むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 足のむくみの原因について

    高齢の患者さんの訴えで多いのが、足がむくむというものです。むくみを起こす原因はいろいろあります。まずは心不全。高血圧や心房細動などの罹患歴が長いと心不全になってきます。次第に足がむくみます。心臓弁膜症で弁の逆流がある場合もむくみを起こすことがあります。採血でBNPの検査値が高ければほとんど決まりですが、はっきりしないときは心エコーをして心機能を確かめます。ただ、エコーで見た心機能が保たれていても心不全という場合があります。拡張不全といいます。高齢者には多く認められますが、循環器を専門にしていないとなかなか診断がつきません。

    次に、腎機能低下。腎不全で足がむくむというのはよく聞きますが、実際には軽度低下ではたいしてむくみません。採血でクレアチニンなど腎機能を見れば診断がつきます。肝不全(肝硬変など)でむくむこともあります。これは、採血でタンパクやアルブミンの低値があれば確定します。このように、肝臓、心臓、腎臓などが原因でむくむ場合はたいてい採血で診断がつきます。問題はこう言ったデータに異常を認めないときです。

    そういう場合に注意しないといけないのは足の静脈に血栓ができてしまい、足に行った血液が心臓に戻れなくなっている状態です。深部静脈血栓症といいます。これも循環器の病院では比較的見逃しなく診断できます。それ以外で多いのは足のリンパの流れが悪いというものです。リンパ浮腫といいます。足を高くしておくか、リンパマッサージなどが必要です。あとは、塩分の取りすぎや水分の取りすぎでむくむことがあります。夏場は脱水予防に水分をとるのは悪くありませんが、量が多いとむくみが出るのはある程度は致し方ないことだと思います。