むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 脂肪肝炎は注意

    糖尿病の専門家仲間たちと定期的に勉強会をしています。今日の勉強のテーマは脂肪肝炎です。通常、健診などで脂肪肝を指摘されることは多いと思います。おそらく軽いものを入れれば、人口の半数以上の人が脂肪肝だとおもいます。しかし、その脂肪肝が肝炎に進行する場合があります。肝機能の採血データが悪くなって来ますから、採血とエコーの結果から診断が可能です。この脂肪肝炎が怖いのは、その患者さんの中から一定割合で肝硬変から肝臓ガンへと進んでしまう例があるということです。今まで脂肪肝はたいしたことないと思っていたかもしれませんが、誰もが心配ないわけではないということです。楽観視せずきちんと定期的な超音波検査を受けましょう。

    糖尿病があると、インスリン抵抗性が高く血液中のインスリン濃度が高くなります。また、糖尿病では糖が有効利用されないため、余ってしまいます。余った糖は脂肪に変換されてしまうため、脂肪肝が進んでしまいます。また、血液中のインスリンが多すぎると、インスリンは成長ホルモンのような働きを持っているため、小さいガンを大きくしてしまいます。したがって、なんらかの遺伝子エラーで発生した小さなガンが排除されずに大きくする素因が糖尿病の人にはあるということなのです。

    最近新しく使えるようになったSGLT2阻害剤という糖尿病治療薬は血液中の余分な糖を尿中に捨ててくれるので、インスリン抵抗性も改善するし、脂肪肝も改善します。これからは、血糖をただ下げれば良いという時代ではなく、このような生命予後を改善するメリットのある薬を使って血糖管理をする時代に入っています。