むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 「食べてうつぬけ」

    以前クリニックの待合においていた「食べてうつぬけ」という本がありました。うつやパニックなどは鉄と蛋白が足りていないので、まずは栄養補給をすること、サプリもうまく使うこと。そうすると、安定剤や抗うつ薬は減らせるし、やめられることもある。そういう内容です。皆さんに読んでいただきたい本です。実は今日、この著者である奥平智之先生のWEB講演会がありました。オンラインとはいえ、このようにリアルタイムにお話を聞くことができて、嬉しかったです。私も実践している分子栄養学の応用の話でした。

    この、栄養療法は別名メガビタミン療法とも言います。大量のビタミンとプロテインを使うのが特徴です。栄養学といえば、古来、バランス良く食べましょうとか、塩分は控えめに、とかそんな話しかありませんでした。しかし、分子栄養学による栄養指導は全く異なります。例えば一日に推奨するビタミンCはレモン100個分にもなりますから、食品で摂ることは不可能。鉄ならほうれん草にして1日4キロです。牛じゃないんだから、と言われそうです。

    そのように、患者さんごとに必要な成分を必要十分(食事では取れないほど大量に)とっていただくと、体質的に酵素活性が弱くてもその酵素をフル活動させることで健康度をアップできるという理論です。サプリは保険が効かないので、当院ではネット(iHerb.com)でどれを買ったらいいかのアドバイスだけします。日本のビタミンは含有量が少なくあまり使えません。日本のサプリは医薬品と違ってちゃんと表示された量の成分を含有しているか検査されていません。一方アメリカのビタミン剤はすべて国家基準をクリアしているので安心して使えます。そこで、当院での推奨のビタミンはアメリカ製です。

    暖かいのでツツジみたいなのが咲いてます

  • NO(一酸化窒素)とH2(水素)の時代

    医学部で基礎の勉強のなかでも一生役に立つのが薬理です。薬の知識です。私は薬理が大好きで、学生時代に第2薬理という研究室に入り浸って循環器薬理の研究をしていました。その当時私を指導していただいたのが、子飼のあらき循環器内科の荒木先生と、西教授(現在桜十字熊本東病院)でした。私の恩人です。私が研究したのは心臓の冠動脈の内皮細胞から産生される一酸化窒素(NO)に関するものです。その当時、NOが血管拡張物質として発見され、ノーベル賞をとった時代でした。このNOの研究はその後世界中でどんどん進んで現在も花盛りです。

    今日、帰宅してWEB講演会に参加しましたが、肺高血圧の話題でした。肺高血圧の治療にはNOを用います。私はこの肺高血圧治療に近いことをアメリカ留学中に研究していたので、やっと治療法が確立して来たことを嬉しく思いました。NOは狭心症の治療薬ニトログリセリンの作用機序にも関係しています。また、バイアグラとして別方面でも有効性が確認されています。

    一酸化窒素(NO)の研究も面白いですが、これから注目すべきは水素ガス(H2)だと思います。H2は水素自動車(トヨタのMIRAI)が話題ですが、燃えれば水になります。このH2を吸入することで、疲労回復、がんの治療、アンチエイジングなどの効果が報告されています。酸素を吸入させる治療とは反対で、H2には体の酸化を予防する働きがあります。私も自宅に水素発生器をもっています。自分はいつもメガビタミンで元気にしているので水素吸入の効果はよくわかりませんが、理屈を考えればいいものだと思っています。

     

    地蔵峠付近から阿蘇盆地を見下ろす風景

  • 人は鏡

    どの職場にもいると思いますが、愛想が悪くてみんなに優しく接してもらえないひと。するとその人は、やっぱり自分はだめだとか、自分はコミ障(コミュニケーション障害;コミニュケーションが苦手なひと)という自覚が出てきて、更に状況を悪化させます。しかし、そういう人を観察していると、一日中全然笑ったりしないかというと、案外そうでもありません。明るい笑顔の人に話しかけられると、自然と笑顔が溢れるのです。つまり、その人が愛想が悪いと思っていたのは、実は、自分がその人に対して愛想悪くしていたのです。「人は鏡」といいます。相手の顔が笑っていないのは、自分が笑っていなかったからにほかなりません。

    鴨頭嘉人さんも講演で言っていましたが、作り笑顔は最高に価値ある笑顔です。周りの人への気配りであり、プレゼントです。そして、その笑顔を見た相手が気分良く微笑んでくれると、結果的に自分も気持ちよくなります。いいことづくめです。本心から笑わないとだめだというのは間違いで、作り笑顔こそが大人のスキルなのです。自分が辛いときに「辛い」といってしかめっ面をするのは結果的に自分を辛くします。そんなときこそ作り笑顔をしてみましょう。マクドナルドのキャッチフレーズに「スマイル0円」というのがありましたが、スマイルは何万ドルもの価値があります。

