むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 自力本願で生きる

    今週から来週にかけて3つ講演をしないといけないので、自由な時間がほとんどなく、忙しくしています。税理士さんなどからアポイントの連絡があってもずっと先の日しか合う時間が取れません。10分の面談時間でさえ確保が難しい状況が続いています。唯一、ちょっと時間がとれるのは朝の6時半から8時頃までの1時間半です。ただ、最近はその時間に大量の診断書などの種類を書いたり、夜に時間が取れないため朝から帳簿をつけたりしているため、始業前も忙しいのです。天気がいいので歩いて通勤したいのですが、車で10分の距離も歩けば30分以上かかります。その差の20分でできることを考えれば、1分も無駄にできないため、車通勤になってしまうのが現状です。

    今は6月ですが、毎日のように5月病の患者さんが来られます。4月に新しい部署に移ったり転勤になって、2ヶ月ほど頑張ったけどどうもなじまない、苦手な上司がいる、営業は自分にあっていない、などなどそれぞれの悩みとストレスで体調を壊しているようです。不眠、頭痛、吐き気、下痢、動悸など多彩な症状を訴えられます。土曜は楽になるけど日曜になると明日の仕事のことを考えるとまた不調になる。昔このような人をサザエさん症候群とか言っていました。日曜夕方になると不調になるという意味です。

    異動は自分で望んでする場合問題ないですが、「させられ感」満載の場合、ちょっと不満があると調子悪くなります。もし、自ら望んだ転勤ではなかったとしても、そこから新しいスキルを身につけるチャンスとか、人脈を広げるチャンスとか、能動的に考えて動くことでストレスは軽くなります。ちょうど子供が親から勉強しなさいと言われても嫌ですが、大きくなったらプログラミングを極めてシリコンバレーで働きたいとか具体的な夢を持った途端、苦手な英語も物理も積極的に勉強することでしょう。与えられた環境の中でも自分のしたいことを見つけて自力本願で過ごすことが大切です。間違っても人のせい、会社のせい、上司のせい、と他人に責任を押し付けては幸せになれません。

  • 養生こそ大切

    今週から、先日開催された東洋医学会総会のオンディマンド配信が始まりました。学会期間中はリアルタイムの講演を聴くのと、一般演題がオンディマンドで配信されていましたが、今度はシンポジウムやランチョンセミナーなどすべて見ることができます。私にとっては宝の山です。全部見たいのですが、時間がありません。ご飯を食べながら、朝新聞を読みながらと全ての時間を講演を聞く時間に当てています。これが、学会がWEB配信だからこんなに勉強できますが、リアルの学会だったら週末ちょこっと会場に行って参加費を払ったら、全国の知り合いの先生と会って挨拶をしたりお茶をしたりで勉強どころではありません。今までなんてもったいないことをしていたんだと思います。

    漢方の学会なのに、漢方を出すより大事なことがあると力説する先生の特別講演がありました。その、大事なものとは「養生」です。例えば、お腹が冷えて痛んだり下痢する人にお腹を温める漢方を処方するのは漢方専門医なら当たり前です。しかし、それより何よりお腹や足を冷やさないようにすること、冷飲食を避けること、足湯などをしてからだをあたためること、など自分の体調や体質を理解して間違えた生活習慣を避け、養生することが大事だとのこと。ごもっともです。しかし、私たちの通常の診療で、なかなか生活習慣の指導までは行き届きません。例えば糖尿病の人に甘いものを食べないように、果物や飲み物も気をつけるようにとは言いますが、漢方養生の話までは十分できていないなーと反省しきりでした。

    一方、当院通院中の80も過ぎた糖尿の方で、、ヘモグロビンA1cが7.2でした。通常7を切ることを目標としますが、80も過ぎてそこまで頑張らなくても十分です。8を切っていれば十分なのですが、その方は若い頃に指導されたことが頭から離れず、かなり食事を気をつけて何も食べていないのにA1cが下がらないのはどうしましょう、と言われます。「そんなこと気にせず食べたいものを食べてエンジョイしましょう。今こそ思い残すことないくらい自分にご褒美をあげましょう」と言いたいのですが、言っても聞いてくれそうにないので言いませんでした。

  • 利尿作用のあるとうもろこしのヒゲ

    患者さんに新じゃがを頂いたので、さっそくシャープのヘルシオ(ホットクック;自動調理具)で肉じゃがにしました。無水調理ができるので、水はほとんど入れずにみりん、酒、醤油などの水分と野菜から出る水分で出来上がります。ホクホクの肉じゃが、美味しくてびっくりです。また、別の方からは家庭菜園で取れたとうもろこしをいただきました。これも、水で茹でると味が抜けてしまうので、キャンプに使うダッチオーブンに少量の水を入れて、コーンの皮を一枚のこした状態で蒸してみました。甘くて最高でした。

