桜もずいぶん葉桜になってきました。今年は気温が低めだったこともあり、長く楽しめましたね。健軍神社の参道も、先週末が見頃のピーク。今は花びらが風に舞って、歩道の端にピンクの帯のように積もっています。華やかだった春がゆっくりと終わろうとしていて、どこか切ないような、でも心が静かに落ち着いていくような、そんな気持ちになります。満開の桜はもちろん美しいのですが、散り際の姿もまた味わい深いものがあります。
私の自宅の前に楠の木があり、桜が終わる頃に大量の葉が落ちます。常緑樹ですが、この時期に新しい葉と入れ替わるのです。これは、植物が一年分の老廃物を落ち葉とともにデトックスしていると考えられています。
同じようなことですが、人においても、がんばりすぎて溜め込んだストレスや疲れがうまく回転して抜けていかないと、春の新しいエネルギーとうまく入れ替わらず、体調を崩す原因になったりします。
東洋医学では、春は「肝」の季節。肝は“気”の巡りをつかさどり、解毒の働きを担っています。うまく巡らないとイライラしたり、気分が落ち込んだり、体が重く感じたりする。そんな時期こそ、“無理にがんばる”より“自然に流す”ことが大切なのかもしれません。
日々の中で「これはもういいかな」と思う人間関係や考え方、習慣があれば、桜の花びらのようにそっと手放してもいいでしょう。すると、心の中に新しい風が入ってきます。
桜の花が散るように、そして楠の木の葉が落ちるように、少し気持ちのスペースを空けて、新しい季節を迎えましょう。忙しさにまぎれて心のデトックスをしそこなうと、新芽が出ることができません。
健軍川