むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 簡単には入院できない時代です

    訪問診療をしている老人ホームで呼吸状態が悪くなった患者さんがいて、朝の6時前に報告がありました。そのままではいけないと、救急車を要請したのですが、救急隊は来てくれたものの受け入れ先はないといわれて、結局病院には連れて行ってもらえず、そのままホームで過ごすことになりました。老人ホームは介護士さんはいるものの看護師ではないので、できる医療処置は限られており、このまま土日を過ごすのは難しい。夜など一人の介護士さんしかいないので、下手すると朝巡回に行ったときには冷たくなっている、なんて最悪のことも想定されます。しかたないので、当院の方から救急を受け入れてくれそうなところに紹介しようと、ひたすらあちこちの病院に連絡しました。

    どの病院もまったく受け入れ困難で、断られ続けました。なかにはベッドはあるけど職員が(クラスターのため)大勢休んでいて受け入れられない、というところもありました。本当に医療崩壊の事態です。結局、うちの看護師が一日がかりで電話して、夕方になってやっと受け入れてくれる病院が見つかりました。そこで、その病院に搬送してもらおうと救急車を頼んだのですが、今度は救急車には患者さんだけでなくスタッフが同乗すること、と言われ、困ってしまいました。なんとその老人ホームは、うちではそのようなサービスを行っていません、の一点張りでスタッフを出してくれないのです。サービス?そんな問題じゃないでしょ!

    救急車は到着しているのに延々おまたせし、どうしようもないので当院から看護師を派遣して受け入れ先まで救急車に乗っていってもらいました。受け入れ病院の先生も、訪問診療の看護師がわざわざなぜ、という感じで、言われたそうで、やはりこれは老人ホームのスタッフが責任を持って状況の引き継ぎをすべきでした。大変な一日でした。

  • 産婦人科漢方懇話会で講演しました

    木曜日の診療のあとは熊本産婦人科漢方懇話会という勉強会に呼ばれたので、1時間の講演をしました。WEB講演だったのですが、ハイブリッドでリアル参加される先生方もおられたので、医師会館の会議室からの配信となりました。間に合うように診療が終わるかが心配でしたが、無事間に合いました。

    今日の講演は、「漢方は女性を救う」というテーマで、女性に見られがちないろいろな訴えに対して私がどのような治療をしているかを紹介しました。特に私がよく使う抑肝散加陳皮半夏、苓桂朮甘湯、五苓散などの解説をしました。参加された先生たちは産婦人科がメインだと思うので、生理痛や月経困難、冷え性などは得意だと思います。そこで、内科的な頭痛、ムズムズ足、不眠、ストレス、イライラ、などの多彩な症状をどう治療したらいいかというお話にしました。

    講演が終わり遅い夕食となったわけですが、せっかく街まで出たので、最近お気に入りのメキシカン”PELAO”に行きました。ブリドーとチキンのソテーを注文し、メキシカンビールを頂きました。最高に幸せ。こんな料理が大好きです。

     

    PELAOで赤鶏のソテー

  • インフルエンザがふえてきました

    このところ、毎日のようにインフルエンザ患者さんが出ています。まだ流行期というほどではないのですが、3年ぶりにみるインフルエンザです。みなさん、インフルエンザに対する抗体は切れていると思われますので、注意が必要です。特にコロナワクチンを何度も打っていると、コロナ以外の免疫が極端に低下するようで、帯状疱疹にかかる人やもともと体内に潜んでいたガンが急速に悪化したと思われる症例が見られます。同じ理屈で考えると、コロナワクチンを何度も打っているとインフルエンザにかかりやすいのではないかと推測されます。今年どうなるかでその予想が正しいか証明されると思います。

    では、インフルエンザワクチンも打てばいいと思うかもしれませんが、今シーズンのインフルワクチンはほとんど終了です。余っていればまだ少し打てるかもしれません。しかし、過去20年のデータでインフルワクチンが有効だったのは若い世代だけです。正確なデータはいま手元にないのですが、60歳を超えた世代でインフルワクチンが有効だったのは過去20年で2−3回だけであとの17年は無効だった事がわかっています。従って、ワクチンに過大な期待をしてはいけません。ほとんど気休めです。

