むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • サウナで自律神経を鍛える

    年度末でいそがしかった人たちもいよいよ大詰めです。ちょうど大晦日みたいな感じ。ジムの温泉では一年の疲れを取りに来たかのようにとんでもなく混み合っていて、「芋の子を洗うような」というのがピッタリの状態でした。当院は、漢方を専門にしている影響もあり、小学生〜高校生もたくさん来院されます。なかでも、高校入試や大学入試まえにお腹の調子が悪いとか、朝起きられず、生活リズムが狂っているとか、いろんな相談があります。出席日数が足りなくなりそうで進級が危ういという相談もありました。今日はそういう学生さんたちがたくさん来院されました。みんな高校や大学に合格できたとか、ギリギリ出席日数がたりて進級できたとか、うれしい報告でした。漢方やっててよかった、と思います。未来を支える子供さんたちが健康で元気に夢を掴んでくれると、日本の未来も明るい気がしてきます。

    この時期、暑かったり寒かったり体はついていくのが大変です。なかには体はカッカとほてるのに手足は冷たいとか、布団に入ると寝汗がすごいとか、いろんな相談を受けます。季節替わりで自律神経の調整がうまくいっていないものと思われます。自律神経は脈拍、体温、発汗などをオートマチックに調整するものです。更年期でも急に熱くなったり汗が出たりするのは自律神経の乱れです。

    自律神経を治す薬があまり存在しません。漢方では割とそのあたりも対処する方法があります。それ以外で私がとてもいいと思うのはサウナです。すごく暑い,熱い、水風呂にドバーッと入ってつっ冷たい!これは熱いも冷たいも交感神経が緊張した状態です。冷水から上がって体を拭いて気持ちよく外気浴していると、内にこもった熱があるのでじわじわと汗がでます。ここで副交感神経優位となり、リラックスモードに入ります。サウナ→冷水→外気浴→またサウナ、を繰り返すことで、この交感神経と副交感神経の両者を大きく刺激します。こうして自律神経が鍛えられると、春の暑い寒いなんて可愛いものです。

     

  • 難しい経営判断

    昨日までの雨が嘘のようにカラッと快晴になりました。お陰でクリニック前の桜はだいぶ咲いて来ました。満開まであと一歩です。天気がいいと気分も上がり、絶好調の人が多い中、花粉と黄砂がすごいようで鼻炎の人は辛いですね。抗ヒスタミン剤は使える量が決まっているのでそれ以上を処方することはできません。しかし、それでは鼻水が止まらないという場合、当院では2剤あるいは3剤の組み合わせで処方しています。そのうちひとつを漢方にする場合もあれば、抗アレルギー薬の作用ポイントの違うものを組み合わせる場合もあります。私は以前ひどいアレルギー性鼻炎でしたが最近はずいぶん軽くなりました。ビタミンDを飲んでいるおかげです。サプリでの治し方を知りたい場合、過去のブログを検索していただくか、診察時に直接聞いて下さい。

    さて、診療報酬改定が近づいてきて、今日も夕方保険医協会の説明会でした。ところが、申し込んでいたのにZOOMのログインIDとパスワードが送ってきていない。それに気づいたのが説明会の始まる5分前。問い合わせようにも間に合いませんでした。残念ながら聞き逃しました。仕方ないので、別のコンサル会社などがYouTubeに上げている改定のポイントなどをいくつか見て勉強しました。見れば見るほど今度の生活習慣病管理料というのは難しいことがわかりました。ただでさえ忙しくて患者さんの話をゆっくり聞きたいのにそれさえ満足にできない中、書類作成(ペーパーワーク)のため一人の患者さんに15分以上かかりそうです。とても現実的でありません。

    診察があるので私にその時間を割くことは不可能です。考えられる対策として、積極案としては事務員を増員してその仕事(書類作成)を担当してもらう、そのために書類作成サポートのソフトを導入する。一方、消極案としては、面倒な書類作成をいっさい諦めて外来業務を縮小する。そのかわりに訪問診療を増やす。どうするかは私が経営者としての判断をしないといけません。あー悩ましい。

    今朝のクリニック前の公園にて

  • うまくいくかなんて関係ない、やってみることが大事

    カレーを作った鍋を洗ったら流しが詰まってしまいました。ちゃんと生ゴミを貯めるところには目の細かい不織布のフィルターを装着していたのになぜだろう。仕方ないので、塩素系のパイプ洗浄剤とか、お湯に溶いた重曹とか流してみましたが全然流れません。以前この状態でパイプづまりを治すという業者(ポストによく宣伝が入っているところ)に頼んだら、何やら強力な洗浄剤を使って流してくれた覚えがあります。出張費がかかるので結構な高額だった気がします。なにかいい方法はないかとあれこれ、やってみましたが、全然通りません。そこで、ふと思い出しました。生協のカタログでこういうときのためにながーい(50センチぐらいある)パイプ洗浄用ブラシを買っていたのでした。針金が適度に柔らかく、パイプが曲がっていても奥まで入っていきます。それでゴシゴシしたら、モノの10秒ほどで通過しました。素晴らしい。たしかこのブラシは数百円だったと思います。買っててよかった。

    今朝は経営者モーニングセミナーに参加し、パラリンピック金メダリストの浦田理恵さんの講話を聞きました。大学生の頃失明して、将来の夢が完全にだめになってしまった。県外の大学に通っていたため、失明したことを親にも言えずひとり悩んでいたそうです。でも、視力が日に日に落ちていき、とうとう意を決して帰省したところ、駅のホームも怖くて歩けず、迎えに来たお母さんからは、ふざけた歩き方して!と怒られたそうです。「お母さん、目が見えなくなった」と告白したところから新しい世界が開けました。お母さんは、駅で人目もはばからず大泣きしたあと「目が見えなくてもできることをやってみよう」と言ってくれたそうです。

