むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ビタミンDの摂り方

    このブログでビタミンDが花粉症に効くと書きましたが、それを実践して早速改善したという嬉しい報告がありました。飲み始めて5日で耳鼻科からの薬がいらないくらい改善したそうです。その人は1カプセル1000単位の日本製を1日4カプセル(4千単位)をとったとのことです。何単位を何日飲めば効果が出るかは個人差があります。それは、もともとその人のビタミンDがどのくらいのレベルにあるかということと、その人の肥満度です。ビタミンDは脂溶性ビタミンなので体内に取り込まれたら脂肪組織に取り込まれます。脂肪が多い人は体全体に行き渡るまでたくさんのビタミンDが必要となるのです。

    飲んだビタミンDが吸収されるには、油が必要です。夕食なら油成分が多いと思いますが、朝にパンとコーヒーという感じだと油がありませんから、ビタミンDを飲むには適しません。バターコーヒーにしたり、パンにたっぷりバターやオリーブオイルを塗って食べれば、ビタミンDの吸収も良くなります。まず一日5000単位前後とってみて数日様子を見てください。あまり効果を感じないときは1万単位、1万5千単位、2万単位と増量してみてください。朝夕に分ける必要はありません。油の摂取の多い食事を摂るタイミングでまとめて飲んで結構です。

    効果が出てきたら、後は1日量を減らして結構です。体内の脂肪組織の濃度が必要量に達したと考えられるからです。脂溶性ビタミンは体から急には抜けないため、一旦効果が出たら後はそれを維持するのに必要な量に落としていいのです。私の場合、1万単位を3日に1回で維持できています。また、前に書いたとおり、納豆を毎日食べるか、ビタミンKを一緒に取るようにしてください。ビタミンDの副作用対策に必要となります。

  • 太陽と健康

    仕事が終わって帰宅するとき、まだ明るかったです。金峰山が夕日に染まっていました。嬉しいですね。春がきたなーと感じます。まだ冷えますが、三寒四温です。春になり日照時間が増えてくると気分も明るくなります。これは、目から入る光刺激が体内のホルモンバランスに影響しているということです。その一つがセロトニンです。脳内で気分を穏やかにして不安を取ります。抗うつ薬はこのセロトニンを薬の力で増やしますが、光の力でも増やすことが出来ます。春は元気になるチャンスです。天気のいい日はできるだけ外に出て散歩をしましょう。太陽の光を浴びるのは薬になります。

    もう一つはビタミンDです。ビタミンDは太陽に当たると皮膚で合成されます。日照時間の少ない冬の間は血液中のビタミンDは少なくなり、活動性は低下し、冬眠モードに入ります。代謝が落ち、食べたものは脂肪として蓄積します。春になり、次第に光に当たるようになるとビタミンDが増えてきて、冬眠モードから目覚めます。体は活発になり、溜め込んでいた脂肪も燃焼して痩せてきます。一日家にこもってテレビばかり見てすごしたり、散歩は日が暮れてからしかしないとか、外出するときはサングラス、マスク、長袖、日焼け止めばっちり、という人は夏でもビタミンDは増えませんから要注意です。車の中や窓際など明るい場所でもガラス越しの光では紫外線のUV-Bがカットされますが、それではビタミンDは増えません。直射日光でないとダメなのです。また、年をとると光に当たってもビタミンDを合成する力が衰えます。骨が弱くなる原因の一つです。

    このように、人の体は光にかなり影響を受けます。農業などで外に出て働けば、そういう太陽の恵みを受けられるのですが、私たちはほとんど一日中室内で過ごしています。意識的に光を浴びないといけない時代です。蛇足ですが、最近ナノイー技術で日焼け止めの粒子が極微小化しています。これほど小さな粒子は、皮膚を通過してしまう恐れがあるため、アレルギーなど思わぬ副作用が出る可能性があります。気をつけたほうが賢明だと思います。

  • 家庭血圧を測りましょう

    クリニックの待合室に自動血圧計を設置しました。家庭血圧を血圧手帳につけている場合は必要ありませんが、日頃自宅で血圧を測っていない場合、待っている間に血圧を測っておいていただけると助かります。病院などで血圧を測ると通常より高く出てしまうことがしばしば見られます。そこで最近は、病院での数値より家庭血圧を重視します。血圧の薬の選択をする際にも家庭血圧をもとに調整します。病院での血圧だけを信じて薬を選ぶと強めになってしまい、家庭で低血圧によるふらつきなどの心配があるからです。

