むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • WEB東洋医学会でした

    昨日も書きましたが、日曜は朝9時から東洋医学会でした。学会は沖縄で開催されたのですが、WEB配信だったので自宅から参加です。私は午前中のセッションの座長だったので、9時前からパソコンの前にスタンバイして、プログラムを読んで時間配分などの準備をしました。いざ発表が始まってみると皆さんスライドの枚数が多い!6分の発表なので、普通に話せば6枚、早口でも10枚くらいが限度だと思いますが、みなさんその倍位は用意されています。当然持ち時間内に発表は終わらず、質疑の時間が取れません。しかし、学会というのは発表に対して参加者の意見を聞いたり、座長の先生が質問することで旨味を引き出します。ちょうど発表は食材で質疑が薬味みたいなものです。薬味なしに刺身が出てきても美味しくないし、印象にも残りません。時間は押してもなにか一言座長としてピリッと気の利いた質疑なりコメントなりを言わないと形になりません。

    学会は延々夕方5時まで続き、コロナの漢方治療についてたくさん学びました。皆さん忙しい診療のなか、本当によく勉強し、そして自分なりの理論を考え、実行されています。頭が下がります。いつものリアルの学会だと、沖縄で開催されたら少しくらい観光もしたいし、琉球料理を食べにも行きたい。その上飛行機の時間があり、乗り遅れると月曜の診療に差し支える。そう考えると、学会に参加するのはほんの数時間であとは会場をこっそり抜け出して帰るという事になります。ところが今回のようにWEB開催だと、最初から最後まできっちり勉強できます。旅費もかからず、時間的制約も殆どないので、いいことづくめです。

    学会が終わったあとは、世話人のみんなでWEB懇親会でした。九州各地の代表がWEB上に集まり、各自の家や職場でビールやおつまみを片手に学会発表の内容に関するさらなるディスカッションやそれぞれが困っている症例をどう治したらいいかなど、雑談とはいえとても勉強になりました。結局夜9時にお開きとなりましたので、朝9時から12時間みっちり勉強三昧の週末となりました。

  • コロナの後遺症を漢方で治す

    ほぼ1週間降り続いた雨がやっと上がり、日が差してきました。夏にも長雨がありましたが、日がさすとこんなにも心が晴れるのかと思います。今週は雨のせいか頭痛の患者さんも多かったし、血圧が上がった人も多かったです。やはり人も自然の一部ですから、気温や天気に左右されます。世はコロナがひと段落して人の移動が多くなって来ました。夕方など交通渋滞はコロナ前を思い出す混みようです。ちょうど紅葉の季節となり、秋の行楽シーズンですから、観光地も久しぶりに賑わいを取り戻すことでしょう。野外の観光地が混むのは特に心配ないと思いますが、空港や飛行機、長距離バスなどは今しばらく注意が必要かと思います。

    日曜は東洋医学会(WEB)なのですが、コロナの漢方治療をテーマに掲げて計画されていました。ところが、このところの急速な患者数の減少から、学会の僅か数日前に、テーマをポストコロナ(コロナ後)の漢方、後遺症の漢方治療、無症状感染者の発症予防などをテーマにするという、大転換となりました。これも、リアル学会でないので会場の垂れ幕などの準備はいらないし、プログラムもPDFで作ってメールで送るだけなので、直前に変更するという大胆なことが可能となっています。時代は変わったなとつくづく感じます。

    当院でも、コロナ感染後の後遺症の治療を何人かやっています。倦怠感は人参をベースとした処方で改善しますが、中には相当重症で治療に難渋している方もいます。長引く咳は肺陰虚と考えて治療しますが、これもすぐ治る場合と、相当長引く場合があります。心筋炎で不整脈、動悸の場合、炙甘草湯をベースに治療します。いずれも試行錯誤ですが、西洋薬では太刀打ちできないとおもってがんばっています。

  • 温泉療法

    寒いですね。このところ4日連続雨が降り、冷え冷えとしています。冷えることで体が痛くなる人がたくさんいます。冷えと痛みは関連しています。逆にお風呂で温めると痛みが楽になることはよく経験すると思います。昔、温泉に湯治場といって、自炊できる宿泊所があり、長期に渡って温泉治療をする習慣がありました。今でもそういう施設を併設しているところもありますが、多くは様変わりしてほとんどは旅館みたいになっていると思われます。それはともかく、温泉で温めることで痛みが軽くなることから、他に薬もないときに温める治療をしたわけです。医学系の学会に温泉リハビリ学会という真面目な学会があります。これは、ドイツなどでも歴史ある医学療法の一分野です。

    江津湖のほとりにばってんの湯というのがありますが、ここはオープン当初ばってんバーデンという施設でした。これは、ドイツにある湯治場のバーデン・バーデンという地名をもじったものです。アメリカにもこのバーデンバーデンをモデルに栄えた温泉街がありました。町の名前を忘れましたが、車で何時間(数泊)もかけて行ったことがあります。温泉とはいえ、あちらは水着着用です。温水プールみたいな施設でした。しかし、私達が訪れなかっただけで、その街には温泉ドクターの施設もあり、そこで診察を受けて温泉療法の処方箋をもらい、それに従った治療(入浴やマッサージなど)ができる温泉病院も併設されていました。

