むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方の併用は慎重にすること

    最近、毎日忙しくしています。訪問診療を合わせると100名ぐらいの診察が連日続いています。思った以上に発熱患者さんが多く、そのうち半分ぐらいがコロナ陽性みたいです。発熱患者さん以外にも、難しい症例が他院から紹介されてきたりして、結構頭をかかえながら治療法を模索しています。漢方で治療するのは専門ですからそれほど難しくないのですが、他の病院で例えば婦人科から更年期の漢方をもらっていたり整形から痛みに漢方が出ていたりすると、それに加えて私が漢方を処方する余地がないという場合があります。こういうときは治療がとても難しく、パズルを解くように治療法を考えます。

    漢方は混ぜれば混ぜるほど治療効果が落ちます。お茶を例に考えると、お茶が飲みたいという人にお茶を出せば喜ばれますが、お茶を麦茶や紅茶とブレンドしたりすると、それが飲みたいのではないと、満足度は一気に下がります。そのブレンド茶の半分は飲みたかった緑茶だったとしても、だめになります。16茶とかありますが、混ぜれば混ぜるほど飲み物としての個性はなくなります。

    漢方も薬味数が少ないほど効き目が鋭く、混ぜれば混ぜるほどマイルドになります。生薬には暖める作用、冷やす作用、補う作用、瀉する作用など反対の作用を持つものがあるので、下手に混ぜると効果が打ち消されてしまいます。そういうわけで、他院からも漢方の処方が出ていて、当院で私も追加の漢方を出すのは相当慎重にしないとこっちの処方も他院の処方も効かなくなってしまうおそれがあります。そこには香水の調香師のような経験と知識と勘が必要になります。