    なんで自分ばかりこんな目に合うのか、と愚痴ばかり言って何もかも諦めていたのに、お母さんの温かいサポートでうまく行かなくてもなんでもやってみようと決心したそうです。26歳のときにゴールボールというスポーツに出会い、競技を始めて、日本代表の座を掴み、ロンドンで金メダル、東京で銅メダルをとったそうです。何事も諦めない、やればできる。そして、目標達成のためにはひたすら努力する。いいお話でした・・・・・と、話を聞いただけでは何も進歩しません。自分もすぐ行動、実践あるのみです。

    クリニック前の公園 桜が開花しました。週末雨が上がれば見頃となるでしょう。 

  • 漢方的病態把握と同病異治

    桜が開花しました。朝、ちらほら咲き始めたなと思ったら、夕方には相当咲いていたので、この勢いなら今週末は見頃になりそうです。例年よりだいぶ遅くなりました。明日からまた雨なのでそれが上がった頃ちょうど楽しめるといいですね。当院の目の前に広がる公園と高校の周辺には沢山の桜が咲きます。診察のついでにコンビニで飲み物などかってきて公園のベンチでお花見なんかいいかもしれませんよ。

    今日もコロナ後遺症に悩む患者さんが来られました。何ヶ月も大きな病院にかかって見てもらっていたけどなかなか症状がとれず、そのことで今度は不安性みたいになってしまったとのこと。私の見立てではコロナに罹患したときに心臓で炎症を起こした結果、自律神経バランスが狂ってしまったと考えました。コロナ後遺症は何百人も治療しましたが、今日の患者さんの症状は珍しいものでした。しかし、漢方的に陰陽虚実のバランスを考えると次のようになります。最初は炎症により陽が亢進していたのですが、それが長くなった結果、陰が不足してきた。時間がたって陽の亢進は落ち着いてきたけど、陰が不足した状態が続いているため結果的に陰より陽が多いというアンバランス状態がつづいている。

    患者さんの状態がどんなに難しくてもこのように陰陽虚実の病態把握が正確にできれば治療を誤ることはありません。使う処方はかなり絞られてきます。あとは、理論的に合っていても難治症例というのは仕方ありません。私にできるのはこのように目の前の患者さんの陰陽虚実や気血水のバランスをいかに正確に捉えるかと、それから導かれる治療方針の決定までです。あとは薬局にその薬の在庫があるか、きちんとその薬を飲んでくれるか、といったところにかかってきます。よく、患者さんから「結局私の病気はなんですか?」ときかれるのですが、私のなかには「陰が虚して相対的に陽が亢進したために交感神経が興奮した状態にある」とかわかったようなわからないような説明になってしまいます。漢方は西洋医学のように病名を決めたりしないで治療方針を考えるのです。同じ病名でも背景となる病態が異なれば治療方針は変わります。同病異治といいます。

     

  • 「お腹が張る」を治す

    最近は講演を頼まれることが多く、何を話そうかとテーマを考えるのにも一苦労します。今日は「お腹が張る」とテーマに講演することにしました。お腹が張るという症状は結構多いのですが、下痢や便秘と違ってなかなか病院を受診されないことも多いようです。また、胃カメラなどの検査を受けてもたいした所見もなく整腸剤をもらって様子を見るだけ、なんてことも多いと思います。腸閉塞のような大変な病気もお腹が張るところから始まるので、そのあたりはきちんと検査が必要ですが、それほど悪い病気でもないという場合、いい治療法もなく困ってしまうと思います。

    西洋医学的には機能性ディスペプシアとか過敏性腸症候群などと診断されることが多いと思われます。どちらの場合も胃腸薬がいくつかあるのでそのあたりを上手く使っていくのが標準的な治療となります。ところが、それでもうまくいかないときに心療内科や漢方内科に相談に来られるようです。受験や職場のストレスなどで朝からトイレに篭って遅刻しそうになるというような場合は過敏性腸の薬に併用して安定剤のようなストレスを緩和する薬が効果的です。漢方を併用するときもそのようなストレスを意識します。しかし、なかにはストレスも関係なく、年中調子が悪いという場合もあります。実は、そのような人にいろいろ聞いてみると、特に食後にお腹が張ってきて調子悪い、納豆やヨーグルトはお腹のためと思って食べるようにしていたが、食べたあとは特に調子悪くなるので最近は食べるのをやめた、みたいな方。これはSIBO(シーボ)とよばれる病気です。通常小腸内には腸内細菌はおらず、大腸が腸内細菌の生息の場なのですが、小腸内で細菌が過剰増殖して発酵することでお腹が張るのです。

    善玉菌といえども通常菌がいないはずの小腸で過剰増殖するのはよくありません。乳酸菌などの入った食品で腸まで届くという謳い文句のものを取ることで状態が悪化する場合はSIBOの可能性があるので控えたほうがいいと思われます。食べて調子がいい場合はひかえる必要はありません。腸内細菌の餌となる食物繊維やオリゴ糖を多く含む食材もお腹が張る原因となります。お腹が張るのを防ぐためにおすすめなのが低FODMAP食といいます。本屋に並んでいる腸活をテーマにした本にはたいていこのことが書いてあります。ネットで検索するといろいろ出てくるので、お腹が張って困るという場合はいちどこういう食事を試して見ると良いと思います。