    学会でニュージーランドに行ったときも温泉に行きました。ここも巨大な露天風呂でしたが、水着着用で温水プールみたいでした。当時お世話になっていたアメリカの教授夫妻と一緒に温泉につかって学会の息抜きをしたことは今でも忘れられません。このように、体を温めて治療する方法は世界中にあります。また、がんの治療で温熱療法という電子レンジみたいな機械を使った治療法もあるように、体温を上げることでがん細胞は死滅しますから痛みが取れるだけでなく、小さながんは温泉に入るだけで改善する可能性すらあります。ラドンという放射線物質を含む温泉は温熱に加えさらにがん治療効果があるとされています。

    朝靄(もや)に輝く久木野

  • 人生も会社経営もマラソンと同じ

    この10年ほどマラソンブームでしたが、コロナで大会が中止になり下火になってしまったような気がします。わたしも結構フルマラソンの大会に出ましたが、1回の大会に出るために364日ずっと練習です。雨の日も台風の日も木枯らしの日も休みなしです。毎日10キロ以上、月間で200キロ以上走っていないとフルマラソンに出る体力はできません。そして、それだけ毎日走って大会に備えても本番の走りはまた特別です。つい気合が入って頑張りすぎたり、沿道からの声援に調子に乗って答えているうちに自分のペースを超えて速く走りすぎると、後半走れなくなります。いろいろあります。

    そこで、人生をマラソンに例えると、自分のペースを守らないと最後まで元気に走れないという教訓があります。会社勤めだと職場の仕事のペースというものがあり、それに従わないといけません。しかし、自分で事業を始めるとペースメーカーは自分です。私も50歳で開業しましたが、自分でペースを取るとなると、どのくらい頑張るかを判断するのは難しく感じます。体力の続く限りどんどん頑張って、一年でも早く借金を返済したいとか、たくさん稼ぎたいとか、考える人も多いと思います。それが落とし穴だと思うのです。

    新しく会社を起こした新米社長さんを見ると、堅実に着々と頑張るタイプの人と、社長になって舞い上がってまだ利益が上がっていないうちから経費でベンツを買ったりするタイプの人もいます。マラソン経験者はわかるのですが、自分のペースを崩して周りの声援で調子に乗ったりいいとこ見せたいという欲が失敗の元となります。世に生まれた会社には社会的存在意義があります。病院(医療法人)などは特に社会的使命を持って存在します。そこでは、花火のようにどんと上がってぱっと散るのではなく、末永く何十年も堅実な事業を展開し、かかりつけの患者さんの一生やその子や孫の代までずっと面倒を見るだけの責任感が必要だと思います。

  • 血圧手帳をつけましょう

    昨日から雨が降り続き、寒くなっています。ついこの前まで半袖で仕事していたのに、今では長袖白衣を着て暖房も入れています。この寒さで血圧が上がって来院される方が増えてきました。寒いと血管が縮むので血管抵抗が増して血圧が上がります。物理的に考えて、その逆をすれば血圧が下がるわけですから、ゆっくりお風呂に入って体を温める、運動する、マッサージして筋肉などをほぐす、などをすれば血管が拡張し結果的に血圧が下がります。ただ、厚着をしたぐらいではなかなか血圧は下がりません。家庭内で注意しないといけないのはお風呂やトイレです。最近は家全体の空調システムの高断熱住宅もありますが、昔ながらの和風建築ではキッチンや居間だけを温めて、それ以外の部屋が寒いということはよくありますので、お風呂の際に脱衣所で寒さのために急激に血圧が上がって脳卒中を起こしたりする症例はたくさんありました。

    診療の際に家庭血圧を尋ねるようにしています。家庭血圧は自己申告ですから、いい格好して120くらいです、とかごまかさないで正直にお応えください。正直に言うと薬が強くなるから嫌だ、と思う方も多いと思いますが、何のために薬を飲んでいるかを考えましょう。中途半端に血圧を下げても、不十分のために脳出血を起こしたり心不全を起こしてしまえば、いままで真面目に通院した意味がなくなります。私がこういうのは、病院で測った血圧だけでは実態がよくわからないからです。

    家庭血圧と病院では10くらい病院の血圧が高いことがおおいとおもわれます。いわゆる白衣高血圧です。逆に病院では良い数値なのに家では高いという隠れ高血圧もあります。そこで、一日の大半を過ごす家庭での血圧をきちんと測ってメモしておいていただきたいのです。持参していただいた血圧手帳は、病院で測る血圧より大切なデータです。最近はスマホに血圧手帳のアプリもありますからグラフにしたりメモを付けるなど健康管理をスマホでするのもいいでしょう。新しい血圧計には測定値がスマホに自動的に飛ぶ便利な機能付きのものもあります。