むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • お灸の効果

    先日温熱療法のことをブログに書きました。その際、お灸についても少し書きました。実は私の膝の近くに米粒大のいぼがありました。痛くもかゆくもないので放っておいたのですが、たまたまうちを探したら10年以上前にもらったサンプルのもぐさが出て来ました。東洋医学会に行った時に業者さんからもらったものです。厚紙の台座が付いており、センネンキュウのような形をしていました。これはいいものを見つけたと思ってそのイボの上に台座を貼り付け、もぐさに火をつけて見ました。

    結構燃えるのに時間がかかりました。5分くらいだと思いますが、お灸独特の煙ともぐさの燃える香りを感じながら膝の上がじわじわと温まって来ます。アッチッチということはなく、ジワーーと暖かくなりました。台座のおかげです。部屋が煙たくなったので、あわてて換気扇をつけて、1回でとりあえず終了しました。別に火傷も何もしません。それほど熱くなかったからです。翌日イボを見て見たらペッチャンコになっていました。

    これは面白いと思い、もう一回その部分にお灸の続きをしました。今回もジワーーと熱くなり終了です。1回でやめました。そして、その後約1週間経ちますが、イボは消えてなくなりました。まだ赤くなっていますが、そのうち綺麗になりそうです。お灸がこんなに効果的なんて、すごいです。なお、クリニックでは鍼治療はやっていますがお灸はしていません。火災報知器がなるからです。もしご希望なら、提携している鍼灸院「ほねつぎ」さんをご紹介します。

  • 脂肪肝炎は注意

    糖尿病の専門家仲間たちと定期的に勉強会をしています。今日の勉強のテーマは脂肪肝炎です。通常、健診などで脂肪肝を指摘されることは多いと思います。おそらく軽いものを入れれば、人口の半数以上の人が脂肪肝だとおもいます。しかし、その脂肪肝が肝炎に進行する場合があります。肝機能の採血データが悪くなって来ますから、採血とエコーの結果から診断が可能です。この脂肪肝炎が怖いのは、その患者さんの中から一定割合で肝硬変から肝臓ガンへと進んでしまう例があるということです。今まで脂肪肝はたいしたことないと思っていたかもしれませんが、誰もが心配ないわけではないということです。楽観視せずきちんと定期的な超音波検査を受けましょう。

    糖尿病があると、インスリン抵抗性が高く血液中のインスリン濃度が高くなります。また、糖尿病では糖が有効利用されないため、余ってしまいます。余った糖は脂肪に変換されてしまうため、脂肪肝が進んでしまいます。また、血液中のインスリンが多すぎると、インスリンは成長ホルモンのような働きを持っているため、小さいガンを大きくしてしまいます。したがって、なんらかの遺伝子エラーで発生した小さなガンが排除されずに大きくする素因が糖尿病の人にはあるということなのです。

    最近新しく使えるようになったSGLT2阻害剤という糖尿病治療薬は血液中の余分な糖を尿中に捨ててくれるので、インスリン抵抗性も改善するし、脂肪肝も改善します。これからは、血糖をただ下げれば良いという時代ではなく、このような生命予後を改善するメリットのある薬を使って血糖管理をする時代に入っています。

  • 軟骨は再生する

    おなじみ「たけしの健康番組」を見ました。テーマの一つに股関節異常からきた腰痛や節膝関節痛には貧乏ゆすりが効くということでした。それは確かにそうだろうと思います。私が患者さんの腰痛を治す時、いろんな治し方を考えます。通常は鍼と漢方で治すのですが、整体もその候補の一つです。整体では骨のズレを力いっぱい強制したりするイメージかもしれませんが、私の習った整体はそのように強制的に骨に力を加えて治す手技ではありません。関節を揺らすことにより自然とあるべき姿に戻していくというやり方です。その関節揺らしと貧乏ゆすりは似たようなものです。自分でゆするのなら整体でなく単なる貧乏ゆすりにしか見えませんが、実は立派な整体手技だと思います。

