むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ものは生きている

    往診中のふとしたことからオアシスのような時間を得ました。アリビオ長嶺という老人ホームに往診に行ったところ、駐車場の目の前の普通のお宅の庭先に陶器が並べてあり、「三美喜八窯」と書いてありました。時間に余裕があったので、往診のあとにそこにならべてある陶器を眺めていたら、色形がとても良い。触ってみたら、思ったより軽くて機能的。これはほしいなと思って、茶碗2つとお皿1枚を買って2000円でした。家に帰って早速晩ごはんをその器を使って食べてみたら、すごい!美味しく感じる。口当たりも柔らかく、気に入りました。

    先日、食べ物は器で味が変わるというブログを書きましたが、まさにそんな感じです。お皿を包んでくれた袋に窯元の説明書きが入っていました。「三美」というのは「形状美・色彩美・機能美」のことだと書いてありました。まさに、私はその三美を説明書きを読む前に感じ取ったのでした。今、買い足そうかと考え中です。

    機械が作った大量生産ものと、窯元の陶芸家が一つ一つ手作りしたものは触ったときに感じるパワーが違います。以前、職員旅行で京都の窯元に行った時、陶芸体験コーナーがあり、ろくろで湯呑みを作りました。色付けや焼き上げはプロの方が行い、出来上がったものが後日送られてきました。握ってみたら、自分の手によく馴染み、ジャストフィットします。考えてみれば当たり前です。自分の手の凹凸で作った茶碗ですからぴったりなのです。それはちょっと例外的ですが、手作りの一点物はやっぱりすごいと思います。

    実は最近、妻が実家からお母さんがキンカンをシロップ漬けにしたものをタッパーごともらってきました。中身は他に移して、タッパーを洗っておいてあったので、サラダの余りを入れて冷蔵庫に入れたりして使ってみました。すると、そのタッパーから義母がみんなのために美味しいご飯を作ってくれていた思いがリアルに伝わってきました。そのタッパーを使うたびに「おいしくなーれ、みんながそれを食べて喜んでくれるといいな」という温かい気持ちが手に伝わってくるのです。自分でもびっくりしました。気持ちは物に宿るんですね。そういえば、車などはそろそろ買い替えようと思うと故障します。物には思いや歴史が宿りますね。「ものは生きている」大事にしましょう。

    三美喜八窯(熊本市)の作品