あの日から9年が経ちました。あっという間ですね。あの地震の夜、近くの中学校の校庭に避難しました。体育館はすでに人でいっぱいだったので、グラウンドに敷物を敷いて、登山用の防寒具を着込んで夜空を見上げて寝転がりましたが、あまりの寒さで断念し、余震が続く中、自宅に戻りました。
ものが散乱し、家具も倒れて悲惨な状況でしたが、校庭で野宿するよりはマシでした。
今日もすごい寒さで、地震のあった夜を思い出しました。地震で家に居れず、電気もない場所で暖を取れないというのは本当に辛いですね。それを思うと、熊本はまだいいほうで、東北の震災や石川の地震は真冬の時期でした。被災された皆さんは、寒さがいかに厳しかったかと思います。
もうあんな経験はしたくありませんが、いろいろな方とお話ししていると、「神戸と熊本、両方の震災を経験した」とか、「東北と熊本、2回経験した」という方が意外といらっしゃいます。おそらく私たちは、いつか南海トラフ地震も経験することになるでしょう。
だからこそ、備えるしかありません。自宅には、ある程度の水や食料、蓄電池、寝袋などを用意しています。クリニックには太陽光発電と蓄電池があるので、停電しても晴れていれば診療は可能です。しかし、内科の場合、処方箋を書いても薬局に在庫がなければ治療はできません。その点、鍼治療は治療用の針さえあれば対応できるので、万が一の際には針の在庫を持って避難所を回ろうと思っています。
でも、災害の時に一番大切なのは、ご近所の皆さんとの「助け合いの心」ではないでしょうか。
隣に誰が住んでいるのか、体の不自由なお年寄りがいないかなど、昔なら当然知っていたことも、今ではまったく分からないことが多いですね。これでは、避難するにも声をかけたり手助けをするという発想が生まれにくいのではと思います。
普段、町内会などは「面倒だな」と思ってしまいがちですが、いざというときに頼れるのは、やはりご近所づきあい。お互いを知っているというのは、災害時には本当に大切なことだと感じます。