むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • フラッシュバックを治す漢方

    3月11日、東日本大震災から11年目ですね。コロナとかウクライナとか大きな問題が多すぎて地震のことをみんな忘れているようで、ネットを見てもほとんどニュースになっていません。しかし、災いは忘れた頃にやってくるといいます。2度とあんな目に会いたくないと思っていても地震大国日本ですから、必ず繰り返します。少なくとも、前の災害の経験は大切に教訓として生かして、今後に備えましょう。熊本は東北のあとに大地震にみまわれたので、まだ記憶に新しいです。

    大地震のような災害のあと、怖かった経験がトラウマとなってフラッシュバックしてくると、パニックみたいになってしまったり、不安、不眠で体調を壊す人もたくさんいました。今ではだいぶ少なくなってきましたが、震災の後はそういう患者さんをたくさん見ました。最近のコロナ禍でも不安、不眠などで体調を壊す人はたくさんいるので、背景は違うものの病態はおなじです。

    じつは、フラッシュバックは神田橋処方という漢方処方がよく効きます。災害のような大きな精神的ダメージでなくても、お姑さんから言われた一言が何十年たってもフラッシュバックしてきて動悸がするとか、会社で上司にひどく怒られたことが急に頭に浮かんで吐き気がするとか、いろいろありますが、どれも神田橋処方を試す価値アリです。不思議とフラッシュバックが減って、生活が楽になったと言われます。

  • 月経前症候群の治療

    漢方が得意な分野として産婦人科領域があります。明日は熊本産婦人科漢方勉強会で講演を頼まれており、今日は最終的な準備中です。昨日も書いたように講演をするのは慣れているのですが、内容がためになる話でないと貴重な時間を使って聞いてくれる人たちに申し訳ないので、入念に予行をしています。予行とはいえ、声に出して発表練習をするわけではなく、スライドを見ながらそのスライドで言うべきことを何度もくりかえして、本番で言い忘れないようにするための練習です。私が大学院のときに受けた指導で、発表するときには原稿を書くな、読むな、というもの。原稿を読むとどうしても棒読みみたいになって心に響きません。原稿なしで発表すると言葉が素直に入ってきます。一番ダメなのは原稿を書いて覚えて、そらんじて一字一句間違えないように発表するというやり方。発表者が講演の内容より暗記した原稿を必死に思い出しているため、感情がこもりません。

    そういう私が明日発表するのは漢方薬を構成する生薬の基礎理論です。初学者には難解なのですが、こういう基礎をとばしては腕が上がらないので、熱心に勉強される先生たちに考える基本を講義しようと思ったわけです。しかし、その内容をここに書いても仕方ないので、今日は月経前症候群(PMS)について書いてみようと思います。月経前症候群は女性の性周期で月経前には黄体ホルモン期があるのですが、そのときにイライラしたり不安、不眠、頭痛、めまい、吐き気、浮腫などいろいろな不調が起こります。生理が始まるとす~と楽になるのですが、翌月もまた同じ症状を繰り返すというものです。

    婦人科の先生はこういう場合加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散などを使うことが多いのですが、その3つだけでは太刀打ちできません。五苓散、苓桂朮甘湯、抑肝散加陳皮半夏、半夏厚朴湯など上げればきりがありません。そして、それだけ漢方を駆使しても症状が取れないときは私は西洋薬を使います。心療内科でよく使う精神安定化剤がとても良く効くので、よそで治療して治らなかったというときはそういう治療を併用することにしています。理論と経験で難しい症例にも一定の成果を出しています。

  • 緊張して発表がうまくできない人へ

    私は、熊大の第二内科で大学院に進みました。もう25年ぐらい前の話です。大学を卒業してまだ大学院で勉強するのかというと、答えはYesでもありNoでもあります。というのは、大学院というのは講義を聞いて勉強するわけではないからです。与えられたテーマについて自分で考え、仮説を立ててそれが正しいかをひたすら実験し、検証する毎日です。そして、大きな発見は4年間の大学院で1つできればいい方なので小さな発見をコツコツと学会発表して世界のトップと意見交換をし、時には批判を受け入れ軌道修正するのです。したがって、学会発表が仕事のようなもので、何百人もの前で発表したり、英語での発表だったりで次第に講演職人みたいに人前で発表することになれてきます。それでも、初めて国際学会で英語の発表をしたときは家で何度も何度も繰り返し予行練習したのを覚えています。

