むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 風邪の初期は抗生剤は不要

    昨日、「三美喜八窯」という窯元の話を書きました。長嶺の老人ホーム向かいにある民家の庭先で作品が並べられ、即売会が開かれていました。昨日、茶碗とお皿を買って帰り、早速晩ご飯をその器で食べたところ、口当たりが良く、手に馴染む大きさで、いつもの料理が引き立って美味しく感じました。そこで、土曜日は仕事が終わってからもう一度そのお宅に行ってみました。運良くまだお皿はたくさん残っていました。ご主人は人吉の出身で、長嶺のお宅で作品を作り、人吉の窯で焼いているとのことでした。昨日買った茶碗の色違いと、サイズ違いのものを含めて、お皿を3枚買い足しました。大満足です。これにいろんな料理を盛り付けると楽しいと思います。

    それにしても土曜日は忙しい一日でした。午前中で普段の平日1日分の患者さんが殺到しました。75名の診察に1時半までかかりました。採血やエコーなどの検査もたくさんあったので、看護師さんも多忙で、受付・会計も大忙しでした。お隣の薬局もきっと大変な忙しさだったと思います。こんなに忙しいのは、通常の定期患者さんや漢方を求めて遠方から来られる患者さんに加えて、風邪が結構はやっていて、プラス10名ぐらい増えているためです。発熱患者さんは通常の患者さんとは別の待合を使って隔離診察にしているため、何倍も手間がかかります。当院では感染予防のため、発熱患者さんと他の患者さんを分けて診察しており、これにより患者さんにとってより安全な環境を提供できていると考えています。

    午後は陶器を買ったあと帰宅してまもなく、医師会と保健所が主催する感染対策の講習会がありました。私はWEB参加で申し込んでいたので自宅から参加できました。内容は抗生剤の適正使用に関する話でした。風邪や感染性胃腸炎はウイルス疾患なので抗生物質はいらない、無駄に使うな、という話です。抗生剤の処方を希望される患者さんもいらっしゃいますが、抗生剤を使いすぎると耐性菌が出来てしまい、いざという時効かなくなります。今後新しい抗生剤の開発はほとんど見込まれていないため、今あるものを大切に使わないといけません。私も、風邪の初期には漢方中心の処方にして、1週間ぐらい治らないでこじらせたときだけ抗生剤を出しています。ご理解の程よろしくお願いします。

    新しく買ってきたお皿にインスタントのチャジャン麺を盛ってみました。即席麺がちょっとした料理に見えます。

  • ものは生きている

    往診中のふとしたことからオアシスのような時間を得ました。アリビオ長嶺という老人ホームに往診に行ったところ、駐車場の目の前の普通のお宅の庭先に陶器が並べてあり、「三美喜八窯」と書いてありました。時間に余裕があったので、往診のあとにそこにならべてある陶器を眺めていたら、色形がとても良い。触ってみたら、思ったより軽くて機能的。これはほしいなと思って、茶碗2つとお皿1枚を買って2000円でした。家に帰って早速晩ごはんをその器を使って食べてみたら、すごい!美味しく感じる。口当たりも柔らかく、気に入りました。

    先日、食べ物は器で味が変わるというブログを書きましたが、まさにそんな感じです。お皿を包んでくれた袋に窯元の説明書きが入っていました。「三美」というのは「形状美・色彩美・機能美」のことだと書いてありました。まさに、私はその三美を説明書きを読む前に感じ取ったのでした。今、買い足そうかと考え中です。

    機械が作った大量生産ものと、窯元の陶芸家が一つ一つ手作りしたものは触ったときに感じるパワーが違います。以前、職員旅行で京都の窯元に行った時、陶芸体験コーナーがあり、ろくろで湯呑みを作りました。色付けや焼き上げはプロの方が行い、出来上がったものが後日送られてきました。握ってみたら、自分の手によく馴染み、ジャストフィットします。考えてみれば当たり前です。自分の手の凹凸で作った茶碗ですからぴったりなのです。それはちょっと例外的ですが、手作りの一点物はやっぱりすごいと思います。

