むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 医療の常識は時代とともにかわるもの

    暖かくなると血圧は少し下がります。上がったり下がったり変動していた人も、次第に落ち着いてくる季節です。一番小さい規格の降圧剤(たとえばアムロジピン2.5mgやバルサルタン40mg)だけを飲んでいるひとの場合、これから夏にかけてうまく下がってくれれば降圧剤を中止することも可能です。頑張って塩分制限したり、運動の習慣を心がけてみてください。よく、血圧の薬を一度飲み始めると一生やめられない、などという話がありますが、実際にはそんな事はありません。生活習慣からくる高血圧の場合、薬をやめることは可能です。一方、アルドステロン症その他、体質的に高くなってしまう場合、塩分制限など頑張ってもさほど下がらず、薬がやめられない場合もあります。いずれにせよ、これから数ヶ月頑張ってみることをおすすめします。

    糖尿病も生活習慣病と言われて久しいですが、実際にはそれほど不摂生していなくても糖尿病を発症する人もいるわけですから、必ずしも生活習慣病ではありません。遺伝的な素因も多分に影響します。昔の町医者は患者を叱るのが仕事と思っているような人も多く、食べ物が悪い、運動がたりないと誰それ構わず怒り散らしていた時代もありました。もし本当に不摂生しているのなら仕方ありませんが、遺伝や体質であれば、怒られぞんです。

    私が研修医の頃、コレステロールが高い人にイカやタコを食べるなという指導をする先生がいました。私はそれに疑問を感じていたのですが、後に間違いであったと明らかになりました。イカやタコにはそれほどコレステロールは含まれていません。昔の技術ではコレステロールを測るのが難しく、イカやタコを測ったときに間違って高いと信じられていたのです。似たようなことでひじきは鉄分が多いから貧血に良いと言われていましたが、最近間違いだったことが明らかとなっています。実は、ひじきを鉄のフライパンで調理したものを測定して鉄が高かったのですが、ひじきにはそれほど鉄は含まれません。何十年も間違った測定結果が信じられていたのです。