朝起きるのがつらい、立ち上がるとふらつく、学校や仕事に行きたくても行けない──起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation, OD)は、こうした症状が特徴的な疾患です。特に思春期の子どもに多いとされますが、大人にも見られることがあります。
起立性調節障害は、自律神経系の不調によって、立ち上がった際に血圧や心拍数が適切に調整できなくなる状態です。主に以下のような症状がみられます。
朝起きられない:低血圧や血流不足による倦怠感
立ちくらみ・めまい:立ち上がる際に血液が頭部に十分送られない
頭痛や腹痛:ストレスや血流不全による体調不良
集中力の低下:疲労感や睡眠不足により日常生活に支障が出る
これらの症状が日常生活に影響を及ぼし、学校欠席や社会活動の制限につながることもあります。
起立性調節障害の原因は、複数の要因が絡み合っています。自律神経の不調、思春期特有の成長:身体の成長に対し、血流調整機能が追いつかない、心理的ストレス:学校や家庭でのプレッシャー、睡眠不足:夜ふかし、入眠困難など。最近ではコロナ後遺症でODを呈する症例をたくさん見かけます。これらが複合的に作用し、症状を引き起こします。
起立性調節障害や自律神経失調症にはこれと言った治療薬があるわけではありません。しかし、当院ではいくつかの漢方薬など試すことで改善する症例を見ています。漢方薬:例えば、補中益気湯や苓桂朮甘湯は血流改善や自律神経の安定に有効とされています。昇圧薬:必要に応じてメトリジンという昇圧剤を用いて血圧を調整します。睡眠を改善することも大切です。熟睡できないと朝起きが悪くなるのは当然です。毎日同じ時間に寝起きする習慣をつけることが大切です。必要に応じて中高生でも使える睡眠薬を処方して、きちんと寝る習慣をつけます。ビタミンやミネラル、蛋白などの不足も問題です。当院では、漢方薬と栄養指導を組み合わせた治療を行っています。