むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 寒熱虚実は漢方の基本

    寒熱虚実とは漢方の診察で患者さんの病態を把握する基本となる軸です。この他に陰陽とか表裏という軸もあるのですが、簡単に寒熱虚実ということにしておきます。寒証の場合温めてあげればいいし、熱症の場合冷やしてあげればいい。発熱患者さんでも、寒気があるといえば寒証です。肌をよく見ると鳥肌が立っているのがわかると思います。逆に、暑いといっている患者さんは汗ばんでいます。肌以外でもわかるのが舌です。舌苔が黄色いのは熱証、白いのは寒証です。舌苔の下の舌そのものの色合いが赤いのは熱証、淡いのは寒証となります。

    他にも見分けるポイントがあります。尿の色が濃いのは熱証、透明に近いのは寒証。便臭が強いのは熱証です。昔の人達は検査機器がない代わりに人間の様子を本当に細かく観察したものだと感心します。

    さて、そこで有名な葛根湯ですが、葛根湯は寒証の人向けの処方(体を温める薬)です。熱があり、寒気がして首から肩が緊張して凝ったように痛くなる。頭痛もする。鳥肌で汗は出ていない。こういうときに使うとぴったりなのです。最近はその一部分を拡大解釈して肩こりとか頭痛に使うことがありますが、基本寒証向けの薬なので、熱証体質のひとが暑い季節にダラダラと飲むと熱証が悪化する可能性があります。気をつけましょう。