むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 仕事のストレスを笑いに変える

    「サラリーマン大喜利」という本があったので買ってみました。テレビの笑点みたいな感じでお題があり、それに対する対応(本書の場合解決策)を漫画でいくつも紹介してあります。読み始めたのですが面白いです。仕事のストレスで体調を壊して来院される方が多いですが、そのストレスを笑いに変えてしまうのは素晴らしいことです。お題としてあがっているものをいくつか紹介すると、「上司の飲みの誘いを上手にうまく断ってください」とか、「喧嘩した同僚と仲直りしてください」という感じです。いくつも対策を紹介してあるのですがばかばかしいほどぶっ飛んだ回答です。詳しくはぜひ本書をご覧ください。今週末に私が読み終わったら、月曜にはクリニックのロビーに置いておきます。

    それにしても、職場でのストレスで体調を壊す人は後が絶えません。これらの人に共通しているのはとてもまじめで若干融通が利かない点です。仕事は仕事と割り切っていれば体調を壊すことはないのでしょうが、ついつい頑張りすぎます。また、上司から言われた一言がグサッと響いて立ち直れない人も大勢います。

    この様なときは、自分が指導されたとは思わず、もっと離れたところから第3者的に客観視することが大事です。課長ったら、またこんなこと言ってると少し離れた所から事実を観察することです。また、「いつもお前は」とか「この前も言っただろう、いつもお前はそうだからダメなんだ」みたいに言う上司に対しては、「今回のミスを具体的に限定して指導されるならまだしも、自分の仕事の様子全体を否定するような言い方をする上司は、具体事例を「一般化しすぎる欠点があるなー」と他人事みたいに客観視することで心の平静を保つことができます。

  • 夏休み 体を壊すお母さん

    台風が近づいています。今回は九州上陸はなさそうですが、突風や激しい雨には注意しましょう。梅雨明けはまだですが、学生さんたちはいよいよ夏休みですね。子供は喜びますが、親にとって夏休みは仕事が増えてストレスが増します。宿題を済ませたか、昼ご飯をどうするか、危ないところに遊びに出かけたりしていないか、せっかくの休みは遊園地などに連れて行かないといけないか、と子供のことを考えるときりがありません。おじいちゃんおばあちゃんたちも、孫が来るのはうれしくもあり、ストレスでもあるようです。ご馳走を準備したり、抱っこしたり、気ぜわしいため、孫が帰った後に病気したり腰痛などで病院へ来られる方は大勢いらっしゃいます。

    働くお母さんの場合が最も負担が大きいと思います。通常は子供が学校から帰るまでは安心して仕事ができますが、夏休みは気が気ではないと思います。一方、お父さんはというと、たいていの場合夏休みも全く無頓着です。夏休みで体調を壊したといって来院するお父さんは見たことがありません。やっぱりどこの家庭もお母さんに負担がかかっています。日本が遅れている証拠です。家事や子育ては男女平等であるべきです。夏休みに子供のことを心配して体調を壊すお父さんが出るくらいになれば日本も立派な先進国だと思います。

    今思えば、自由研究がとても負担でした。漠然としすぎているから困るのだと思います。もっと、テーマを絞って、理科、社会、技術家庭科から1つずつくらいテーマをだして、どれか好きなものを選べたら話は早いと思います。理科ならソーラーパネルの研究。社会なら、太陽光発電は地球を救うか(調査)、技術家庭科ならソーラーパネルを使った蓄電技術や省エネ家電の開発など、環境と先進技術の分野を考えるテーマなんていいですね。

     

  • 熱中症の予防に漢方

    昨日TVを見ていたら熱中症の話題でした。今年は比較的涼しい夏ですが、天気が良ければ結構暑いです。学生さんたちは炎天下で部活をしたりするし、農業や建築関係などで暑い中仕事をしないといけない人はたくさんいるので知っておいたほうがいいと思います。まず、NHKでやっていたのは手に冷やしたペットボトルを持つといいと言っていました。アイスノンのように極端に冷やしたものでなく、冷蔵庫で水を冷やしたペットボトルのほうが体温を冷却するのに適しているとのことです。手のひらは血流が豊富なので、冷却に向いています。冷たすぎると手の血管が縮んでしまうので、気をつけましょう。以前は氷のように冷やしたものを脇やそけい部に置くといいと言っていましたが、最近はそういうことはあまり推奨されていません。むしろ、霧吹きで体全体に(汗の代わりに)水をかけてからうちわや扇風機で仰ぐというのが救急の現場で実際にやっていることです。家庭でも野外でもできることです。覚えておきましょう。

