むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • RSウイルスのワクチン

    発熱患者さんはだいぶ減ってきましたが、検査をするとインフルエンザもコロナも出ます。どちらも出ないこともあります。こういう場合、来院するタイミングが早すぎて確定できないこともあり、翌日再検査するとはっきりする場合もあります。しかし、再検査をしても出ないとなると、それ以外のウイルス感染(RSウイルスやアデノウイルスなど)あるいは溶連菌のような細菌感染、あるいは副鼻腔炎も鑑別に上がってきます。そんな中、最近RSウイルスに対するワクチンが発売されました。今日はその新しいワクチンの勉強会でした。会場参加の予定でしたが、夕方往診が入ったので会場に行けず、自宅からWEB参加しました。

    RSウイルス感染は小児に多く、子どもの病気みたいに思われていることも多いのですが、子供がかかるとその親とか面倒を見てくれている祖父母にも感染します。糖尿病や呼吸器疾患のある高齢者がかかると重症化しやすいとのことです。大人用のRSウイルス検査キットは無いことから、これまでRSウイルスの風邪は存在は知っていてもよくわからずじまいだったというのが現状です。しかし、今回発売されたRSウイルスのワクチンは有効率が85−90%以上あるそうなので、かなりの確率でRSによる気管支炎や肺炎を予防できるようです。まだ発売されて間もないのですが、ひどい副作用はなさそうなので、基礎疾患のある人の場合は考慮してよいのではないかと思います。ただ、現在のところ保険適応ではないので自費となります。

    それにしても、私たち医療従事者は不思議と感染に強く、毎日インフルエンザやコロナの患者さんと接しているのに全然うつりません。マスクは伊達でしていますが、N95マスクのようなちゃんとしたものではないのでウイルスなんか簡単に通ります。メガネもしていないし手袋もしていません。結局大事なのは一処置一手洗いの原則です。私たちがたまに失敗するのは診察後手洗いやアルコール消毒をせずに電子カルテの入力を始めてしまうときです。特に胃腸炎のウイルスはアルコールで殺菌できないため手洗いしかありません。診察したら何も触らずすぐ手を洗う。これさえしておけばほとんどうつりません。

    老人ホームなど介護施設でよく見かけるのが、手袋をしてガウンをしてフェイスシールドをして患者さんの介護をしているけど一処置一手洗いを全くせず、次々と別の入居者さんの介助をしている介護士さん。これはだめです。自分だけプロテクトしても施設全体に広げてしまっています。

    入院病棟で働く看護師さんたちは大工さんみたいに腰に道具を入れるベルトをして、そこに手指消毒のアルコールを持ち歩き、処置の前と後で必ず手指消毒をします。病棟では処置のたびに近くに手洗いできる場所があるとは限らないので、これがいちばん確実です。

    テキサスではちょうど今頃ブルーボネットという青い花が野原に咲き乱れます。25年ぐらい前にテキサスにて撮影

  • 心臓神経症

    日赤のWEB講演会で循環器の漢方の話をしてほしいと頼まれていたので、今日は診療が終わってから診察室のパソコンに向かってWEB講演をしました。胸部不定愁訴の漢方治療について解説をしました。胸部不定愁訴は心臓神経症とよばれることが多く、胸が痛い、動悸がする、などの症状を訴えて心電図などいろいろ検査しても異常なしと言われる場合で、西洋医学的に異常なしでも患者さんにとってみれば本気で痛いし、辛いし、苦しいのでなんとかしてくれということになります。そこで漢方の出番となります。

    漢方は西洋医学がスタンダードとなる前は普通にどんな疾患にでも対応する標準治療でした。おそらく日本ではそういう時代が1500年以上続いていたと思われます。それが、最近(と言ってもこの100年ほど)で西洋医学が発展して不整脈を止める治療薬とか、痛みを取る鎮痛剤とかいろんな薬が出てきたわけです。それでも、漢方のほうが10倍くらい歴史と治療経験があるため、西洋医学で太刀打ちできない難しい症例は漢方の出番というわけです。一方で、心筋梗塞や高度の不整脈などはカテーテル治療とかペースメーカーの手術が優れた成績を示すわけですから、西洋医学VS東洋医学と競い合うわけでなく、お互い得意分野が違うので補完しあう関係だと考えます。

    心臓神経症はその名の通り神経症です。神経症はむかしドイツ語でノイローゼと言っていました。どちらかというと循環器より精神科や心療内科のほうが得意です。循環器のドクターはデジタル的で治療結果も速攻で求めます。精神科はアナログ的でゆっくりじっくり患者さんの治るペースを見ながら治療します。この相反する性格の間で私はときに循環器的、時に心療内科的に患者さんを見ながらハイブリッド的な治療を心がけています。

     

  • 肝線維化の予測値 FIB4インデックス

    週末はあっという間に終わり、新しい週が始まりました。講演のスライドをずっと考えていましたが、なんとか締め切りに間に合わせました。最近はせっかくスライドをつくっても製薬会社のチェックが入ってあれこれ書き直しになるのでやる気が出ません。「不適切にもほどがある」というドラマが話題ですが、最近は何をしても不適切と判断されてしまうのです。例えばスライドに商品名が入っているとNGです。一般名で書くように言われますが、馴染のない一般名で作ったスライドは誰が見ても意味がわからず、価値がないと思います。そんな感じでスライドに細かい表記をすればするほど訂正箇所が増えていき、やる気がどんどん削がれていくので、あれこれスライドに書くのは止めました。

    よく講演の上手い人はイメージ写真みたいなものを1枚出しただけで延々30分ぐらい話します。私もそんな話し方に変えようと思います。とはいえ、なにかないと話せないので、話したい項目だけスライドにして、大事な講演内容は口頭で話すだけ。あとは聞きながらメモしてください、という感じにしました。これは手間がかからずいいのですが、緊張して話すことを忘れてしまったら、ピンチです。そうならないよう事前の準備を怠らないようにしたいと思います。