    このように人前で話すとき、緊張で声が震えて話せなくなったり、頭が真っ白になって全て忘れてしまって大恥をかいたという人もいると思います。そのような緊張をとる薬がほしいと来院される方がいます。例えばPTAで役員になってしまって、みんなの前で話さないといけないとか、職場で朝礼当番が回ってくるとか、そんな感じです。なかには、葬式で名前の記帳をするとき手が震えてしまったので治してほしいという人も来院されます。このような症状は治療することができます。予定がわかっていればその日だけ薬を飲む方法もあります。

    一方、運転で渋滞が苦手でパニックになるとか、美容室や歯医者が苦手でじっと座っているのが無理という場合もあります。これも少し時間はかかりますが、治療可能です。困った、無理、と諦めるのではなく、治療できるんだということを知っていただきたいと思います。なお、こういった相談は心療内科で受けていますが、当院の心療内科は予約制になっています。まずは電話でご確認ください。

    熊本のヒルズ サクラマチのタワマン

  • 桜の開花まであと少し

    結構冷えますね。朝は2℃か3℃くらいでした。昨日は東京マラソンがあっていたようです。TVでちらっと見ました。コロナも吹き飛ばすようにこういうスポーツイベントは元気に開催してもらいたいものです。気分はそろそろ花見かなと言う感じですが、まだ先のようです。名前はしりませんが、ソメイヨシノではない種の桜は咲いているところがありますね。私も先日辛島公園で見かけたので写真を取りました。きれいです。

    Netflixで韓国ドラマをみているとあちらも桜が満開で花吹雪のシーンを良く見かけます。同じくロマンチックなシーンなどで象徴的に使われています。マラソンをする人は知っていると思いますが、韓国の慶州さくらマラソンというのがあります。日本からも大勢参加者がいたようですが、この2年位はコロナのために開催されていないようです。HPを見ると、本当にきれいな桜並木がコースとなっています。私も、もし休暇が取れるようなら国際マラソン大会などに出てみたいものです。さくらマラソンといえばもう一つ、さがさくらマラソンというのがあります。この大会は参加したことがありますが、開催日にちょうど桜が咲いているかどうかは運です。私が出たときはまだ開花前でした。HPを確認したら、今年は開催されるようです。

    当院の前は高校と大学のグランドがあり、桜が沢山あります。クリニックの待合の窓から見る満開の桜も心躍るものがります。最近、造園業をしている私の友人がクリニックの外回りの手入れを定期的にしてくれており、相当きれいになりました。そんなクリニックと満開の桜のコラボ、早く咲かないかなーと心待ちにしています。

    サクラマチ前にて

  • 「足がつる」はMg不足が多い

    春ですねー。昼は車に乗るときクーラーを入れました。今年初です。それでも、日が暮れるとダウンが必要なくらい冷え込んできました。寒暖の差が大きいので風邪引かないように注意しましょう。日曜日、快晴だったので今週も布団を干したりシーツなどの洗濯をしたりで忙しい。朝から介護保険の主治医意見書の書き方という講習会(WEB)に参加しました。3時間の長丁場でしたが、以前は会場に集って聞く方式だったのが、オンディマンドのオンライン講習になったので、早起きして朝から勉強できました。時間が効率的に使えて助かります。昼からは北陸漢方セミナーというのがあり、参加しました。最近はオンラインで日本全国の勉強会に参加できるので、勉強の機会が10倍くらいに増えました。しかも、超一流の講師で熊本にいてはめったにお目にかかることができない。それにしても北陸とはどこのことかよくわからないまま参加しました。

    午後はいつものようにジムでトレーニング。アマゾンプライムでドラマを見ながら5キロ走りました。走ったあとにマシンで腹筋を50回したら腹筋がつってしまいました。いたーい。トレーニングは終了して温泉で汗を流しました。リフレッシュ。また次の一週間の充電が完了しました。

    筋肉がつるという訴えは珍しくありませんが、西洋医学ではほとんど治療法がありません。漢方では芍薬甘草湯という処方が特効薬として広く知られていますが、甘草の含有量が多いため長期に使用すると副作用が出ます。そこで私はかわりに四物湯を用います。また、筋肉の痙攣はマグネシウムの不足が原因とされており、お風呂にエプソムソルトというマグネシウムの入浴剤を入れると経皮的に吸収されて効果があるようです。マグネシウムの内服薬は吸収が悪く、下剤として用いられます。腎機能が悪い人は逆に高マグネシウム血症になりやすく、吸収が悪い下剤のマグネシウム製剤さえも注意して飲む必要があります。