むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 血糖測定は随時採血がおすすめ!

    最近は診療のあとでZOOM講演会で話をする機会が多くなってきました。この前の土曜日は学生の漢方サークルの勉強会でした。今日は先程まで宮崎の漢方の勉強会にコメンテーターとしておよび頂いたので、参加しました。明日は地元の糖尿病の勉強会で私の得意な分子栄養学について講演します。来週も漢方講演会で座長を頼まれているのが1つと、自分で主催する熊本東方医学研修会というWEB学会で司会と講演をすることになっています。どれも気を抜けないので、今月いっぱいは忙しい日が続きます。

    昨日、中性脂肪の話を書きましたが、今日は血糖の話を書いてみます。血糖は、健診では朝食抜きで測ります。これは空腹時血糖といい、109以下が正常とされています。しかし、この検診で測る空腹時血糖だけでは糖尿病(予備群)を見逃すことがあります。それは、食後高血糖の人です。空腹時は正常でも、食後に測ってみるとものすごく高くなる。例えば、食後の採血で200超えていたら糖尿病の診可能性が高いです。したがって、血糖に関しては、空腹時ばかりを採血せず、食後60分、90分、120分といろんなタイミングで測ってみるのがいいと思います。これを随時血糖といいますが、診断的価値が高いので空腹時の採血よりおすすめです。

    すでに糖尿病と診断されていて、家庭で自己血糖を測る場合も同じです。朝食前に測れば、数値は低く、コントロールはいいように見えます。ところが、食後に測ると、何を食べたかでものすごく変動します。例えば、とんかつ。カロリーは高いですが、ご飯を食べなければ血糖は上がりません。一方、カツ丼にすると恐ろしく血糖が上がります。丼ぶりご飯がいかに糖尿病に悪いかは食後血糖を測ってみるとわかります。

    <結論>空腹時だけでなく食後血糖も測ってみましょう!

  • 高中性脂肪について

    健診で中性脂肪が高いと指摘されることは多いと思います。ちょっと食べすぎるとすぐに上がってしまいます。中性脂肪は脂肪と言う言葉ですが、油だけでなく甘いもの(炭水化物)を食べすぎても上がってしまいます。また、食べたカロリーを運動して消費すればいいのですが、食べてすぐ寝る、みたいな生活をしていると、食べたカロリーが余剰となり中性脂肪に変換されます。採血の日は朝ごはんを食べないのが基本となっています。これは、血糖が変動するので、正確に測れないため朝食抜きで来ていただくのですが、中性脂肪も食べたらすぐ上がります。健診の再検査でも朝ごはんは抜いて来院してください。

    中性脂肪は150までが正常範囲ですが、ちょっと食べ過ぎたりすると200くらいまでは軽く上がります。ビッグマックを1個食べてすぐ採血すると、人によっては1000くらいまで上がることが知られています。採血して遠心分離機にかけると血液は白濁してドロドロ状態です。上がった中性脂肪は肝臓などに取り込まれて処理されるわけですが、人によってはそのスピードが遅くいつまでも高値となります。私達が薬を処方するかどうかはだいたい500あたりが目安になると思います。

    最近私が見た最高値は4000を超えるものでした。驚きです。これは食事のせいではありえません。遺伝子レベルの異常(体質)と考えます。食べ物を気をつけたぐらいでは太刀打ちできません。分子栄養学的に考えて、ビタミンB1(チアミン), B2(リボフラビン)、B3(ナイアシン)、L-カルニチンなどを目一杯入れると多少でも改善するのではないかと思い、飲んで頂くことにしました。この次に効果判定の採血をします。楽しみです。

    雨上がり2

  • 魚を食べましょう

    昨日の雨で九州は梅雨入りしたそうです。一方、今日はカラッと晴れたいい天気で風も涼しく快適でした。朝いつものように5時には起きて、日頃は軽くコーヒーくらいしか取らないのですが珍しく朝からちゃんとした食事を取りました。その後、恒例の久木野温泉「四季の森」まで朝風呂に入りに行きました。阿蘇から帰ってきて、これからの長雨の前の貴重な晴れだったので、キッチンマットやベッドのシーツ、枕カバーなどたくさん洗濯しました。当院患者さんで陶芸家の方がおられるのですが、鶴屋で開催されている西部伝統工芸展に出品していると聞いたので、見に行きました。細かい細工がしてありとても芸術性が高く感動的でした。作者の方がわざわざ出迎えていただき、どうやってその図柄・細工を作ったのか、そしてどんな苦労があったのかを解説してくれたので、ますます理解が深まりました。