    最近、検診でFIB4インデックスという項目があります。これは肝線維化を予測する値と言われており、通常の検査で測定する血小板数、肝機能(AST,ALT)と年齢をもとに計算するものです。ウイルス性肝炎はもとより、アルコール性肝障害や以前はあまり心配ないとされていた脂肪肝なども肝硬変に進展する可能性があることがわかってきたため、肝硬変のリスクを予測する計算式が開発されたのです。もし検診データでFIB4インデックスがついていない場合、ネットで簡単に計算できるのでぜひお試しください。当院ではエコーを使って肝臓の線維化の状態を測定するフィブロスキャンという検査を導入していますので、もしFIB4インデックスが高値だった場合はご相談ください。

  • 筋力低下防止にはまずウォーキング

    紹介状をパソコンでかいていて「匡」という字を書きたかったのですが、読み方もわからず、思い悩んだ挙げ句ものは試しでGoogleに「国の右がないやつ」と検索したら一発でわかりました。Googleの検索能力が高いのは驚かされますが、曖昧な検索キーワードから類推する力がすごいと思います。もちろん人工知能(AI)のチャットGPTはそのような能力が優れていて、適当な司令をきちんと理解して処理してくれます。実は私たちの仕事にもこのような類推能力が必要です。年を取ると物の名前がすぐ出てきません。患者さんが診察のとき、「あ、それから、あれも3つばっかり頂戴」と言われたら、「湿布ですね、入れときます」と類推する感じです。人により「あれ」が湿布だったり痔の薬だったり、睡眠薬だったりしますから、その人その人で推理しながら確認します。勘が冴えていないとジェスチャーゲームみたいになっていつまでたっても正解に到達しません。

    今日は診療のあと医師会の会合があり、コロナ以来4年ぶりに懇親会がありました。久しぶりにあう先生たちと挨拶したりご飯を食べたりすることができて良い時間を過ごすことができました。何人かの先生にブログ、すごいですね、あんなに毎日よく書けますね、と言われたりしました。同業者に読まれるとちょっと恥ずかしいですね。最近は診察時に何人かの患者さんに首のセルフ整体のツボを教えてほしいと言われました。ブログにかいたことで具体的にどうしたらいいかわからないときは遠慮なく聞いて下さい。文章ではなかなか伝えられないので、聞かれたらお答えします。

    今日の夜はかなり冷え込んできましたが、昨日の夜は結構暖かく春を感じました。14歳になるゴンを連れていつもより長距離散歩しました。そしたら今朝ゴンは起きているのにずっと寝そべっている、餌を上げても寝そべったまま食べている。どうしたんだろうと立たせて見たのですが立てません。これは、足が麻痺したのかと心配しましたが、私も出勤の時間があり、そのまま様子を見ることにしました。夜に帰宅して見たら、いつものように立っていました。「ゴンちゃん、足は大丈夫かい、良かった〜」とホッと胸をなでおろしました。このところ雨が続いて散歩できなかったので高齢のゴンは数日で筋力が低下したのかもしれません。昨日散歩で歩きすぎて筋肉痛になったのかもしれません。人も昨今のコロナで室外に出ずに何日も監禁状態(特に老人ホームなどでは制限が厳しかった)の結果筋力が落ちて寝たきりみたいになった人がたくさんいます。そうならないように皆さん歩きましょう。TVばっかり見ていないで。寒い寒いと言い訳しないで。歩くのは健康維持の基本中の基本ですよ。

     

  • いいストレス発散法は?

    だれしもストレスとは切り離せない毎日です。ストレスがたまったら何らかの体調に変化が出てきます。血圧が上がったり頭痛がしたりめまいがしたり動悸がしたり喉がつかえたり眠れなくなったり。とりあえず検査をしてほしいと言って来院される方が毎日大勢おられますが、大抵は検査では何も異常がなく、なにかストレスか何かないですか?と聞くと、思い当たることがちらほら出てきます。夫のこと、義理の両親のこと、親の介護のこと、子どもの受験のことなどなど皆さんそれぞれに悩みがあります。

    そのたまったストレスを解消するため、お酒に走る人、甘いものに走る人、友達に電話して憂さ晴らしする人、などなどこちらも百人百様です。でも、これがストレスで体調を壊す以上に危険!お酒で肝臓をやられたり、太ったり、糖尿病や高脂血症が悪化したり。これでは、ストレスで体調を壊し、ストレス解消で更に体を壊し、ダブルパンチです。ではどうすればいいか。健康的にストレス発散するなら運動でしょう。ウォーキングや筋トレもいいですが、スポーツジムに行くと、ヨガやエアロビ、ズンバなど、インストラクターといっしょに楽しく運動できるプログラムが1日中あります。私の行っているジムには温泉も併設されているので、こちらもストレス発散には最高です。とくにサウナでは熱くて何も考えられないのでストレスもどこかに飛んでいきます。

    ストレスを受けやすい人は、体質もあります。不思議と親子でうつ病という人もいます。食事をおろそかにして、タンパク質、鉄、ビタミンなどの摂取が足りないためにストレスをうけやすくなっている人もいます。例えば産後まもないお母さん。生まれたばかりの子どもの世話に24時間追われて、ごはんどころでない。夫や子供にはご飯を作って自分は余り物をつまむだけ、という人も結構います。会社でも忙しすぎておにぎりとか菓子パンで食事を済ます人などは次第にストレスに耐えられない体になります。食事、栄養、睡眠には注意して、ストレスを貯めないようにしましょう。