むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 腫瘍マーカーの話

    健康診断や人間ドックでは、オプションで腫瘍マーカーの測定があると思います。しかし、腫瘍マーカーは癌と確定した人の術後や化学療法後に効果判定と再発の予測のためにフォローするのが普通です。癌が確定していない人の採血で腫瘍マーカーが上がったのが見つかっても、どこにがんがあるのかわからないし、それを検査するには全身MRIやPET検査などが必要となります。学会もそのような無駄な検査を防ぐためにも健診やドッグでの腫瘍マーカーの測定は推奨していません。では、なぜそんな検査をオプションにしているかというと、私が思うに単なる健康ビジネスです。健診で引っかかればあとはCTや胃カメラなどどんどん検査して病院にお金が入る構造。本当に無駄だし、検査結果が出るまでヒヤヒヤして気が気でないという意味でも体に良くないです。

    当院では、オプション(自費)での腫瘍マーカーの測定は行っていません。たまに、PSA(前立腺がんのマーカー)を測ってほしいと言われることがあります。以前測って高かったとか、エコーをしたら癌かもしれない影が見つかった、などという場合は測る正当な理由になりますから当院でも測定します。

    患者さんの中には、とても検査好きの人が結構多く、頭がいたいとCTやMRIを繰り返し撮る。検査をしないと心配で仕方ないのは、ネットで自分の症状を検索して、怖い病気の可能性ばかり考えるからです。頭痛がしてCTやMRIをとらないといけないような病態はめったにありません。的はずれな疾患を恐れて検査ばかり受けていると、検査で無駄に被爆したり、検査の合併症にあってしまうこともあるでしょう。検査で得られるメリットと合併症のデメリットのバランスを考えないといけません。しかも、医療ビジネスの鴨になっていることも自覚しないといけません。

    久木野はもう田植えが終わっていて田んぼは青々としています