    実は最近、妻が実家からお母さんがキンカンをシロップ漬けにしたものをタッパーごともらってきました。中身は他に移して、タッパーを洗っておいてあったので、サラダの余りを入れて冷蔵庫に入れたりして使ってみました。すると、そのタッパーから義母がみんなのために美味しいご飯を作ってくれていた思いがリアルに伝わってきました。そのタッパーを使うたびに「おいしくなーれ、みんながそれを食べて喜んでくれるといいな」という温かい気持ちが手に伝わってくるのです。自分でもびっくりしました。気持ちは物に宿るんですね。そういえば、車などはそろそろ買い替えようと思うと故障します。物には思いや歴史が宿りますね。「ものは生きている」大事にしましょう。

    三美喜八窯(熊本市)の作品

  • 検査値の正常範囲とはなにか?

    私は大学院で学位論文の研究をする際、大学病院の中央検査部で、臨床検査医学の部署に所属していました。そこは、病院全体の検査データが集まる場所で、検査データの解釈について研究していました。

    例えば、人間ドックで検査を受けると、数値が基準範囲内か範囲外かによって「再検査」マークがつくことがあります。では、皆さんは「基準範囲」とは何かを考えたことはありますか?健診で用いられる「基準範囲」は、主に健常者(病気がないとされる人々)のデータをもとに、ある計算方法で導き出されています。多くの健常者の平均値から±2標準偏差の範囲を取り、その中に入る数値を「基準範囲内」とみなしています。

    この「標準偏差」という指標は、データのバラツキを表しています。人の体の状態には個人差があり、健康な人でも数値は少しずつ異なります。標準偏差はそのバラツキをある程度反映するために使われているのです。つまり、健常者のデータに基づいて「平均値」を算出し、その平均値から±2標準偏差の範囲を「通常、健康な状態にあるだろう」という目安にしているのです。これが「基準範囲」です。

    少し数学的な話になりますが、「正規分布」という統計モデルでは、±2標準偏差の範囲内に全体の約95%のデータが入ることが知られています。ほとんどの健常者がこの範囲内に収まるため、医療現場では一般的に±2標準偏差を「基準範囲」として利用しています。逆に、健常者でも5%程度の人はこの範囲に入らないことになります。また、基準範囲は集団データをもとにしているため、個人の健康状態を完全には反映しない場合があります。そのため、検査データは一つの数値だけで判断せず、複数のパラメータを総合的に見て判断することが重要です。

    私が関心を持っている分子栄養学では、採血データを生化学的な観点からより細かく分析することがあります。この分野では、通常の±2標準偏差で表される基準範囲とは異なる基準で解釈を行うこともありますが、まだ研究段階の部分も多く、医療関係者の間でも見解が分かれる場合があります。

    まとめると、基準範囲は数学的に統計処理された指標であり、健常者であっても必ずしも全員がその範囲に収まるわけではありません。気になる点があれば、自分で心配するよりも主治医に相談してみてください。

    夕暮れの味噌天神(日が暮れていたのにiPhoneで昼のように明るく撮れました)

  • 冷えることと夜間頻尿の関係

    今週は連休明けということもあり、昨日も書いたように風邪の患者さんが急増していることも加わって忙しい毎日です。午前中ノンストップで昼まで診療し、昼休みに訪問診療で4つの老人ホームをまわってクリニックに戻ってきたら駐車場は満車状態。すぐに午後の診療を始めて、午後もノンストップで6時半までかかりました。110名を超える患者さんを診療するとなると、体力も頭も疲れてしまいます。いつもならここでチョコザップに行って体を動かしてリフレッシュというところですが、今日は時間があまりゆっくり取れず、運動する暇はありませんでした。天気予報で北海道は雪とか、九州も最低気温が9度になると言っていました。昼には暖かく、ホントかなと思っていたら、夕方は上着がないと寒いくらいに冷えてきました。せっかく快適な秋の訪れと思っていたら、いきなり冬みたいになってきましたね。

