むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 太極をとらえることが大事

    夕方仕事が終わり夜空を見上げたら、まさに皆既月食真っ最中でした。辺縁の月光がうっすらと輝いていました。夕食後もう一度見たらほぼ満月に戻っていました。快晴の夜空での天体ショーを楽しめました。中国では月は陰のシンボルです。漢字でも陰を「阴」と書きます。反対はもちろん陽です。陽のシンボルは太陽なので中国語では「阳」とかきます。簡体字は日本人にとって意味不明ですが、このような理屈があれば見てわかると思います。

    先日、東洋医学会がありましたが、九州各大学が一つの症例に対して漢方的な解釈を考え、競い合う討論会がありました。各大学、問題症例が陰なのか陽なのか、虚なのか実なのかという基本的な理解を、いろんな所見から読み取って発表していました。学生さんたちみんな本を読んで勉強しているわけで、実際の臨床経験が乏しいので机上の空論的なディスカッションも見られましたが、大事な陰陽の解釈などはどの大学も間違っておらず、たいしたものだと思いました。

    学生さんたちは症例検討で患者さんの所見や訴えの細かいところを微に入り細に入り検討していました。それは、勉強をする際にはとても大事なことだと思います。しかし、私たちが臨床をする際には逆にじゃま(ノイズ)になると考えます。大筋を大まかにとらえ、患者さんの困っている訴えにポイントを絞って弁証し治療方針を立てなければ、欲張り過ぎたら失敗します。おそらく漢方治療だけでなく何にでも通用することだと思います。