むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ベジファースト

    食事をする際にまず野菜から食べる(ベジファースト)ことで血糖の上昇を抑えられるという話があります。今や常識的ともいうべき食べ方です。昔は三角食べと言ってご飯、おかず、汁物を順に食べるのがいいと言われていました。しかし、今は三角食べの健康効果は否定されています。私の友人で糖尿病の専門医が、自分でこのベジファーストが本当に血糖の上がりを抑えるのか実験しました。幕の内弁当を買ってきて食べる順番を変えて血糖を測ったそうです。結果は意外なことにどういう順番で食べても大差なかったということです。

    これは、最近言われているベジファーストを否定するデータです。そういうデータがなぜ出たかをみんなで考えたのですが、おそらく私たち医師は休み時間が短く食べられるときに急いで食べる、いわゆる「早食い」が身についています。すると、どんな順番で食べても胃の中で全て混ざってしまうので、食べる順番など関係ないということです。ベジファーストが効果的なのは、懐石料理のように一品ずつゆっくりいただいてはじめて意味をなすのです。

    今日は夜のゴールデンタイムに3時間ぶっ通しの健康番組をやってます。いつもなら「いってQ」を見るのですが、今日は健康番組で情報収集です。そこでは、ベジファーストもいいがミートファーストでもいいと言っていました。結局、最初に食べるのが野菜でも肉でもいいのでご飯(炭水化物)を食べないことこそ大切なのだと言っていました。できることならご飯以外のメインディッシュでお腹いっぱいになり、最後に食べようと思っていたご飯は、食べないでもいいや、ということになれば血糖上昇は起こらず最も理想的な展開となります。

  • 胃腸炎には漢方が一番

    梅雨の中休みですね。ちょうど日曜日に晴れてくれるのは助かります。日頃できないことをしないといけません。とは言え、私の場合はクリニックのワックス清掃が入る予定で、朝から昼過ぎまで院内に缶詰です。

    最近、胃腸炎の患者さんがたくさん来られます。実は私も先週の土曜くらいから風邪気味でした。咳も何もないのですが、ひたすらだるい感じです。あまりに忙しい毎日だったので、疲れが溜まったかと思ったのですが、それだけではありません。ムカムカした感じでお腹が調子悪かったので、胃腸炎のウイルスをもらってしまったのだと思います。日頃から多くの患者さんに接しているため私はあらゆるパタンの免疫を持っており、ウイルスをもらっても滅多に発症しません。今回も嘔吐下痢など全くないままくすぶっていました。

    通常嘔吐下痢(感染性胃腸炎)には黄連解毒湯が特効薬なのですが、下痢も何もない胃腸炎ウイルス感染症にこの漢方が効くのかどうかは私自身経験がありませんでした。しかし今回自分でかかって見てよくわかりました。結果は、間違いなく黄連解毒湯は効くのですが、嘔吐下痢の「症状がある時」の方がよく効きます。そこで、くすぶり型の胃腸炎ウイルス感染にはなにがいいか、あれこれ試しました。半夏瀉心湯、柴苓湯、小柴胡湯などを黄連解毒湯に合わせた方がいいみたいでした。また、当然ですが1日に2回より3回、4回と回数を多く飲んだ方がよかったです。この経験は、早速今週の処方に反映させています。実体験は重要なエビデンスです。

  • 医者が教える食事術

    というベストセラー本があります。読みましたか?当クリニックの待合にも置いてありますので、目にされた方も多いと思います。今日TBS系の「金スマ」で著者の牧田先生が出演していました。今回が2回目だそうですが、1回目は見損ないました。番組の内容は本を読んでいればさほど目新しいことではなかったのですが、従来の常識に囚われていると、にわかには信じがたい衝撃の事実です。まだ読んでいないようなら、是非ご一読をお勧めします。

    一番大切なのは血糖の急上昇を避けることです。これにつきます。グルメ番組を見ていると、美味しそうな食べ物をタレントさんが一人ずつほおばりながら「うまい!」を連発します。時には「あーこれにご飯があったら最高だけど」というコメントをします。これがいけません。うなぎのタレがあれば、どんぶり2杯はいける、なんていうのが最悪です。タレは砂糖の汁だし、ご飯を大量に食べると血糖は急上昇し、それに続いて急降下します。いちばん健康に悪い食べ方です。今日も私は患者さんに食事指導をしましたが、その患者さんの一人は農協関係者でした。それでも、「和食にしましょう」なんてお世辞は言わずに、「コメ、パン、麺を控えること。肉、卵、チーズをなるべく食べること」と指導しました。患者さんの立場もあるでしょうが妥協はしません。