    とうもろこしのひげが漢方になるのをご存知ですか?利尿作用があり、むくみが取れます。ひげを集めて煎じて飲むのですが、たいした味はしません。コーン茶なら香ばしいので、嗜好品として飲むならコーン茶にひげを一緒に煎じるといいかもしれません。注意したいのは、とうもろこしはとても虫がつきやすく、虫がつくときれいな商品ならないため、通常売ってある商品には大量の農薬が散布されているそうです。その場合、ひげを煎じるのはお勧めしません。無農薬栽培と証明されているものか家庭菜園のものを使ってください。

    むくみをとる民間療法でもう一つ思い出しました。小豆の茹で汁は利尿作用があります。おしるこやおはぎなどは小豆を煮たものですが、砂糖が多すぎて健康に良いとは言えません。自分で小豆を茹でて茹で汁を飲むのが最も健康的です。茹で汁をミニストローネ風のスープにすると良いでしょう。もちろん茹でた小豆は砂糖を使わず、サラダのトッピングなどにしてオリーブに塩コショウ、レモン汁などで食べるのが健康的です。ご飯に混ぜて赤飯風にしてもいいかもしれません。

  • 薬物依存症の話

    昨日、睡眠薬をもらうのにいろいろ言い訳は必要ないと書きました。しかし、ひとつ例外があります。初診の場合です。全く面識のない初めての患者さんで、いきなり睡眠薬(銘柄を指定)がほしいと言われれば、こちらも警戒します。医師会からはそういうふうに転々と医療機関を回って睡眠薬や安定剤を欲しがる人の注意喚起(ブラックリストのようなもの)が送られてきます。近所の人ならまだしも、遠くから睡眠薬や安定剤がほしいと言って来られても、簡単には出せません。それなりに病歴を聞いたり、他の病院でもらっている薬はないかを確かめたりする必要があります。

    このように、薬(睡眠薬や安定剤)を欲しがる理由は、依存症になるからです。麻薬と同じで依存してしまったら自分の意志の強さなど関係なく薬がないと生きていられなくなってしまいます。睡眠薬で多いのはマイスリー(ゾルピデム)、ハルシオン(トリアゾラム)など。安定剤で多いのはデパス(エチゾラム)、ソラナックス(アルプラゾラム)などです。こういうクスリを名指しでほしいといえば絶対疑われます。あちこちの病院でたくさんもらっている人は、転売するようなヤクザのような人は少なく、自分が規定以上の量をのまないと眠れないとか、落ち着かないという人がほとんどです。依存症ですから、クスリが切れると痙攣したり意識が朦朧となったりして、本当に命の危険があります。

    このような依存症の人はしかるべき病院に入院して、少しずつクスリを抜く治療が必要です。隠したりごまかしたりせず、クスリがたくさん必要(依存している)とカミングアウトしてください。覚せい剤や麻薬と違って逮捕されたりはしませんので、精神科の病院に相談しましょう。

  • 睡眠薬の話

    雨の日曜日となりました。週間天気予報によると梅雨入りはまだで、今週いっぱいは蒸し暑くもならず快適な日が続きそうです。6月のカラッと晴れた日は最高です。今日は久しぶりに何も予定が入っておらず、8時まで寝てしまいました。いつもは5時おきなので、3時間余分に寝た計算です。すごく贅沢な気分です。ただ、毎日8時間寝ろと言われたら僕には無理です。余程苦痛です。時々、睡眠薬がほしいということで来院される患者さんで、朝5時頃目が覚めるからあと2−3時間眠れるようにしてほしい、と言われます。患者さんの希望なので処方しますが、私にとっては5時おきが普通なのでなんでそこで目が冷めたらさっさと起きて朝活をしないんだろうと思ってしまいます。

    ところで、睡眠薬を飲むのは罪悪感があるようで、やめたいのにやめられない、だけど飲まないと翌日がきつくて仕事にならない、といって、外来でくどくどと言い訳をされる方が大勢います。別に言い訳はいらないと思います。もっと寝たい、寝ないときつい、という歴史はおそらく人類始まって以来人の欲求の大きな部分を占めていると思います。私が思うに、薬がほしいと思ってあれこれ薬草を飲んでみた歴史の最も古いところは痛みが取れる薬と眠れる薬の2つから始まったのではないかと思います。

    柳の木で作った爪楊枝を使うと口の痛み(おそらく歯周病)が取れたという歴史からアスピリン(バファリンなど)ができました。犬の散歩をしていると、犬ははえている雑草のなかから自分の体調に必要な葉っぱを不思議な能力で見つけて食べたりします。人はそれをみてこの葉っぱは食べても毒でないというのを知り、一つ一つの薬効を検討したのだろうと思います。いまから2000年以上前の中国の文献に神農本草経というのがあり、漢方(生薬学)の基礎となっています。(興味があれば⇒http://www.eisai.co.jp/museum/herb/familiar/honzokyo.html