4月も2週目に入りました。各地で入学式が行われています。新年度のスタートで忙しい方も多いと思いますが、クリニックはその逆で、毎年この時期は少し落ち着いた期間です。そろそろ通常の体制に戻るかと思っていましたが、午前中はかなり閑散としており、来院された患者さんも「どうしたんですか?休みかと思った」と驚かれるほどでした。
しかし、午後になると一転して患者さんが押し寄せ、いつもの賑わいが戻ってきました。花粉症や寒暖差で風邪をひかれる方も多く、また忙しい診療の日々が始まりそうです。
それにしても、朝はひんやりしていたのに、昼間はぽかぽか陽気で気持ちのよい一日でした。今日は訪問診療がなかったので、昼休みに往診で使っている車を洗車しました。「いつもありがとう」と心の中で声をかけながら、汚れを落としてピカピカにしました。
ものを大切にすることは、仕事の基本です。大工さんはノコギリやカンナの手入れを欠かさず、料理人は毎日包丁を丁寧に研ぎます。誰にとっても、自分の仕事に欠かせない大事な“商売道具”があると思います。
私の場合、真っ先に思い浮かぶのは聴診器とパソコンくらいですが、考えてみれば往診に使う軽自動車も非常に大切なパートナーです。こうした道具は、生き物のように扱い方次第で調子が変わります。粗末に扱えば、必ずしっぺ返しがくるものです。だからこそ、丁寧に使い、きちんと手入れをすることが大事なのです。
自分の道具だけでなく、病院の設備にも感謝が必要です。毎日働いてくれているのは、自動ドア、レジ、トイレ。照明やエアコンも、当たり前のように使っていますが、どれも止まってしまうと困る存在です。こうしたすべての「モノたち」にも、心からの感謝です。
そして自分の体にも目を向けてみましょう。手足に感謝、目や口にも感謝。肝臓や心臓、すべての臓器に感謝です。口に入る食べ物にも、もちろん感謝。頭では分かっていても、一つひとつに「ありがとう」と言う機会は少ないかもしれません。
診察中、時々患者さんがこう言います。「この膝のやつが言うことを聞かなくて」と言いながら、膝をバシッと叩く。その気持ちも分かりますが、できれば逆にしてほしいのです。「今までずっとこき使って悪かった」と、そっと膝を撫でてあげれば、痛みも少しやわらぐのではないでしょうか。
自衛隊前