むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 風疹ワクチンクーポン

    最近、風疹ワクチンクーポンが届いたという方がいると思います。今回は40歳から57歳の男性が対象です。この年代は女子だけ中学時代にワクチンを接種しているのですが、男性は打っていないため免疫のない人が多数いるためです。風疹は3日はしかというように本物の麻疹(はしか)に比べれば軽くて済むのですが、妊婦さんがかかると胎児の難聴や白内障などの障害が出るため、女子を優先的に予防接種したというのが時代の事実です。

    今回のワクチンクーポンは2段階になっています。まず、風疹の抗体を持っているかどうかの採血検査があります。もし抗体があれば、すでに免疫を持っているのでワクチンは不要です。厚労省のデータでは対象の年代の男性でも8割は抗体を持っているそうですので、実際にワクチン接種が必要なのは2割程度みたいです。

    当院でもクーポンがとどいた方の検査やワクチン接種は行っていますので、届いたクーポンを持っておいでください。いつもの血圧の薬などを取りに来たついででもいいし、風邪を引いたときに受診したついででもいいです。職場検診で採血する際についでに検査するのもいいと思います。働き盛りの男性ですからなかなか病院に行く暇はないかと思いますが、折角のチャンスを逃さないで使いましょう。クーポンを使えば無料ですが、同じことを自費ですれば1万以上かかるそうです。今年クーポンがとどくのは40−48歳。49歳から57歳は来年送ってくるそうです。ただ、ご家庭に妊婦さんがいる場合、クーポンを待つことなく急いで検査を受けたほうがいいと思います。

  • 冷たい飲み物のとりすぎに注意

    月曜日、昼から急に天気が崩れて雷雨となりました。気温が下がればよかったのですが、蒸し暑くてとても不快指数の高い一日でした。熱中症の症状で来院する方もいます。熱中症には点滴をしたり清熱作用のある漢方を処方したりしますが、来院する前にできるだけ水分補給をして来てください。スポーツドリンクやOS-1のような経口補水液がいいのですが、とりあえずなんでもいいので水分をとってください。脱水がひどいと何時間も排尿がありません。尿が出るくらいまで水分が取れたら十分です。

    部活で暑い中練習する子供さんたちは、脱水予防でたくさん水分をとっていることと思います。その際に飲む水分の温度が重要です。氷を入れてギンギンに冷やした麦茶などはよくありません。先日来た高校生はこのように冷たいドリンクを毎日4L飲むと言っていました。練習中暑いので冷たいものがほしいのはわかりますが、冷た過ぎは問題です。

    なぜなら、飲んだ水分は胃で体温まで温められます。0度のものを37度まで温めるには1mLあたり37カロリーを必要とします。もし室温に放置したドリンクが27度くらいだったら、体温に温めるには10カロリーしか必要ありません。この差は体力の消耗、夏バテ、胃腸の疲労と関連します。酪農家は、牛や馬が汲みたての冷たい地下水を飲まないように細心の注意を払うそうです。冷水は体を壊すことを知っているからです。水飲み場では日なたで温めた水を飲ませるよう工夫しているそうです。

    昔懐かしの足踏みミシン

  • 日曜は救急外来当番でした

    日曜は朝から地域医療センターの当番で救急外来でした。最近はたいした風邪も流行っていないからとたかをくくって行ったら休む暇もないくらいずっと患者さんが来ました。溶連菌感染、胃腸炎、尿管結石、イレウスなど様々な疾患です。重症が来ても心配ないのは、マンパワーがある点です。クリニックでは自分一人ですべてを完結させないといけませんが、大きい病院だと、自分の手に負えないときはほかの先生の知恵を借りたり、専門外なら専門の先生に頼んだりできます。いつでも頼めるというだけで気持ちに余裕がでます。地域医療センターは医師会病院なのですが、医師会というのは主に私たち開業医の集まりです。開業医(クリニック)が自分たちのクリニックではできない検査、入院治療などを頼みやすいように医師会費をはらって運営に参加しています。

