むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 聞きっぱなしの講演会

    仕事が終わったら、急いで県庁へ向かいました。熊本県が取り組んでいる糖尿病性腎症の取り組みとしての研修会です。「関係者各位・・・熊本会場か八代会場のいずれかに参加してください」というかなり強制的な文面です。仕方ないので、なんとか時間をやりくりして参加してきました。相当大きな大会議室です。スライドは遠すぎて小さくしか見えません。500人位来ている気がしました。研修内容は糖尿病内科の教授と腎臓内科の教授の講演2本立てです。

    糖尿病と腎臓病は医学の中でもすごく遅れている分野です。糖尿病はこの数年でやっと新薬が出てきて治療が進化しましたが、それまでずっと停滞していました。腎臓病に至っては未だに治療薬はなく、減塩、蛋白制限、血糖、血圧とコレステロールの治療しかありません。あとは透析を待つだけです。それほど遅れている分野で治療法がないために透析患者が増えて医療費が増大し、国の財政を圧迫するのです。

    さしたる治療法がないのにこんな研修を夜の9時まで聞かされて、結局どうするの?という感じがします。講演を聞いて我々の診療が変わるとはとても思えません。県も協力した医師会や講演した教授たちも、みんな帳面消しのような気がします。やりました、参加しました、というためだけに時間を売った感じです。日本の講演は聞くだけです。アメリカなら国が広すぎてみんなで集まることは物理的に不可能なので、インターネットを使った講演が多く、しかも最後には必ず習熟度テストがあります。そこに、講演のポイントが凝縮しているので、講演を聞かずにテストだけ受けてもいいし、テストが出来なかったらもう一度関連部分の講演を聴き直すことも出来ます。日本も、このように費用対効果の優れた講演会にしてもらいたいです。