    もう一つはニュースでやっていたのですが、漢方薬局の薬剤師さんが、熱中症には五苓散がいいと言っていました。これは、間違いではないのですが、ニュースで言うほどのことではありません。効くのはおそらく1-2割ではないかと思います。五苓散が効くのは、熱中症予防に大量の水分を摂取したのに、胃腸機能が弱く飲んだ水分を吸収しきれずにお腹がタプタプになってしまった時です。冷たい飲料水ばかり飲んでいると胃が冷えるので消化吸収能が低下すると考えられます。五苓散より効くのは黄連解毒湯です。当院に来た熱中症患者さんの9割は黄連解毒湯でうまくいきます。

    そんな中、今日来た患者さんに教えてもらったエピソードがあります。以前その人に熱中症で黄連解毒湯を出していたのですが、炎天下の部活動の応援にでいていた保護者さんが熱中症で倒れたそうです。病院に連れて行かないと、と思ったけど、ダメもとで持っていた黄連解毒湯をあげたらあっという間に回復して、午後の応援まで元気にして帰ったとのこと。劇的に効いてびっくりしたといわれていました。

     

  • 不眠と傾眠

    予約に関するお問い合わせをメールで頂いた方がいらっしゃいます。返事をしようとしたのですが、返信メールが届きません。もし、返事が来ないなーと思っておられる方がおられましたら、もう一度、返信用アドレスを確認の上、ご連絡ください。

    眠れないといって来院される方が毎日たくさん来られます。不眠は結構厄介です。薬をいろいろ使えばなんとかできる場合が多いのですが、薬の副作用とか常用性とかいろいろ考えると難しくなります。眠れないと翌日の仕事に差し支えるので何とかしてほしいと割り切って言っていただければ処方は簡単ですが、「寝たいけど、薬は飲みたくない。だけどー、飲まないと眠れないしー」と外来の診察室でひたすら自問自答される方がいます。来る前に決めてきてほしいと思います。私にできることは、処方することだけです。薬がいる人だけ来てほしいと思います。「マイスリーを飲めば眠れるけど認知症になりたくないし、漢方に変えてください」といわれても、ほとんどむりです。何も飲んでいない不眠の人なら漢方が効くかもしれませんが、睡眠薬と同等の効果を漢方で出すのは不可能です。

    逆に、眠くて仕方ないという相談もあります。まずは、睡眠時無呼吸がないかをチェックします。ないようなら、ナルコレプシーのような疾患(精神科が専門)の場合もあります。病的な異常がないときには、糖質制限を勧めています。朝と昼のごはんから炭水化物を抜くことです。パン、ご飯、麺類、シリアル、グラノーラなど一切の炭水化物をぬいて、肉、卵、チーズ、ソーセージなどを中心に食べます。またビタミンBミックスをとってもらうことも重要です。朝にバターコーヒーを飲むのもおすすめです。バター以外でもココナッツオイルやMCTオイルをコーヒーに入れてよく混ぜて飲むだけです。腹持ちするのでパンなど必要ありません。目がさえますよ。私も仕事中集中力を持続させるため朝と昼は炭水化物を完全に抜いています。

  • 健康番組でお勉強

    火曜日の夕方は恒例の健康番組です。今回は「名医のセカンドオピニオン」で腰痛の症例と認知症の症例でした。このような、ちょっと珍しい診断をドラマ仕立てで見せてくれるのはとても訓練になります。自分のところにこのような患者さんが診察に来たら、どんな推理をしてどんな検査をするか、可能性のある疾患はどのようなものか、その治療はどうするかということを、まるで自分が診察しているように考えます。症例1の腰痛は大腸の炎症が原因でした。これは難しかったです。2例目の認知症はビタミンB12欠乏症でした。私は患者さんにいつもビタミンをとるように言っているので、この症例は症例提示が始まって間もなく答えがわかりました。推論も患者さんの訴えと検査データを総合的に考えて矛盾なく説明できる原因を探るわけですが、ひたすら理論立てて考えれば行きつくところは一つです。あとは、そのような疾患を知っているかどうかです。

    そういった病気を知っているかどうかで医師の診断能力が決まるということは、どれだけ勉強したかにかかってくるということです。実は、ニューイングランドジャーナルオブメディスン(NEJM)という伝統ある医学雑誌があり、昔からマサチューセッツ総合病院(MGH)で見られた症例を病歴、検査所見と順を追って示し、みんなで診断を考えるコーナーがあります。私が駆け出しの研修医だったころは大学で毎週抄読会があり、このような診断プロセスを学ぶ勉強会があっていました。アメリカに留学中は大学職員ということで購読割引があったので、このジャーナルをいつも読みながら大学のトレーニングジムでランニングなどしていました。

    考えると、テレビの健康番組はこういう勉強会と同じ役割があります。私たちプロにとっても診断能力の幅を広げる有力な機会となります。さらに、整形や神経内科など自分の専門外の知識が増えるのもとても役に立ちます。