    愛想が悪いを通り越して機嫌が悪い人というのは困りものです。不思議と医療業界にはそういう人がたくさんいます。いつも怒ったような態度の医者とか、怖い看護師さんとかです。そういう評判は患者さんを通してすぐに広まります。あまりに忙しいと心の余裕がなくなるからだろうと思います。私自身、気をつけたいと思います。自分の機嫌は自分で取ること。

    子育て中のお母さんたちも、育児、家事、仕事、子供の習い事や部活、町内会、PTA、そして帰宅が遅く家事を手伝わない夫、などなどいつも余裕がなくイライラしています。子供を叩いたりしないよう、心療内科に相談するのもいいと思います。

    地蔵峠付近の外輪山遊歩道 風の音、落ち葉を踏みしめる音、鳥のさえずり。静寂。

  • ビタミンDちゃんととってますか

    皆さん、ビタミンDをちゃんととっていますか?私は半年以上前からこのブログに書いていましたが、ビタミンDにコロナの予防効果、治療効果が認められたというのがやっと記事になっています。ぜひご一読ください。https://president.jp/articles/-/40384

    新コロ第3波が来ています。これから冬はどんどん増えると思います。予防も大事ですが、免疫をたかめることが最も効果的です。免疫さえしっかりしていれば経済活動はさほど制限しなくても大丈夫なはず。感染防御の免疫は、ストレスを避ける、十分な栄養(蛋白とミネラル)、ビタミンA,CとDなどが大切です。ビタミンは食品では取れない程大量をすすめます。サプリで摂ったほうがいいと思います。

    このブログをかかさず読んでくださっている皆さんは行動も早いのでおそらくネットで調べてビタミンを買っていると思います。ビタミンDがいいとわかっているのに飲んでいない人は知らないのと同じです。知識と実践は相当の違いがあります。タバコはやめたほうがいいと知りながら禁煙できないのも同じです。話は変わりますが、甜茶(てんちゃ)というお茶を知ってますか?甜という字は舌に甘いと書きます。その名の通り甘いお茶ですが、カロリーゼロです。最近KALDIで買って見たのですが、午後の紅茶(ミルクなし)くらいの甘さを感じます。これを食後に飲めば、デザート代わりになります。甘くて美味しい。しかもカロリーオフ。更にいいことに、花粉症などのアレルギーが軽くなるそうです。中国ではこのお茶はその昔、門外不出だったそうです。納得の味です。食後の甘いものがほしい、やめられない、という方はぜひお試しください。

  • 完璧主義を捨てよう

    落ち葉の季節となりました。毎朝クリニックの前には大量の落ち葉、一人で片付けるなら1時間以上かかると思いますが、クリニックお隣の奥さんが毎朝手伝ってくれて助かっています。相当大変だろうと思います。私も、中腰で落ち葉を集めていると腰に来るので、休み休みビニール袋に集めますが、30Lの袋でいくつもになります。街路樹を見上げるとまだまだたくさんの葉がついています。仕事は続きます。毎朝6時過ぎに家を出てまだ暗い中掃除しています。本当はクリニックの2−3軒となりまで掃除したいのですが、どうしても時間が取れません。せっかく一箇所に掃いて集めてもビニールに詰めなければあっという間に風に飛ばされて元通りになってしまいます。

    完璧主義の人は、こういう作業に向いているようで向いていません。なぜなら、落ち葉一つないところまできれいに掃除しても5分ほどでまた新しい葉がたくさん散ってくるので、完璧に掃除した満足感は数分しか得られないからです。きっと、頭にきてもうやめた!と思うことでしょう。そこで私は、毎朝落ち葉を集めながら、心に唱えることがあります。それは、「完璧を目指すな。だいたいでいい!歩道の落ち葉の量が減ればそれでよし」そう何度も何度も唱えながら、黙々と掃除します。

    実は、医療も同じだと思います。完璧を目指すのはいいように見えて実は良くない。例えば、人間ドックで、血圧、肝機能、中性脂肪、コレステロール、尿酸、血糖が少しずつ異常値だったとします。完璧を目指すなら、それぞれに薬を使って、血圧、コレステロールの薬、尿酸の薬と積み上げていき、とんでもない量の定期薬になります。もちろん全部使えば来年のドックでは優秀な成績かもしれません。完璧主義の人ほどそれを理想とします。しかし、数値を治すのが目的ではありません。健康な毎日と元気な老後を過ごせればいいのです。尿酸や中性脂肪がすこしくらい正常値を超えていても元気ならいいじゃないか、と多少の妥協も必要です。どの数値を治すか、どの数値は経過観察でいいか、はかかりつけ医の腕にかかっています。大学病院や健診をする大病院は数値が全てで、個人の生活や一生には責任も興味もないのです。