むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 健康番組でお勉強

    火曜日の夕方は恒例の健康番組です。今回は「名医のセカンドオピニオン」で腰痛の症例と認知症の症例でした。このような、ちょっと珍しい診断をドラマ仕立てで見せてくれるのはとても訓練になります。自分のところにこのような患者さんが診察に来たら、どんな推理をしてどんな検査をするか、可能性のある疾患はどのようなものか、その治療はどうするかということを、まるで自分が診察しているように考えます。症例1の腰痛は大腸の炎症が原因でした。これは難しかったです。2例目の認知症はビタミンB12欠乏症でした。私は患者さんにいつもビタミンをとるように言っているので、この症例は症例提示が始まって間もなく答えがわかりました。推論も患者さんの訴えと検査データを総合的に考えて矛盾なく説明できる原因を探るわけですが、ひたすら理論立てて考えれば行きつくところは一つです。あとは、そのような疾患を知っているかどうかです。

    そういった病気を知っているかどうかで医師の診断能力が決まるということは、どれだけ勉強したかにかかってくるということです。実は、ニューイングランドジャーナルオブメディスン(NEJM)という伝統ある医学雑誌があり、昔からマサチューセッツ総合病院(MGH)で見られた症例を病歴、検査所見と順を追って示し、みんなで診断を考えるコーナーがあります。私が駆け出しの研修医だったころは大学で毎週抄読会があり、このような診断プロセスを学ぶ勉強会があっていました。アメリカに留学中は大学職員ということで購読割引があったので、このジャーナルをいつも読みながら大学のトレーニングジムでランニングなどしていました。

    考えると、テレビの健康番組はこういう勉強会と同じ役割があります。私たちプロにとっても診断能力の幅を広げる有力な機会となります。さらに、整形や神経内科など自分の専門外の知識が増えるのもとても役に立ちます。