    冷えてくると、患者さんの訴えで多いのが夜間頻尿です。一晩に3回以上トイレに起きるようなら睡眠も十分取れず翌日に影響することと思います。昔から冷えによる夜間頻尿には八味地黄丸がいいと言われていました。時々患者さんが漢方で治してほしいと言われるので、八味地黄丸を処方してみると、確かに効果が見られます。ちなみに、通常私の診療では夜間頻尿には過活動膀胱の治療薬(ベタニスやべオーバ)とか男性用の夜間頻尿治療薬(ミニリンメルト)を処方します。かなりよく効くので、漢方より確実と思います。もちろんそれなりに副作用の注意が必要なので、安全性から言えば漢方のほうが優れているのは間違いありません。

    過活動膀胱は本来は切迫尿失禁(突然の尿意に我慢できず漏らしてしまう)をベースとした頻尿で、夜間頻尿に限ったものではありません。昼間でも、あまり膀胱に尿がたまらないのに尿意が出てしまうのです。これは、トイレに行けるうちに行っておくという早め早めの排尿習慣が影響して、膀胱にあまり尿がたまらないうちに尿意が出てしまうものです。通常、夜間は抗利尿ホルモンの影響で利尿(尿の産生)スピードが遅くなり、夜にトイレにいかないで済む仕組みがあります。ところが年を取ってくるとその抗利尿ホルモンが少なくなり、夜も昼間と同じスピードで尿が産生されてしまいます。そこで、考えられる治療法は抗利尿ホルモン(ミニリンメルト)を飲むか、膀胱容量を大きくする薬(ベタニスやべオーバ)を飲むかの2択となります。ただし、なぜかミニリンメルトは女性に有効性が示されておらず、保険適応は男性に限られています。女性にも有効な薬剤の開発が望まれます。

    フォー専門店 フォーリーコックス熊本(下通り)でもやしのスープに麺のトッピング

  • 器は食べ物の味を変える

    連休明けの11月5日は忙しくなるだろうと予想はしていましたが、予想とは少し違った忙しさでした。風邪の患者さんが急増しており、発熱のある方とない方の両パターンが見受けられます。あまりに患者さんの数が多いため、発熱がない方にはコロナ等の検査は行いませんでしたが、結果的にインフルエンザやコロナの陽性例は少なく、一般的な風邪症状の方が最も多かった印象です。

    昼間はまるで季節を忘れたかのように、キラキラと太陽が輝き素晴らしい天気でしたが、仕事を終えた頃には激しい夕立が降り始めました。まるで真夏のような天候です。気温も暑いのか寒いのかわかりづらく、「体調がどうもおかしい」という患者さんも多くいらっしゃいます。

    通常、寒い季節の風邪には葛根湯や麻黄湯、麻黄附子細辛湯など体を温める漢方を処方しますが、夏風邪の場合は温めすぎると逆に負担になるため、小柴胡湯加桔梗石膏など冷やす処方を併用します。しかし、この時期はまだ気温が高い日も多いため、温めるべきか冷やすべきか悩ましいところです。私は今でも半袖で冷房をつけたまま診察を行っています。

    さて、以前も書いた話題ですが、再度取り上げてみたいと思います。私は普段、ステンレスの二重構造のカップやお皿を愛用していました。保温性が高く、落としても割れないため非常に便利です。しかし、数ヶ月前にイオンモールの陶器市で波佐見焼の二重構造のカップを購入し、驚きました。保温性ではサーモスに及びませんが、このカップで飲むとお茶やコーヒーが格別に美味しいのです。今日も試しにステンレスのカップでコーヒーを淹れてみましたが、何か物足りなく感じ、そのコーヒーを波佐見焼のカップに移して飲んでみると、瞬時にまろやかで香り高い、美味しいコーヒーに変わりました。不思議なものです。

    人も同じではないかと思います。例えば、同じ人でも適切な職場で働けば、本来の実力が十分に発揮されることがありますが、環境が異なればそうはいかないことも多いです。よく「職場のストレスで仕事に行けない」という相談を受けますが、心療内科や精神科では「それは大変でしたね」と共感するところまでが一般的で、「その職場を辞めて転職しましょう」とは簡単に言わないものです。しかし、「器」を変えることで実力を発揮できるのだと、自宅のコーヒーカップが証明してくれているように感じます。

    つりてまり 下通りにて