むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 熱中症の予防に漢方

    昨日TVを見ていたら熱中症の話題でした。今年は比較的涼しい夏ですが、天気が良ければ結構暑いです。学生さんたちは炎天下で部活をしたりするし、農業や建築関係などで暑い中仕事をしないといけない人はたくさんいるので知っておいたほうがいいと思います。まず、NHKでやっていたのは手に冷やしたペットボトルを持つといいと言っていました。アイスノンのように極端に冷やしたものでなく、冷蔵庫で水を冷やしたペットボトルのほうが体温を冷却するのに適しているとのことです。手のひらは血流が豊富なので、冷却に向いています。冷たすぎると手の血管が縮んでしまうので、気をつけましょう。以前は氷のように冷やしたものを脇やそけい部に置くといいと言っていましたが、最近はそういうことはあまり推奨されていません。むしろ、霧吹きで体全体に(汗の代わりに)水をかけてからうちわや扇風機で仰ぐというのが救急の現場で実際にやっていることです。家庭でも野外でもできることです。覚えておきましょう。

    もう一つはニュースでやっていたのですが、漢方薬局の薬剤師さんが、熱中症には五苓散がいいと言っていました。これは、間違いではないのですが、ニュースで言うほどのことではありません。効くのはおそらく1-2割ではないかと思います。五苓散が効くのは、熱中症予防に大量の水分を摂取したのに、胃腸機能が弱く飲んだ水分を吸収しきれずにお腹がタプタプになってしまった時です。冷たい飲料水ばかり飲んでいると胃が冷えるので消化吸収能が低下すると考えられます。五苓散より効くのは黄連解毒湯です。当院に来た熱中症患者さんの9割は黄連解毒湯でうまくいきます。

    そんな中、今日来た患者さんに教えてもらったエピソードがあります。以前その人に熱中症で黄連解毒湯を出していたのですが、炎天下の部活動の応援にでいていた保護者さんが熱中症で倒れたそうです。病院に連れて行かないと、と思ったけど、ダメもとで持っていた黄連解毒湯をあげたらあっという間に回復して、午後の応援まで元気にして帰ったとのこと。劇的に効いてびっくりしたといわれていました。