私たち大学の同級生で、主に内科を専門にしている医師同士で、定期的な勉強会をしています。参加者は内科系に限らず、さまざまな診療科の先生方も参加されています。
開業していると、自分の専門以外を勉強する機会がどうしても少なくなり、診療が我流になってしまうこともあります。そのため、このような勉強会で知識をアップデートすることは、とても有意義です。
今日は恒例の勉強会で、講師は大腸肛門科で有名な高野病院の高野院長でした。便秘や下痢についての最新の知見を、非常に分かりやすく教えていただきました。
私は普段、便秘や下痢の患者さんには漢方治療を行うことが多く、西洋医学的な薬を使う機会はそれほど多くありません。しかし最新の知見を学んでみると、不思議なことに漢方の「陰陽虚実」という考え方に通じる部分があるように感じました。
漢方医学は約2,000年前の中国をはじめとする東アジアで、陰陽という哲学を基盤として発展してきました。一方、西洋医学は科学の進歩によって病態が分子レベルまで解明され、新しい薬や治療法が次々と開発されています。その結果、昔は経験的・哲学的に説明されていた現象が、現代医学でも別の言葉で説明できるようになってきたのではないか、と私は感じています。
それはともかく、今日も新しい知識をたくさん学ぶことができました。明日からの診療にも役立てていきたいと思います。
この分野で最近特に注目されているのが、腸内細菌(腸内フローラ)の研究です。
私たちの腸内には非常に多くの細菌が共生しており、その数は人体の細胞数を上回るとも言われています。最近の研究では、腸内細菌は消化だけでなく、免疫機能や代謝、さらには脳との相互作用(腸脳相関)にも深く関わっていることが分かってきました。気分やストレスへの反応、行動などとの関連も盛んに研究されています。
実際に、健康な人の腸内細菌を患者さんへ移植する「便微生物移植(FMT)」という治療法もあります。腸内細菌を移植することで胃腸症状の改善ばかりか、その人の性格まで移植された菌の持ち主に似てくるという話もあり、この分野は現在も研究が続けられています。
私たちが日常生活で腸内細菌を整える方法としては、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を取り入れることや、食物繊維を十分に摂ることが大切とされています。私が先日、発酵の実験で作ってみた自家製のヤクルト風飲料も、乳酸菌を利用した発酵食品の一つです。こうした食品を日常的に取り入れることは、腸内環境を整える一助になるでしょう。
また、自然の多い環境で過ごすことが腸内細菌の多様性や免疫機能に良い影響を与える可能性も報告されており、森林浴や土に触れる生活なども健康との関連が研究されています。野菜についた土とか、食事中に下に落としたものを食べることは腸内環境に良い場合があると聞いたことがあります。
一方で、必要のない抗菌薬の使用や、過度な消毒・除菌は腸内細菌叢に影響を及ぼすことがあります。また、防腐剤や保存料を含む加工食品を多く摂る食生活も腸内環境を悪化させると指摘されています。
そのため、私たちが日頃から腸内環境を守るためには、できるだけ新鮮な食材を使った手作りの食事を心がけ、発酵食品や野菜、食物繊維を積極的に取り入れることが大切ではないかと思います。