    番組では股関節から来た腰痛持ちの女性に1日2時間以上貧乏ゆすりをするようにと指導し、効果を見ていました。なんと、検証10日目には腰痛が明らかに緩和されていました。素晴らしい効果です。簡単なので、ぜひ取り入れて見たいものです。しかし、それより何より私が驚いたのは、貧乏ゆすりで「関節の軟骨が再生してきた」というはなしです。通常整形領域の常識では、軟骨は再生しません。しかし、私は以前からそれは嘘だろうと思っていました。貧乏ゆすりで軟骨が再生されるなら、素晴らしいことです。ヒアルロン酸の関節内注入などはその場しのぎでしかなく、有効性が確認されないとアメリカでは否定的な見解が出ています。これからは貧乏ゆすりの時代かもしれません。

    軟骨が再生するという事実に匹敵するくらい大事なことを書いておきます。実は、歯も部分的には再生します。酸味の強い食べ物や飲み物で歯のエナメル質は溶けて傷害されますが、唾液により修復されます。大切なのは、せっかく修復している食後すぐに歯を磨かないことです。食後すぐは唾液がアパタイトという物質を用いて歯の傷んだところに再石灰化する大切な時間です。唾液とアパタイトを洗い流しては再石灰化はできません。できれば歯磨きは食後30分以上開けた方がいいと思います。

  • 運動で一酸化窒素を増やす

    雨が降るとウォーキングなどの運動ができないですね。皆さん家にこもってじっとしていませんか?私は雨が降っても傘をさしたりレインコートを着て雨に濡れながら歩くのが好きなので、雨は気にしません。しかし、通勤となると、ずぶ濡れで歩いていくと仕事に差し支えるため車通勤になってしまいます。

    血圧や糖の管理のため食後は歩くようにしているという場合、雨で歩かないと血圧や血糖が上がってしまいます。そういう場合は、家の中でもできる簡単な運動をお勧めします。私がよくするのはその場足踏みとかスクワットです。腕立て伏せや腹筋などもいいかもしれません。もっと簡単なのは、タオル握りです。これでも血圧が下がると言われています。テレビを見ながらでも簡単にできます。

    こういう運動で血圧が下がるのは血管内皮細胞から一酸化窒素が放出されるためです。一酸化窒素は血管を拡張する働きがあり、運動に伴って酸素をたくさん必要とする筋肉などに血流が増加するよう血管抵抗を調節します。この一酸化窒素の血管拡張作用を利用した医薬品が狭心症の治療に用いるニトログリセリンです。ED治療薬のバイアグラも一酸化窒素の働きを利用して血管を拡張します。これらのことからも、一酸化窒素がいかに強力な血管拡張作用をもっているかをうかがい知れると思います。

  • ストレッチポールがいい

    日曜朝からは毎週「元気の時間」というTBS系列の健康番組を見ます。今朝は脊柱管狭窄の話でした。司会の三宅裕司さんも苦しんだというエピソード。あまり放置すると痺れが残ったりするので、きちんと病院を受診するようにという内容でした。しかし、整形外科では脊柱管狭窄には血流をよくする内服薬を使う程度であとはよほどひどくなったら手術しましょう話になります。手術しないで経過を見ている人は相当数いると思いますが、内服でよくなるかどうかはかなり微妙です。また、MRIの検査は感度が高すぎて、特異度が低いという問題があります。どういうことかというと、検査で狭いところが見つかることと腰痛や痺れがあるということとは一致しないのです。

    腰や足が痛い・痺れるという人のMRI検査をすれば一定数の狭窄が見つかります。しかし、腰痛も何もない正常者を検査しても、かなりの割合で狭窄が見つかるのです。したがって、MRIで狭いところがある=それが腰痛の原因、とは限らないのです。

    先月、私の父も足が痺れるといっていました。整形では脊柱管狭窄でしょうといわれたようです。そこで、私はストレッチポールを勧めました。以前もこのブログに書きましたが、ウレタンでできた1メートル程の丸太状のリハビリ用品です。その上に毎日10分ほど寝転がるだけですが、かなり調子が良くなったそうです。おすすめです。