むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 近未来のオンラインクリニック

    ネットで読んだ記事でAmazonがかなり本気でヘルスケア部門に力を入れているという。ヘルスケアと言っても、ビタミン剤などを通販する話ではないようです。記事をしっかり読まなかったので、私の部分的な理解と想像力でここに書きます。どうやら、オンライン診療に進出する準備をしているみたいな話でした。医者を大量に雇って、オンライン診療する。物流の巨人ですから、ネット調剤薬局みたいな部門も立ち上げれば、アマゾン・オンラインクリニックで診察して、翌日にはアマゾンから薬が届く、みたいな展開が予想されます。想像たくましく考えてみると、きっと登録された医者は利用者(患者さん)から評価されて星の数が4つ、5つとつくことでしょう。患者さんは日本全国どこからでもアクセスできるので、過疎地域はとても助かるでしょう。埼玉や千葉のように人口に対してクリニック数が全然足りていない地域でもメリットが大きいと思います。

    しかし、私がもしこのアマゾン・オンラインクリニックに登録医として働くとしたら、精神的な介入をすることなく、淡々と処方すると思います。たとえば血圧が上がったという患者さん。さっと降圧剤を出して終わり。実際には、クリニックに来る患者さんで血圧が上がったといえば、どうして上がったのか、塩辛いものを食べたのか、会社でストレスはないか、夫(または嫁)と仲良くしているか、ちゃんと眠れているか、薬はきちんと飲んでいるかといろいろ聞きます。そして、顔色を伺いながら、何か隠していることはないか探ったりします。オンラインではそんな面倒な診療はしないと思います。ひたすら数をこなすことが優先されることでしょう。もし、血圧が高いと言いながらストレスの話をするようなら、そういう患者さんは即オンライン精神科へ転送することになると思います。

    まあ、これは私がちょっと読んだアマゾンの記事から妄想を膨らましただけなのですが、オンライン診療というのはこのように便利さとは裏腹に無機質な味気ないものだろうと思います。ただ、アマゾン・オンラインクリニックは別として、もし、むらかみ内科クリニックが診療時間外(土日や夜間)にオンラインクリニックをするのは面白いと思います。私の時間が許す限り、全国の悩める患者さんを相手に診療を展開する。これなら、自分のクリニックなので、精一杯心通わすオンライン診療ができるかもしれません。近未来予想です。

  • 右脳と左脳

    いつも家にいるときはAIスピーカー(アレクサまたはOKグーグル)に声をかけて音楽を鳴らしています。ほとんどKポップかアメリカのFMラジオ局です。そのせいか、病院でも音楽がかかっていないと落ち着いて仕事できません。クリニックではKポップというわけにもいかず、カフェミュージックなどをかけています。時々、ネット回線の都合かパソコンの調子でBGMが止まってしまうことがあるのですが、とたんに私の診察スピードも落ちてしまいます。自宅ではTVを見ないので、クリニックの待合でTVがついていると気が散ることがあります。そんな時、BGMがかかっていると気が散らないのです。TVから聞こえる音でいちばん嫌なのが、夕方KKTのテレビタミンのコーナーで応募してきた人に電話してゲームに参加してもらうところです。いつまでも電話に出ないと、TVから呼び出し音が何度も聞こえます。このときばかりは、TVのチャンネルを変えようかと思います。

    そんな中、うちのアレクサ(アマゾンのAIスピーカー)は環境音楽も流せることを思い出しました。波の音や小川のせせらぎなどです。昨日の夜は、秋の虫の音をかけて、と言ってみたら、鈴虫などの虫の音が延々聞こえてきて、ちょうど犬の散歩中などに屋外で聞かれる音と同じでした。癒やされます。人の脳は右脳と左脳で機能が違うことが知られています。左脳は言語脳と呼ばれ、話し声の理解や論理的思考を受け持ちます。右脳は音楽脳と呼ばれ、音楽や雑音を処理するそうです。そして、面白いのは虫の声。日本人は言語脳である左脳で聞くが、西洋人は音楽脳で聞くそうです。だから虫の音は「虫の声」とも言うようです。

    左脳を使って論理的に思考したいと思えば、意識的に左脳を刺激する方法があります。ヒトは右の刺激は左脳へ入り左の刺激は右脳へ入ることが知られているので、携帯電話を右耳に当てれば情報は左脳へ入ります。学校や講演場の左側にすわれば視線は右寄りになるため、左脳が活性化されます。つまり目の向いている方向や左右どちらの耳から情報を入れるかを意識的に利用することで論理的左脳を使うか、感覚的右脳を使うかの切り替えをすることができるのです。

  • シークワーサーは認知症予防にいいらしい

    秋分の日を過ぎて昼より夜のほうが長くなってきました。仕事帰りはすっかり暗くなっています。日中はまだ暑いですが、日が暮れたあとは涼しく、過ごしやすいですね。田んぼもだいぶ黄金色に色づき始めました。この季節になると、アレルギー性鼻炎や喘息が増えてきます。秋のアレルギーシーズンです。アレルギー性鼻炎は早めの内服を、喘息は吸入を忘れないようにしましょう。秋は果物の季節です。最近の果物はすごく甘くて美味しいですが、あの高糖度は体に毒です。果糖やブドウ糖は糖尿病の大敵です。果物はビタミンCも多くて健康に良いといいますが、糖分をとりすぎれば意味はありません。私は、自分では青いみかん以外は買わないようにしています。酸っぱいみかんは体にいいと思います。

