むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 内科学会でお勉強の週末

    この土曜日から、いよいよ学校心臓検診が始まりました。今年も毎週土曜日の診療後は、医師会病院横のヘルスケアセンターにて、学生さんたちの心臓検診(2次検診)業務を行います。

    先日ブログに書いた通り、今回は「NotebookLM(GoogleのAI)」に最新の「学校心臓検診ガイドライン」を読み込ませ、準備を整えて臨みました。検診の合間に、私が出した管理区分の判定に間違いがないか、一例ずつAIに確認を求めてみました。

    例えば、以下のようなケースです。

    「2歳で川崎病を発症した小学4年生。現在は経過観察中で、自覚症状はなく、本日の心電図および心エコーでも異常なし。この場合の管理区分は?」

    質問すると、ガイドラインに基づいた回答が即座に返ってきます。 これまでは、判定に迷う症例に出会うたびに分厚いテキストを読み返し、基準を再確認しながら書類を作成していました。しかし、AIを導入したことで、明確な根拠をその場で確認しながら迷いなく判定を下せるようになりました。これは非常に画期的で便利な経験です。

    こうしてAIを使いながら判定を重ねていくと、似たような症例については自然と基準が身につき、私の経験値もどんどん蓄積されていくのがわかります。しばらくすれば、稀な症例を除いてはガイドラインの内容が完全に頭に入り、よりスムーズに書類を書き進められるようになるはずです。

    膨大なガイドラインを一から丸暗記するのは時間がかかりますが、実際の症例を通して必要な箇所をピンポイントでAIとチェックしていく手法は、学習効率を劇的に高めてくれると実感しました。

    検診終了後は、真っ直ぐ帰宅しました。今週末は東京で「日本内科学会」が開催されているためです。 幸い、ここ数年は大きな学会もハイブリッド開催が定着しました。わざわざ東京まで足を運ばずとも、自宅のパソコンから最新の知見を学ぶことができます。

    リアルタイムでの参加が難しくても、後日オンデマンドで配信されるため、数日かけてあらゆる講演を網羅することが可能です。現地の会場では、満員で入室できなかったり、聞きたい講演が重なっていたりと制約もありましたが、今は自分のペースで片っ端から視聴して勉強できる。この環境は、知識をアップデートし続ける医師にとって非常に大きな助けとなっています。

    今週末は内科学会の講演を聴く時間に充てるため、他のことは控えめにするつもりです。とはいえ、オンデマンド視聴なら「掃除をしながら」といった並行作業も可能です。家の中の断捨離を進めながら、頭の中もしっかりと最新の医学知識で整理していこうと思います。

    サクラマチ

  • 今年も学校心臓健診が始ります

    韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』を、配信終了前に無事見終えることができました。毎日根を詰めて視聴し続けていたため、最終回を見届けた今は、すっかり「チャングムロス」の状態です。

    次に見たいドラマがすぐには思い浮かばないため、以前から視聴していて一旦中断していた作品(アメリカや韓国のドラマなど、いくつか並行していたもの)を再開しています。また、チャングムに没頭するあまり後回しになっていた家のことや、継続中の「断捨離」にも、この週末から改めて取り組みたいと思っています。

    さて、今日の診療後には医師会の会合がありました。もう10年近く担当している「学校心臓検診」の班会議です。

    学校心臓検診は、小・中・高校生の入学時に実施される心電図検査の判読や、異常が見つかった生徒への精密検査(二次検診)を行うものです。例年4月から5月の健診時期に合わせて実施されます。

    その主な目的は、二つあります。

    1. 事故の未然防止: 生まれつきの心臓病や、命に関わる危険な不整脈体質を早期に発見すること。

    2. 活動制限の適切な判断: 多少の異常がある場合でも、学校生活でどの程度の活動が許容されるかを医学的に判断すること。

    慎重になりすぎて「体育はすべて見学」と一律に制限してしまうと、お子さんの貴重な成長の機会を奪い、将来の不利益を招くことにもなりかねません。そのため、心臓の疾患リスクと授業の有用性を天秤にかけ、一人ひとりに対して「どこまでの活動なら可能か」を考え、指示書を作成する。これが私たちの重要な仕事になります。

    実際に検診に携わるのは、その多くが循環器の専門医です。しかし、私たちが日頃診療しているのは主に成人の狭心症や心筋梗塞などであり、検診の対象となるお子さんの「先天性心疾患」は、本来「小児循環器科」という別の専門領域になります。

    小児専門のドクターは人数も限られているため、私たち循環器専門医が研鑽を積みながら携わっているのが現状です。私自身も検診に参加し始めた当初は、ガイドラインを何度も読み返し、判断基準を一から勉強しました。

