むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 月経前症候群の治療

    漢方が得意な分野として産婦人科領域があります。明日は熊本産婦人科漢方勉強会で講演を頼まれており、今日は最終的な準備中です。昨日も書いたように講演をするのは慣れているのですが、内容がためになる話でないと貴重な時間を使って聞いてくれる人たちに申し訳ないので、入念に予行をしています。予行とはいえ、声に出して発表練習をするわけではなく、スライドを見ながらそのスライドで言うべきことを何度もくりかえして、本番で言い忘れないようにするための練習です。私が大学院のときに受けた指導で、発表するときには原稿を書くな、読むな、というもの。原稿を読むとどうしても棒読みみたいになって心に響きません。原稿なしで発表すると言葉が素直に入ってきます。一番ダメなのは原稿を書いて覚えて、そらんじて一字一句間違えないように発表するというやり方。発表者が講演の内容より暗記した原稿を必死に思い出しているため、感情がこもりません。

    そういう私が明日発表するのは漢方薬を構成する生薬の基礎理論です。初学者には難解なのですが、こういう基礎をとばしては腕が上がらないので、熱心に勉強される先生たちに考える基本を講義しようと思ったわけです。しかし、その内容をここに書いても仕方ないので、今日は月経前症候群(PMS)について書いてみようと思います。月経前症候群は女性の性周期で月経前には黄体ホルモン期があるのですが、そのときにイライラしたり不安、不眠、頭痛、めまい、吐き気、浮腫などいろいろな不調が起こります。生理が始まるとす~と楽になるのですが、翌月もまた同じ症状を繰り返すというものです。

    婦人科の先生はこういう場合加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散などを使うことが多いのですが、その3つだけでは太刀打ちできません。五苓散、苓桂朮甘湯、抑肝散加陳皮半夏、半夏厚朴湯など上げればきりがありません。そして、それだけ漢方を駆使しても症状が取れないときは私は西洋薬を使います。心療内科でよく使う精神安定化剤がとても良く効くので、よそで治療して治らなかったというときはそういう治療を併用することにしています。理論と経験で難しい症例にも一定の成果を出しています。