    家庭での血圧測定は上腕タイプの血圧計をおすすめしています。手首のタイプは簡易で値段も手頃ですが、信頼できるデータは取れません。手首の血管は上腕に比べて心臓から離れているので血管が細く、ちょっとした温度変化や緊張などの影響を受け易いと考えられるからです。また、手首は動きが大きいため、心臓との位置関係にばらつきが出ます。手首を心臓の高さにして測らないといけませんが、上腕タイプなら最初からマンシェットを巻いたところが心臓の高さになるためそういった心配がありません。また、血圧測定時はゆったりと座って測ってください。足を組んだり変な姿勢で測ると足の方の血行が悪くなってそのぶん腕の方の血圧が上がってしまいます。

    家庭血圧を測る時間ですが、朝は起きてからトイレを済ませてから測ることを勧めています。ちょうど朝の薬を飲む前で薬の効果が薄くなっている時間です。また朝食などの影響が少ない食前が一定の条件で測ることが出来ます。血圧が測るたびに違う値だと言われることがありますが、そのとおりです。心臓は一日に約10万回動きます。その心拍ごとに血圧は変動します。一日に10万通りの血圧が出るわけです。したがって一喜一憂する必要はないのですが、2−3回測って数値が下がれば下がったほうを記録しておいて良いと思います。大抵最初の1回目は少し高く出ると思います。

  • AI技術を活用する時代はすぐそこ

    土曜日は鹿児島で漢方の講演に呼ばれたので行ってきました。診療が忙しいので、最近は県外での講演はほとんどお断りしているのですが、鹿児島は新幹線で1時間で行ける様になったので、土曜の診療が終わってからでも間にあいます。開業してから困るのは学会です。東京や大阪なら鹿児島と同じで土曜の午後から参加できますが、それ以外の都市ではほとんど参加不可能です。必要な点数は九州地方会でなんとかしていますが、それでも結構大変です。

    今はネット社会ですから、実際に参加しなくてもバーチャルで参加することなんて簡単なはずです。専門医に必須の講義をネット配信してもらい、参加費をクレジットカードで引き落としてもらえば、仕事の合間や深夜に受講することも出来ます。海外の学会でさえこの方法なら旅費を使わず参加できます。技術的には可能なはずなので、ぜひ実現してほしいものです。ただ、昔から学会とは名ばかりで、息抜きの小旅行という目的もありますが・・・。

    NHKニュースで見たのですが、ベテラン漁師さんが漁日誌を20年間つけていたそうです。気温、水温、天気、風向きなどと、どの漁場でなにがどれくらい捕れたという日誌です。若手の漁師にその日誌を見せてもピンとこなかったので、人工知能(AI)にそのデータを全部読み込ませたら、今日の天気と風向きならどの漁場に行ったほうがいいと教えてくれるようになったそうです。そのAIの予測をベテラン漁師さんに見せたら、そのとおりだとびっくりしていました。このように経験と勘がAI技術で伝承可能となったのは素晴らしいことです。世の中、どんどん進んでいますね。

    藤崎宮

  • 野菜の栄養

    3月になり、一段と温かくなりました。昼の訪問診療時には車の温度計は17度あり、冷房を入れてしまいました。インフルエンザも一段落して、大忙しだった風邪シーズンも終わったな、と思っていたら、今日はクリニック近くの学校で学級閉鎖しているとのことでした。まだ油断できませんね。

    先日、往診先で小松菜を頂きました。小松菜といえば野菜の定番ですから、うちにも毎週生協から届きます。しかし、頂いた小松菜は私が毎日食べているものとは全く違いました。まず、緑が濃い!ほうれん草でもここまではないでしょう。そして、土がいっぱいついている。最近土がついている野菜なんて、ゴボウかレンコンぐらいしか見かけません。そして、葉っぱはたくさんの虫食い。私は店で買ったものしか食べたことがなかったので、これほど本格的な無農薬野菜は初めてです。さっとお湯にくぐらせてごま油、ナンプラー、塩コショウ、韓国唐辛子をあえてナムルにして食べたら、美味しいことこの上ありません!比較のために同じ手順で生協で買った小松菜もナムルにしてみましたが、味の濃さが全然違いました。無農薬の違いだけでなく、おそらく土の栄養が違うのだと思います。

    実は野菜の栄養価はこの50年で劇的に低下しています。例えば、ほうれん草は鉄が多いと言われていますが、1950年のほうれん草は鉄が13mgでしたが、2000年では2.7mgに低下しています。5分の1です。その他の栄養もことごとく低下しています。もはや野菜を食べればビタミンやミネラルが取れるという時代ではありません。自分はバランス良く食べているから大丈夫と思ってはいけません。皆さんもきっと現代の栄養失調です。

    参考:https://news.ameba.jp/entry/20130104-294

    熊本空港の到着ロビーにて