    あとの時間は先日開催された東洋医学会のオンディマンド配信をひたすら見続け、午後には久しぶりにスポーツジムで運動しました。このところ忙しくてジムに行く暇もなく、体力が落ちているのを実感しました。ジムでは走りながらNetflixで見たかった韓国ドラマも見ることができて、一石二鳥です。せっかくクレア(イオンモール嘉島)にいったので、ひさしぶりに回転寿司に行きました。今は回転せずiPadで注文するとレールの上に注文品が届く仕組みです。随分値上がりしているのにはびっくりしました。

    健康のためにタンパク質をしっかり取るようにと患者さんにお話しますが、肉、魚、大豆などタンパク源はいろいろあります。自分では肉と納豆はしっかりとるのですがどうしても魚が少ない。それで今日は回転寿司に行って、あらの味噌汁でオメガ3(EPA,DHAなどいい油成分)の補給です。本当なら、肉より魚をたくさん食べたほうがいいと思いますが、魚では鉄の補給が十分でないと思われますので、鉄の少ない女性は赤身の肉をしっかり食べましょう。レバーは鉄は多いけど毎日食べるのは難しいと思います。

     

    雨上がり

  • 医学部学生とオンライン漢方勉強会

    土曜日は九州各地の医学部にある東洋医学サークルの合同勉強会「九鼎会」が開催されました。コロナ前は阿蘇のホテルに全国から集合して学会のような勉強会をして、夜はお酒を酌み交わしながら徹夜でワイワイ騒ぐという大学生らしいのりで、私達ドクターも講師として参加すると若返ったように楽しい会でした。この2−3年は残念ながらリアルの会ができない代わりに、今日はZOOMを使って全部で80名ほどが集まり勉強しました。私は午前の診療が終わったのが12時58分で開会2分前でした。診察が終わったと同時に電子カルテからZOOMを開いてギリギリ間に合いました。

    大学生の研究発表がしばらく続き、夕方から私の講演となりました。コロナ後遺症の治療の話をしました。学生さんたちは本で勉強してとても詳しいのですが、臨床の現場を知らないので、私の話は理論より現場の実体験を中心にプレゼンしました。興味を持ってもらえたら良かったと思います。

    勉強会が終わり、急いでご飯を食べたら、今度はZOOM懇親会です。80名もいると話ができないと思っていたら、5−6名ずつのブレイクルーム(班分け)となり、そのメンバーで15分ほど雑談する方式で延々班分けを変えながら違うメンバーたちと雑談しました。私にとっては子供と同じ年くらいのみんなですが、お互い漢方好きということで話も盛り上がり、気がついたら夜も12時。先程お開きとなりました。徹夜にならずに良かったです。

  • 体の水を調性する漢方

    去年の梅雨は長雨でしたが、今年は梅雨入りが遅れているようです。こういう年は、梅雨末期に最初降らなかった分までどっと降ることがあるので、7月に入ってからの豪雨に注意です。梅雨は梅雨らしく普通に雨が降ってくれるのが一番いいです。梅雨に頭痛が悪化する人がいます。偏頭痛の体質です。こういう体質の方は五苓散がよく効きます。天気予報を見ながら明日雨になりそうだ(天気は下り坂)と判断したら五苓散を飲んでおくと頭痛予防になります。梅雨時は毎日のんでもいいくらいです。実際、毎年この時期は五苓散が欠かせないと取りに来られる患者さんはたくさんおられます。

    五苓散は体から余分な水分を取り除いて頭痛や吐き気、むくみなどを改善する働きがあります。水の過剰な状態を漢方では水毒(日本漢方の呼び方)とか痰飲(中医学の呼び方)といいます。お酒の飲みすぎも水毒なので五苓散が効きます。感染性胃腸炎で水様の下痢をするときも水毒ですから五苓散です。女性で生理前になると体がむくんだり頭痛がするというのは女性ホルモン(黄体ホルモン)の影響ですが、これも水毒の症状なので五苓散がよく効きます。

    一方、体が水不足の状態を陰虚証(中医学の呼び方)といいます。コンコンと乾咳をするのは気道の潤いが足りないと考え、麦門冬湯を使います。目が乾くとか口が渇くという場合、六味丸、温経湯などを使います。アトピーなどで乾燥肌が著しいときは当帰飲子です。どんなクリームを塗っても改善しない肌が不思議と潤ってきます。内側から治してくれる漢方は面白いです。