むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 暴力的な認知症

    認知症治療薬にアリセプトという薬があります。この分野では最も有名な薬ですから、ご存知の方も多いかと思います。この手の薬は使ってみるとほとんど期待はずれで、効いていると実感することは少ないものです。しかし、ほかに薬がないことから、それでも使うしかないのが現状です。

    私が訪問診療しているお年寄りで、かなり認知症が進んだおばあちゃんがいました。膝が痛いと言っては湯飲みのお茶を膝に塗ったり、ご主人のヘアトニックを湯のみに入れて飲んだり、いろんなことをしてしまいます。このままだと危険だなと思い、アリセプトを処方しました。少しでも異常行動が減ればと期待してです。

    しかし、アリセプトを始めて2週間、今度は杖でご主人を叩くようになってしまいました。こういう暴力的な行動は認知症で陽性症状と言って過剰に元気良くなった症状です。認知症の薬で元気を通り越してしまった可能性があります。あわててアリセプトを中止したら落ち着きました。このように、認知症の薬で本来とは違った性格になってしまうことがあります。ますます認知症が進んだと思わず、薬のせいじゃないかと疑うことも大切です。