    しかし、気を落とすことはありません。自分の免疫力を高めておけば、いいだけの話です。これまで何度もこのブログに書いたのですが、また書いておきます。栄養バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスを避ける、適度な運動、体を冷やさないが基本です。お菓子を食べながらイヤイヤ残業を夜遅くまでして睡眠不足、なんて最悪です。栄養の面ではビタミンCを2000mg(朝夕1000mgずつ)、Dを5000単位(隔日)が必須です。できればセレニウム、亜鉛、マグネシウムも適量とっておきたいものです。

  • 災害に備えましょう

    阪神淡路大震災から28年だそうです。時が経つのは早いですね。南海トラフや首都直下型も近いと言われています。常日頃から防災の準備はしておきたいものです。そういえば、熊本地震の時、自宅が長い間断水して、トイレもお風呂も使えず、仕方ないので下江津湖の動物園のほとりの湧水池に湧き水を汲みに行ったことを今でも思い出します。この前の日曜日にもその湧き水の近くを通ってそのことを思い出しながら写真を取りました。

    熊本地震の時、私は桜十字病院に務めていました。桜十字は病院のロビーなどを近所の被災者の方々に開放していました。桜十字病院には井戸があり地下水を使っていたので断水もなくたすかりました。待合の長椅子などは座り心地もよくくつろげました。また、病院には食料の応援があったので、毎日炊き出しもしていました。私は余震の続く中、外来で血圧などの薬が切れないように診察をし続けました。このように、病院は災害のときも地域の皆さんの拠り所となるよう、常日頃防災意識を持って備えていないといけないなと思います。当院近くのロッキーというスーパーは熊本地震でガラスなどが割れたりしたにも関わらず地震後すぐに店を開けてくれました。おかげで食料など困っていた中で、ものすごく助かりました。社長さんの温かい気持ちが伝わってきました。当院前の東稜高校はこの地域の避難所となっており、万一のときは私もそこで皆さんのケアをする心づもりでいます。

    さて、この数日は本当に暖かく快適でしたが、患者さんの中には暑くて体がついて行かず体調不良と言われる方もいました。私はそれを聞いてかなりびっくりしましたが、気温に対する人の反応はそれぞれですね。来週から今年最大の寒波が来るという話なので、今度は極端に冷え込んで体調を壊さないように気をつけましょう。

    下江津湖のほとりの湧水 こちらは飲めません。この50mほど横にある湧水は飲めます

  • 物価高の行方

    YMOの高橋幸宏さんが亡くなったというニュースを聞き、とても残念でした。YMOは私が中学の頃一世風靡しました。当時私たちの耳に入る音楽といえば、昭和歌謡曲しかありませんでした。松田聖子とかのもう少し前の話です。YMOの曲は衝撃的で、本当に何度も聞きました。今でもYouTubeでみてみると古くないと思います。今でこそ、いろんな音をサンプリングして音楽にするシンセサイザーは珍しくありませんが、YMOはその走りでした。

    話は変わって、最近はものの値上がりが激しいですね。先週と今週では値段が違う。早く買わないとどんどん値上がりしてしまいます。上述したYMOの時代のもう少しあとに日本にはバブル期が来ました。当時私は大学生だったのであまり浮かれたことはなかったのですが、金利は5%くらいあり、貯金しておけば10年で倍になる世界でした。世の中みんな景気がよく、札束を持って飲みに行くみたいな話をよく聞きました。当時も物価はかなり上がったと思いますが、今と違うのは、地価と株価がどんどん上がっていたことです。みんな借金してでも不動産や株をこぞって買いました。一日も早く買わないとどんどん値上がりするのです。そして、タイミングよく売り抜けた人は相当儲かった時代でした。(残念ながら、素人が手を出した頃にはバブルが崩壊して大借金となった人も多かったのは御存知の通り)。

    今は株は上がらず給料も上がらず、物価だけが上がるというとても困った状況です。ニュースでは賃上げの話が話題になっていますが、企業もそれほど景気が良いわけでないので、賃上げは苦しい選択だと思います。これまで薄利多売で商売をしていたところは方向を見直す必要がありそうです。これからはいいものをかって長く使い、買い換えない。物不足、人不足、そして環境問題などを総合して考えると、それしかないと思います。