むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 漢方やサプリは万能ではない

    当院では漢方を積極的に使って治療しています、また、このブログでご存じの方も多いと思いますが、ビタミンなどのサプリを利用した分子栄養学にのっとった治療も行っています。しかし、何でもかんでも漢方やビタミンで治せるかといえば、そうではありません。例えば、心筋梗塞にかかった患者さんで、今飲んでいる薬を漢方やサプリに置き換えてほしいという希望で来られる場合があります。しかし、これはおすすめしません。心筋梗塞にかかった場合、血管が詰まってしまったわけなので、血液をサラサラにするアスピリン、動脈硬化を安定化させるスタチン、血圧と脈拍をコントロールするカルシウム拮抗剤やβブロッカーなど、絶対必要な薬ばかりです。これを、血液サラサラにするサプリとか、血圧を下げると言われるトクホみたいなものに変えたら大変です。数年後には目に見えて差が出てきます。標準治療をすれば、再発しないのに、変なサプリをつかえば、再発、心不全進行、全身状態悪化、さらなる合併症併発という流れになるのは目に見えています。

    しかも、サプリは怪しいものもたくさんあり、月に2−3万かかるものもザラにあります。エビデンス(薬の効果を科学的に評価したもの)のないものにそんな金額払えません。100歩譲ってサプリを飲むとしても標準治療をおろそかにしてはいけません。西洋医学の標準治療というのは、大規模臨床試験でどの薬が良いか、どんな治療が良いかを何万人もの被験者(研究協力者)のおかげでデータをとり、統計的に証明された結果です。そんなに大切なエビデンスを無視して、自分勝手な解釈でサプリをのんで標準治療を放棄するのはとんでもないことです。

    私が漢方を使うのはそれほど大切な西洋医学のエビデンスを考えても漢方のほうが絶対優れている(治療成績がいい)と思うときだけです。西洋医学と漢方をどちらも勉強している日本の医師はそういう判断ができます。みなさんは日本で医療を受ける事ができて幸せです。中国も韓国も中医師(韓医師)と西洋医は別の免許なので総合的判断ができないのです。