むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 体の水を調性する漢方

    去年の梅雨は長雨でしたが、今年は梅雨入りが遅れているようです。こういう年は、梅雨末期に最初降らなかった分までどっと降ることがあるので、7月に入ってからの豪雨に注意です。梅雨は梅雨らしく普通に雨が降ってくれるのが一番いいです。梅雨に頭痛が悪化する人がいます。偏頭痛の体質です。こういう体質の方は五苓散がよく効きます。天気予報を見ながら明日雨になりそうだ(天気は下り坂)と判断したら五苓散を飲んでおくと頭痛予防になります。梅雨時は毎日のんでもいいくらいです。実際、毎年この時期は五苓散が欠かせないと取りに来られる患者さんはたくさんおられます。

    五苓散は体から余分な水分を取り除いて頭痛や吐き気、むくみなどを改善する働きがあります。水の過剰な状態を漢方では水毒(日本漢方の呼び方)とか痰飲(中医学の呼び方)といいます。お酒の飲みすぎも水毒なので五苓散が効きます。感染性胃腸炎で水様の下痢をするときも水毒ですから五苓散です。女性で生理前になると体がむくんだり頭痛がするというのは女性ホルモン(黄体ホルモン)の影響ですが、これも水毒の症状なので五苓散がよく効きます。

    一方、体が水不足の状態を陰虚証(中医学の呼び方)といいます。コンコンと乾咳をするのは気道の潤いが足りないと考え、麦門冬湯を使います。目が乾くとか口が渇くという場合、六味丸、温経湯などを使います。アトピーなどで乾燥肌が著しいときは当帰飲子です。どんなクリームを塗っても改善しない肌が不思議と潤ってきます。内側から治してくれる漢方は面白いです。