    同じように、沖縄の方でとれるシークワーサーという柑橘がありますが、あれも青いときにつんで皮ごと搾ったシークワーサージュースが健康に良いとされています。特に、青いシークワーサーにはノビレチンと呼ばれる成分が多く含まれており、認知症の予防効果があると言われています。私はKALDIに売ってあるシークワーサージュースを毎日炭酸で薄めて飲んでいます。少し高いですが、1本(700円くらい)で1ヶ月は持つので健康を考えると悪くないと思います。

    漢方薬で抑肝散加陳皮半夏という処方がありますが、認知症で気性が荒くなったお年寄りにもよく使います。この処方名に陳皮とありますが、これはみかんの皮を干したものです。みかんもシークワーサーと同じようにノビレチンを含みますが、小太郎漢方が出している製剤はN陳皮といい、ノビレチンを大量に含んだ特殊な陳皮だそうです。他メーカーにない素晴らしい特長だと思います。

  • 世界に目を向けよう

    土曜は大変な混雑でした。連休の中で薬が切れた方や平日仕事で来れない方など集中してしまいます。待ち時間が長くなりすいませんでした。ご来院いただいた患者さんにはあまりゆっくり話ができずすいませんでした。カルテが山のように並ぶとどうしても心の余裕がなくなります。難しい相談(子供が学校に行かない、など)はできるだけ平日にお願いできたらと思います。

    新聞やネットニュースを見ていると、いろんな話題があります。日本のマスコミは報道が偏っているので、なかなか大切な情報が得られません。視野を広くもって積極的に情報を取りに行かないと、受け身ではいけません。一つは中国で不動産バブル崩壊直前。先日世界株価が大きく下げました。週末は持ちかえしていますが、油断してはいけません。日経新聞によるとアジアのハイイールド債の利回りが10%を超える急騰とのことで、危険度が増してきています。また中国ではビットコインなどの仮想通貨が全面禁止とのこと。今後、デジタル人民元が仮想通貨の代わりに世界を制覇することを計画してのことと思われます。日本はこの分野でも周回遅れです。アメリカに目を向けると、大統領選のバイデン票の捏造があちこちの州で明らかになり、トランプ大統領があらためて当選するかもという話題もまことしやかです。世界の動きには目が離せません。

    ところで私は毎日水筒(魔法瓶)2つにお茶を入れていきます。2つはその日の気分で台湾凍頂烏龍茶、台湾東方美人(烏龍茶)、甜茶、プアール茶、ルイボス茶、生姜紅茶などから日替わりで選びます。一番気分が上がるのは台湾の凍頂烏龍茶です。Kaldiでたまに手に入ります。お茶はカフェインの集中力アップ、カテキンの感染予防など優れた効能があります。昨日、いつも使っていた水筒が水漏れするようになったので、他の水筒(子供が高校時代使っていた)に変えてみたところ、保温が良すぎて朝6時に入れたお茶が熱すぎて午前の診察中ぜんぜん飲めませんでした。私は猫舌ではないので、いかに新しい水筒の保温が優れているかということですね。

  • 尿酸代謝の話

    飛び石連休の間の営業日なので患者さんも多く、忙しい一日でした。なかには薬が切れて血圧が上がってしまった患者さんもおられます。休みが続くときは早めの受診をおすすめします。今日も診療のあとWEB講演会に参加しました。テーマは尿酸の話です。演者は熊大の循環器内科で先輩だった吉村先生。現在、慈恵会医科大の教授をされています。熊本にいたときもものすごく優秀だったのですが、今日の話も素晴らしかったです。

    通常、尿酸はプリン体のとりすぎで上がると言われており、ビールなどはプリン体ゼロを謳い文句にしているものも多数あります。しかし今日の講演では尿酸の材料の一つはATPだとのこと。ATPというのは細胞内のエネルギーの塊です。ヒトは、食べたものや脂肪として蓄積したエネルギーを代謝によりATPに変換して細胞で利用します。ATPは万能通貨みたいなものです。このATPが心不全などの病態では代謝がうまく回らなくなり、尿酸に分解されるとのこと。なるほど、と思いました。ビールなど全然飲まない心不全のお年寄りで尿酸がとても高くて治療しているひとが何人もいます。その理由がわかりました。

    尿酸が高いと痛風になるので治療するのですが、痛風を起こしたことのない高尿酸血症をどこまで経過観察するかは議論の余地があります。今日の講演では尿酸値が9を超えるようなら無症状(痛風の既往がない場合)でも治療をしたほうがいいとのことでした。医学というのはこのように一つ一つ事実を積み上げながら治療の基準が決まっていきます。検診で高いと指摘された数値をやみくもに治療すればいいというわけではありません。