むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 薬物依存症の話

    昨日、睡眠薬をもらうのにいろいろ言い訳は必要ないと書きました。しかし、ひとつ例外があります。初診の場合です。全く面識のない初めての患者さんで、いきなり睡眠薬(銘柄を指定)がほしいと言われれば、こちらも警戒します。医師会からはそういうふうに転々と医療機関を回って睡眠薬や安定剤を欲しがる人の注意喚起(ブラックリストのようなもの)が送られてきます。近所の人ならまだしも、遠くから睡眠薬や安定剤がほしいと言って来られても、簡単には出せません。それなりに病歴を聞いたり、他の病院でもらっている薬はないかを確かめたりする必要があります。

    このように、薬(睡眠薬や安定剤)を欲しがる理由は、依存症になるからです。麻薬と同じで依存してしまったら自分の意志の強さなど関係なく薬がないと生きていられなくなってしまいます。睡眠薬で多いのはマイスリー(ゾルピデム)、ハルシオン(トリアゾラム)など。安定剤で多いのはデパス(エチゾラム)、ソラナックス(アルプラゾラム)などです。こういうクスリを名指しでほしいといえば絶対疑われます。あちこちの病院でたくさんもらっている人は、転売するようなヤクザのような人は少なく、自分が規定以上の量をのまないと眠れないとか、落ち着かないという人がほとんどです。依存症ですから、クスリが切れると痙攣したり意識が朦朧となったりして、本当に命の危険があります。

    このような依存症の人はしかるべき病院に入院して、少しずつクスリを抜く治療が必要です。隠したりごまかしたりせず、クスリがたくさん必要(依存している)とカミングアウトしてください。覚せい剤や麻薬と違って逮捕されたりはしませんので、精神科の病院に相談しましょう。