    そこで今回、近年のAIの発達を活かしたある試みを思い立ちました。 GoogleのカスタマイズできるAI(NotebookLM)に学校心臓検診ガイドラインを学習させ、チャット形式で質問することで、根拠に基づいた回答を即座に得られるシステムを作ってみたのです。模擬症例を入力して、判断を相談してみたところ、見事な回答が返ってきました。今年の検診には、早速この「AIアシスタント」を携えて臨みたいと思います。

    萌の里の春爛漫 桜とツツジと菜の花

  • 不安症はどこから来るか2

    桜の季節、夜になると冷え込むのは例年のことですが、今朝の冷え込みは一段と厳しかったですね。天気予報によると、阿蘇方面では氷点下を記録したところもあったようです。

    熊本市内はそこまでではありませんでしたが、出勤してまずはクリニックのエアコンを入れ、部屋を温めました。自動ドアの隙間からは大量の桜の花びらが舞い込んでいて、その掃除に追われましたが、これもまたこの季節ならではの風物詩です。

    外来で花粉症の患者さんとお話ししていると、「今シーズンはようやく落ち着きました」という方と、「まだまだこれからです」という方に分かれます。これは、スギ花粉のピークが過ぎ、ヒノキ花粉のシーズンが続いているためです。スギとヒノキの両方に抗体を持っている方の場合は、年明けからゴールデンウィーク頃まで、長い期間鼻炎に悩まされることになります。

    診察の合間に時間があるときは、患者さんにサプリメントのお話をすることもあります。 「ビタミンDを飲んでみてください。きっと楽になりますよ」とお伝えし、お勧めのブランドや適切な摂取量についても具体的に説明しています。

    ただ、シーズンのピークを迎えて診察室が混み合ってくると、こうした詳しいお話をする時間がどうしても取れなくなってしまいます。 クリニックの待合室には『花粉症は1週間で治る』という本を置いていますので、気になって手に取られた方もいらっしゃるかと思います。まず、その本に手を伸ばすか否かで、その方の「運命」は大きく分かれます。

    さらにもう一つの分かれ道は、読んだ内容を信じて実際にビタミンDを試してみる人と、「ふーん」と思うだけで行動に移さない人との違いです。 ここで一歩踏み出し、行動に移せた方には花粉症の苦しみから解放される明るい未来が待っていますが、思うだけで動かない方には、残念ながら変化は訪れません。

    人生のあらゆる場面にこうした分かれ道がありますが、どちらを選ぶかはその方の考え方次第です。好奇心旺盛に新しい知見を取り入れるか、あるいは慎重になりすぎて現状維持を選ぶか。

    ここで、昨日お話しした「不安」についての話題に戻ろうと思います。 人類がまだ狩猟民族だった頃、人々が抱く不安といえば「肉食獣に襲われないか」「狩りで危険な目に遭わないか」といった、命に直結するものが大半でした。

    そんな過酷な環境において、例えば「心配性で危険を避ける人」と「楽観的でリスクを顧みず突き進む人」の二通りがいたとします。結果として生き残る確率が高かったのは、間違いなく前者——つまり、不安を感じて危険を遠ざけた人々でした。 現代の私たちは、太古の昔に「不安を感じ、臆病になることで身を守る」という選択をした人たちの子孫である、と考えられるます。

    だからこそ私たちは、仕事、子育て、介護など、まだ起こってもいない未来のことに対して、次から次へと不安を抱いてしまうのです。 これは私たちの脳にあらかじめ組み込まれた、命を守るための「生存プログラム」でした。しかし、かつてのような直接的な命の危険が少なくなった現代社会においては、このプログラムが時に、私たちを生きにくくさせてしまっているのかもしれません。

  • 西洋医と東洋医のハイブリッド医療

    天気予報通り昨夜から雨になりましたが、ひどい雨にはならず、桜はまだ大方残っています。日曜日に花見を計画していた方は、なんとか開催できそうでよかったですね。多少雨が残るかもしれませんが、今年の花見は日曜日がラストチャンスです。私も時間があったら、ぶらっと散歩したいと思います。

    ところで、今日も家の断捨離をしていたら、昔懐かしいラジカセが出てきました。このラジカセを買ったのは、子供が小学生の時でした。町内会で夏休みのラジオ体操の当番が回ってきた際、「各家庭からラジオを持って会場に行かなければいけない」というルールがあり、わざわざその日のために購入したのでした。したがって、今から20年ぐらい前のものだと思います。

    電源を入れてみたら、ラジオが鳴りました。「CDはまだ持っていたかな」と思って家中を探してみたところ、昔買ったCDがいくつか見つかったので、かけてみました。音はあまりよくありませんが(アレクサのほうが音がいい)、CDも聞くことができました。BGMで聴いてみようかと思います。

