワンワンみたいにここがつぼだよと手に感触が伝わってくるのです。

    宮城先生のされている頸静脈ブロックの解放という手技は私が寝違えた患者さん(朝起きたら首が回らなくなった)に指圧してあげる場所でした。ここはとてもカチカチに緊張している人が多く、強く指圧すると患者さんはアイタタタと悲鳴を上げるのですが、ここを緩めないと首は回りません。この指圧こそ、おそらく宮城先生の手技に近いものだと思いました。そして、今日来院されためまいの患者さんの首を触ってみましたが、たしかにこの寝違いのつぼに反応がありました。これは面白い。私のハンドパワー(指圧)でめまいが治せる日もちかいかも・・・。

  • 首コリ頭痛、首コリめまい

    五月晴れのカラッとした気持ちの良い日曜でした。今日もどこかの学校では運動会だったみたいです。天気に恵まれてよかったですね。私もいつものごとく洗濯をしたり布団を干したり、洗車をしていい天気を満喫しました。午後からは久しぶりにリアルの学会に参加しました。日本統合医療学会の熊本支部総会でした。コロナの間ずっと中断していたので、3年以上ぶりでした。やっぱり、会場に足を運んで演者の先生の生の声を聞いて勉強するのはいいものです。演者は沖縄の宮城旺照先生でした。

    この先生は著書があり、「1日1分首わしづかみで脳脊髄液を流しなさい」という本です。今日の講演で面白かったのでさっそく購入しました。私たちが日頃からよく目にする頭痛、めまい、ふらつきなどが天気の影響を受けやすいことは御存知の通り。その時、私たち漢方専門医は五苓散という水分代謝を良くする漢方を使って頭の余分な水分を抜きます。今日の講演では、首を後ろからぐいとわしづかみにしてマッサージすることで首周りの筋緊張がほぐれ、頸静脈の圧迫が解除されることで脳脊髄液の流れが正常化し、頭痛やめまいから開放されるとのこと。なるほどー理にかなっています。

    めまいの原因には、発作性頭位めまい、メニエール病、前庭神経炎、自律神経失調などがありますが、耳鼻科YouTuberの竹越先生が肩こり関連めまいという分類を提唱され、肩こりをとる葛根加朮附湯、桂枝加苓朮附湯などでめまいが改善すると解説されていました。私はそれを聞いて以来、肩こりとめまいの関連は注意してみているのですが、首コリのほうがもっと関連していそうです。思い起こせば、私がこの前めまい発作を起こしたときレセプトチェックに精をだして肩首がすごく凝っていたのは間違いありません。薬を使わず首のマッサージで治るらしいので、今度試してみたいです。やっぱり学会に参加するといろいろ新しい知識が入って進歩します。

  • インフルエンザが流行っているそうです

    最近、インフルエンザが流行っているというニュースがあります。当院でも発熱患者さんのインフルエンザの検査はルーチンでしていますが、まだウチの近所ではそれほど陽性患者さんはいません。ただ、家族がかかったとか、学校で陽性者がいたという話はよく聞くので注意が必要です。話を聞いて、感染の可能性が高い場合、検査が陰性と出てもタミフルの処方をしています。風邪症状がないのに家族にインフルエンザが出たから予防的にタミフルを飲みたいという場合は保険適応でないため自費となりますが、喉が痛いとか、熱が出たとか何らかの症状があれば、たとえ検査が陰性でもうつった可能性が高いと判断できる場合は保険適応です。

    実際には最近インフルエンザでもコロナでもない普通の夏風邪の患者さんが一番多いです。ただ、なかには結膜炎症状(目やにや白目が赤く充血している)場合、アデノウイルス感染症の可能性があります。また、喉の炎症がつよく通常の風邪でないようなときは、喉の検査すると溶連菌感染ということがあります。その場合、抗生剤を使う必要があります。最近は普通の風邪で抗生剤を使うことは殆どないので、どの病院にかかっても解熱剤とかトラネキサム酸(喉の炎症を取る薬)程度しかもらえないのですが、溶連菌感染では抗生剤が必要です。きちんと治療しないと、尿蛋白が出たり、心臓弁膜症を起こすことがあるので、注意が必要です。

    夏風邪といえば、葛根湯や麻黄湯などが効かないのが特徴です、葛根湯などは体を温めて発汗を促す薬なので、夏に飲むとカダラが暑くなりすぎます。夏風邪は清熱作用のある小柴胡湯(加桔梗石膏)をベースとした治療をします。去年オミクロンが流行り始めたのが夏だったので、小柴胡湯加桔梗石膏は全国で大量に使われてついには欠品してしまい、いまだにその影響を受けて漢方薬が品薄状態です。