むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 料理と漢方の基本

    ヤフーニュースを見ていたら、今私達が直面している医薬品不足の実態をレポートする記事が載っていました{出典:文春オンライン}(https://news.yahoo.co.jp/articles/269d724d87fbbb29565e958f0e1ab83db5398633)。出荷制限されているのはなんと3000品目以上。私も毎日10人以上の人に薬が手に入らないので変更させてください、と説明しています。いつになれば出荷が再開されるかは全く不明です。ジェネリックの会社がこのまま生産を停止していれば、きっと倒産することでしょうから、今までの薬がもとのように供給される見通しは全く立ちません。巷では半導体や自動車部品も品薄で売りたくてもものがないという非常事態です。また、中国では食料品の備蓄を始めたという情報があるので、今後食糧難になることもありえます。可能なら家庭菜園なども取り組んだほうがいいと思います。

    その家庭菜園ですが、最近患者さんからキャベツをいただきました。この季節のキャベツはじゃがいもやソーセージなどと煮たポトフが美味しいですね。コンソメと塩コショウであっさりした味付けで素材そのものの味をいただくのが贅沢です。野菜など食材には体を温めたり冷やしたりする薬理的な作用があります。主に夏野菜のトマト、きゅうり、レタスなどは体を冷やします。秋ナスも(体を冷やすから)嫁に食わすなと言うように、昔の人はその働きに熟知していたと思われます。

    もう一つ野菜の話。昆布にはグルタミン酸というダシの成分が含まれるため、料理に必須です。ダシにはその他鰹節のイノシン酸、干し椎茸のグアニル酸の3種類あります。味の素で有名なグルタミン酸ですが、実はトマトや白菜にもたくさん含まれます。そこで、パスタのトマトソースはひき肉(イノシン酸)とマッシュルーム(グアニル酸)をあわせると美味しくできます。鍋は昆布を入れることが多いですが、実は白菜があれば昆布はなくてもいいので、鰹節や肉から出るイノシン酸ときのこから出るグアニル酸があいまって美味しい鍋になります。このように、旨味成分も組み合わせを考えれば美味しくできますが、私の専門の漢方薬もこういった組み合わせ技で薬理効果を発揮します。何と何をどのような比率で混ぜるかが鍵となります。