むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 器は食べ物の味を変える

    連休明けの11月5日は忙しくなるだろうと予想はしていましたが、予想とは少し違った忙しさでした。風邪の患者さんが急増しており、発熱のある方とない方の両パターンが見受けられます。あまりに患者さんの数が多いため、発熱がない方にはコロナ等の検査は行いませんでしたが、結果的にインフルエンザやコロナの陽性例は少なく、一般的な風邪症状の方が最も多かった印象です。

    昼間はまるで季節を忘れたかのように、キラキラと太陽が輝き素晴らしい天気でしたが、仕事を終えた頃には激しい夕立が降り始めました。まるで真夏のような天候です。気温も暑いのか寒いのかわかりづらく、「体調がどうもおかしい」という患者さんも多くいらっしゃいます。

    通常、寒い季節の風邪には葛根湯や麻黄湯、麻黄附子細辛湯など体を温める漢方を処方しますが、夏風邪の場合は温めすぎると逆に負担になるため、小柴胡湯加桔梗石膏など冷やす処方を併用します。しかし、この時期はまだ気温が高い日も多いため、温めるべきか冷やすべきか悩ましいところです。私は今でも半袖で冷房をつけたまま診察を行っています。

    さて、以前も書いた話題ですが、再度取り上げてみたいと思います。私は普段、ステンレスの二重構造のカップやお皿を愛用していました。保温性が高く、落としても割れないため非常に便利です。しかし、数ヶ月前にイオンモールの陶器市で波佐見焼の二重構造のカップを購入し、驚きました。保温性ではサーモスに及びませんが、このカップで飲むとお茶やコーヒーが格別に美味しいのです。今日も試しにステンレスのカップでコーヒーを淹れてみましたが、何か物足りなく感じ、そのコーヒーを波佐見焼のカップに移して飲んでみると、瞬時にまろやかで香り高い、美味しいコーヒーに変わりました。不思議なものです。

    人も同じではないかと思います。例えば、同じ人でも適切な職場で働けば、本来の実力が十分に発揮されることがありますが、環境が異なればそうはいかないことも多いです。よく「職場のストレスで仕事に行けない」という相談を受けますが、心療内科や精神科では「それは大変でしたね」と共感するところまでが一般的で、「その職場を辞めて転職しましょう」とは簡単に言わないものです。しかし、「器」を変えることで実力を発揮できるのだと、自宅のコーヒーカップが証明してくれているように感じます。

    つりてまり 下通りにて