    今週は年度初めで患者さんは驚くほど少なく、のんびりとした1週間でした。一方、月初めのため、レセプトのチェックにはいつも通り時間がかかりました。

    また、先日から見始めた韓国ドラマ「チャングム」が配信期限間近となり、毎日時間がある限り見ています。もう50話まで来たので、今週末で最終回まで見られそうです。他のドラマも並行して見ていたものがあったのですが、すべてストップして、今はチャングムしか見ていません。おかげでチャングムが夢に出てきそうな勢いです。

    ふとした瞬間に韓国語が頭に浮かぶのですが、時代劇特有の古い言い回しばかりなので、我ながら苦笑してしまいます。日本のアニメや時代劇で言葉を覚えた外国の方が「左様でござる」と言うようなものでしょうか。

    それはともかくとして、このドラマを改めて視聴することで、かつての漢方医がいかに真摯に古典を読み解き、患者さんの所見や脈から病態を深く考察していたかがよく分かりました。

    驚くべきは、劇中の漢方理論が、現在私たちが中医学で学んでいるものと全く同じである点です。漢方は二千年前から一貫した理論で運用されており、その内容は現代の私たちが目にしても十分に理解でき、学びがあります。

    この点、西洋医学は対照的です。昔の西洋医学の手法が現代でも通用するかといえば、そうでない部分が圧倒的に多いでしょう。科学の発展とともに病態の解明が進み、次々と新しい検査法や治療法が開発されてきたため、西洋医学は時代とともに大きく姿を変えてきました。

    普遍的な理論を守り続ける東洋医学と、絶えず進化し続ける西洋医学。私(当院)はこの2つのハイブリッド医療を得意としています。

    夜桜を一眼レフで撮るのは難しく、いいレンズ(F値の小さい明るいレンズ)と三脚を使って撮る必要がありましたが、iPhoneでとれば片手でサッと取ってもこれくらい綺麗に撮れますね。すごい技術の進歩です。

  • ドラマ「チャングムの誓い」は漢方の教材だった!

    懐かしの韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』を視聴しています。20年ほど前にNHK-BSで放送されていた際、毎回欠かさず見ていた記憶があります。先日、動画配信サービスのLemino(レミノ)で配信されているのを見つけ、懐かしくなって見始めました。

    全54話の長編なので、1年ほどかけてゆっくり楽しむつもりでいたのですが、なんと4月中旬で配信終了と判明。今は焦りながら、日々の隙間時間を見つけては視聴を進めています。おかげでようやく30話まで辿り着きました。

    ご存じの方も多いと思いますが、物語は大きく二部構成になっています。前半は、宮廷の料理を担う「水刺間(スラッカン)」で働くチャングムの波乱万丈な日々。運悪く宮廷内の勢力争いに巻き込まれ、敗れたチャングムは済州島へ島流しにされてしまいます。しかし、聡明で努力家の彼女は、そこで出会った医女・チャンドクに弟子入りし、後半からは医学を志す物語へと展開していきます。

    20年前にこのドラマにこれほど夢中になった理由を忘れていましたが、今回改めて見て思い出しました。チャングムが医学を一から学ぶ場面で師匠が教える内容は、まさに私たちが学んでいる中医学(東洋医学)の基礎そのものなのです。

    中医学には、患者さんを診察する際の基本となる「望・聞・問・切(ぼう・ぶん・もん・せつ)」という「四診(ししん)」があります。

    • 望診: 顔色や表情、体つきから病態を読み取る

    • 聞診: 声のトーンや息遣い、体臭などから診断する

    • 問診: 症状や生活習慣を詳しく尋ねる

    • 切診: 脈に触れる脈診や、お腹に触れる腹診などで診断する

    これらは東洋医学独自の診察法です。チャングムの師匠がこうした診察法を丁寧に伝授していく場面は、漢方を学ぶ者にとって非常に実践的で、当時もワクワクしながら見ていたことを思い出しました。

    今改めて見ても、望診や脈診の所見の取り方がドラマを通じて実に見事に描写されています。漢方の学習を積み重ねた今の目で見ると、当時よりも描写の意図がより深く理解でき、そのクオリティの高さに驚かされます。東洋医学の入門者から専門家を目指す方まで、見るだけで相当な知識が身につく、非常に質の高い作品だと改めて感じています。

    そこで、気づく方もいるかも知れませんが、私の通常の診察はこの望聞問切を行っているのです。患者さんが診察室に入ってくるときの表情や歩き方、座り方、話をする声の雰囲気などすべてが診察です。西洋医学でおこなう採血や画像診断などの前に、見て、話を聞いて、脈を触れる頃には悪いところがだいたい予想がつくので、よその病院より検査が少ないのです。

    サクラマチに咲いた桜 まだ5分咲き:熊本城をバックに