    そこで、地域医療センターの外来は夜間、休日とも原則として1日分しか薬を出しません。翌日にはかかりつけの先生にお返しするのがルールです。あくまでクリニックの開いていない時間帯をカバーしてくれるだけです。それを知らずに、いくつかのクリニックにかかったけどまだ熱がでるとか咳が出るとか言って来院する人がいますが、明日またかかりつけの先生に相談するようにと言って帰っていただくのが仕事です。病院の立場を知らずに来院する人が結構いらっしゃいます。精査希望ならかかりつけの先生から頼まれないと、クリニックでの仕事を横取りするようなことはしません。

    私は、地域医療センターでも漢方処方をしようとするのですが、ことごとく薬局から在庫がありませんと電話がかかってきます。在庫がないならパソコンに出ないようにすればいいのに、と思います。小柴胡湯も柴胡桂枝湯も何もなく、葛根湯くらいしかありません。胃腸炎は漢方を使えばほぼ1日で治りますが、医療センター前の薬局にはビオフェルミンしかないのでこんなのでは3日たっても治らない、と悲しくなります。

    私のソウルフードの一つ。テキサスバーベキュー屋さんを発見

  • 訪問診療体制を強化します

    台風が本州に上陸したそうです。今回は九州には影響なかったので良かったですが、中部から関東にかけて週末に夏祭りや花火大会などが予定されていた所はタイミング悪かったですね。地球温暖化により台風のできる場所が日本のすぐ近くになってきています。台風発生のニュースをきいてから上陸まで2日ほどしかありません。週間天気予報もあてにならないので、毎日天気のチェックが欠かせません。近海で発生する台風は発達する時間がないため、それほど強力なものになることは少ないと思いますが、急にくるので柔軟に対応しないといけません。

    さて、当院は訪問診療に力を入れています。高齢で来院できないような患者さんには定期的にご自宅や入居施設へ伺って診療しています。すでに70名近くを抱えています。訪問診療は原則24時間対応です。実際には入居施設のスタッフや訪問看護ステーションの協力もあり、それほど頻繁に夜間や休日対応しないといけないことはありません。しかし、私は開業して以来東京などである学会に参加できずにいます。

    そこで、この度、いちぐちクリニックの院長先生と話し合い、訪問診療をお互いカバーして助け合うことにしました。学会に行ったり、お盆休みなどで外出しても、どちらかが熊本市内にいて対応できる体制を構築します。緊急の連絡は携帯があれば日本中どこでも受けられますので、これまで通りです。

  • 夏の漢方

    私が漢方の勉強を始めた25年くらい前に中国のハルピン大学から熊本大学の発達小児科に留学してこられていた趙先生という先生がいました。当時ユニック(いまのアトル)という薬品卸の事務所で漢方の勉強会があっていました。それから延々と25年以上たちましたが、趙先生は今もお元気で漢方のセミナーをされています。今日は夏の漢方の講義でした。

    夏には夏バテ、熱中症、冷たいものの食べ過ぎでお腹が痛い、下痢するなどがよく見られます。このような症状に対して,西洋薬はほとんど無力です。せいぜい脱水に点滴をする程度でしょう。一方、漢方は寒熱虚実を調整するのが得意ですから、夏の暑さを冷ましてくれる処方はいろいろあります。胃腸が弱ったときにそれを立て直す処方も有ります。西洋薬で胃酸を抑えたりする薬では調子は良くなりません。

    漢方では夏バテをいくつかのパタンに分類します。暑邪(暑さにやられてきつい)に対して白虎加人参湯、清暑益気湯。湿邪(湿度にやられた)に五苓散、胃苓湯。脾胃気虚(胃腸が弱った)には六君子湯、補中益気湯。脾陽虚(冷房や冷たい物の飲み過ぎで体調を壊した)に人参湯という感じです。趙先生には25年以上教えてもらっているのでほとんどの内容は知っているのですが、それでも言葉の端端にキラリと光る漢方のコツを教えてくれるので勉強になります。私の大師匠です。芦北の中医クリニックにおられます。

    ソウルのコンビニで買ったどくだみ茶