    炭水化物はエネルギーになりますが、体を作る成分ではありません。仕方ないので余ったカロリーは中性脂肪に変換されて体内に蓄積されます。食べ物中の脂肪は違います。炭水化物から合成された中性脂肪とは異なり体に必要な必須脂肪酸その他を含みます。また食べすぎた脂肪は体内に吸収せずにそのまま便に排泄されます。したがって、カロリー一覧表に書いてある数値は机上の空論で、実際には糖質でとったカロリーと、それ以外の栄養素でとったカロリーは同じカロリー数だとしても全然違うという認識が必要なのです。

  • 味覚異常と嗅覚異常

    味がわからないとか鼻がきかないという相談が結構あります。どちらも命に関わることではないものの、毎日の食事に関することで、わからないとなると大問題です。味気なく美味しくない食事になります。このような訴えを聞いてくれるのはおそらく耳鼻科です。鼻は耳鼻科で納得でしょうが、味覚も耳鼻科でいいような気がします。それでなければ内科か歯科口腔外科になるのでしょうか。

    鼻に関しては、アレルギー性鼻炎が長年続くことでだんだん嗅覚が失われてしまいます。まずは耳鼻科で鼻炎などの治療が必要です。また、アルツハイマーでも嗅覚脱失が起こり、認知症の発症に先駆けて嗅覚異常が現れやすいとの指摘があります。そのような場合、認知症の治療で嗅覚が治るとは聞いたことがないですが、ビタミンB12がよく使われると思います。気長に治療が必要です。

    一方、味覚異常は非常にたくさん見受けられます。風邪をひいた後でも、その他いろんな状況で味がわからなくなることがあります。このような際は、栄養で亜鉛の不足が関係していることが多く見られます。亜鉛は牡蠣などの食材に含まれますが、なかなか十分量取れませんので、味覚がおかしく感じたらとりあえず亜鉛サプリをお勧めします。ビール酵母(エビオス)にも亜鉛が豊富に含まれますので、それもいいと思います。当院横の凌雲堂薬局にも亜鉛サプリをを置いてもらうようにしました。

  • 陽中に陰あり

    太極図をご存じですか。よく太極拳や空手の道場などに書いてある模様です。大韓航空のマークにも使われていますね。

    これは、白と黒の二つ巴になっており、それぞれ陽と陰を表しています。丸を縦半分にせず二つ巴にしたのは、陰と陽の境目ははっきり分けるのが難しく陰の中に陽が一部入り込んでいて、陽の中に陰の一部が入り込んでいるという自然の摂理を表します。また、その陰と陽の中に反対色の目玉のようなものがあります。これが、陽中の陰であり、陰中の陽です。

    私のクリニックのある場所は山ノ神で道向かいは小峯です。地名に「山」「峯」とつくのは周りに比べて小高くなっているためです。しかし、今日のような大雨では、クリニック周辺の小高い土地でも、部分的にくぼんだところがあり、そこに水が溜まってしまいます。これが「陽中の陰」です。自然とはこういう具合にできているのです。病気も、熱があって、赤く腫れて炎症が認められて、いかにも熱症(陽症)であっても、お腹は冷えているとか、部分的に陰の症が混じっていることがあります。それをきちんと把握して熱を冷ましたり温めたりしないといけません。漢方治療はこのような陰陽の見極めが大切なので、診察にも時間がかかってしまいます。

    飯山一郎のブログ(http://grnba.com/iiyama/index.html)は有名ですが、昨日見ていたらこんな写真を見つけました。時代は江戸か明治初期あたりと思いますが、あまりに自分そっくりな人だったので、驚きました。この時代は人生50年だっただろうと思われますので、写真の人は25歳から30歳くらいと思います。写真が小さいですが、アップにして見てください。私が30歳代の頃にとても似ているので、祖先かもしれないと思ってしまいました。