むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • インフルエンザの治療の選択肢

    インフルエンザが急増しています。注意報レベルですが、警報レベルまでもうわずかです。検査はかなり感度が高くなっていますが、熱が出てすぐに来院されても正しく出ません。解熱剤などを使いながら少なくとも半日は様子を見てから来院頂けたらと思います。家族がインフルエンザと確定している場合、検査で陰性と出ても状況から考えると別の風邪の確率は低いと考えます。そのような場合は、症状確定(インフルエンザの症状が典型的で感染経路も明確な場合、検査の結果にかかわらず臨床的にインフルエンザと診断)します。そのような場合、当院ではタミフルの処方を行っています。

    今年はタミフルのジェネリックが出て、インフルエンザの治療がかなり安くなりました。これは朗報です。一方、初日に1回飲むだけで治療が終了する新薬も出てきています。そちらは新薬ですから値段は高いのですが、1回でいいという利便性があります。ただ、もし飲んだ後吐いてしまったとか、飲もうとしたけど落としてしまったとか、そんなときはどうしようもなくなります。5000円がパーになります。それを考えると、タミフルは5日間飲むので、リスクが分散されます。また、初日に1回吸入すれば良い吸入治療薬もあります。

    吸入は肺の局所投与なので、妊婦さんや授乳中の患者さんにメリットがあります。一方、きちんと吸えない高齢者や小さなお子さんでは効果が担保できないので、内服のほうがいいかと思います。また、点滴を1回するだけで治療が完了するインフルエンザ治療薬もあります。高齢者などのハイリスク患者さんや受験生などにおすすめです。このように、今年はインフルエンザの治療の選択肢がぐっと増えました。適切なタイミングで検査して、適切な治療を受けることをおすすめします。

    菜の花に蜜蜂🐝、春ですね?

  • 在宅での最期

    在宅医療をしていると、亡くなる方もおられます。今日は朝から患者さんの入居している老人ホームから調子が悪いと報告がありました。点滴や酸素など施設内でできることはすべて手配してあったので、あとは訪問看護師さんに痰を吸引したり酸素の具合を調整してもらったりをお願いするだけです。折しもクリニックの方は正月明けの定期処方やインフルエンザなどの患者さんでごった返しており、今日一日で100名近くの診察をしました。容態を見に往診したくても行く時間が取れません。

    夕方になり、診察が全て終わって慌てて施設に駆けつけましたが、残念ながら最期に間に合いませんでした。でも、患者さんも私の診察が終わるまでギリギリ待ってくれたような気がします。これが数時間早かったら、外来患者さんもたくさんいて診察を中断することもできず、どうしようもないところでした。この患者さんは病院ではなく在宅で最後を迎えたいというたっての願いから病院主治医も退院を許可し、私たちクリニックスタッフと訪問看護ステーションと、入居していた施設スタッフとのチームワークで看取りを引き受けました。

    こういう在宅での最期は病院と違って家族に見守られながら静かで厳かなものです。病院では心電図や血圧計などのモニターがいくつもついて、心臓が止まりそうになるとアラームがバンバンなり、看護師さんたちがドタバタと走りまわりますが、在宅ではそれがありません。蘇生術を施したりもしませんから苦しまずにきれいな最後を迎えられます。このように最期がうまくいくかどうかの大事な鍵は、唯一「本人と家族の覚悟」だけです。

  • 焼き芋は太らない?

    今日もTVの健康番組の話です。さつまいも(焼き芋)は太らないと言っていました。何人かの大学生に毎日焼き芋を食べさせたけど太らなかったという検証でした。この検証は、大学生という若い世代に限った実験だったこと、毎日食べるという極端な食べ方をしたこと、など検証そのものに問題があります。通常の人が、芋を食べると太ると考えているということは、現実太ったという実感があるからだろうと思います。

    番組で、いも農家の人にも聞いていました。芋を食べても太らないとみな口をそろえていっていました。それが本当なら面白いです。理由を考えればいろいろあります。食物繊維の有効性です。番組では冷えた焼き芋のほうが食物繊維の量が多くて健康にいいそうです。いも農家の人達は一度に大量に焼いて、数日かけて食べるので冷たい焼き芋を食べると言っていました。

    番組の最後の最後で重要なことを言っていました。「適量は100g」だそうです。いも半分くらいです。1個食べたらアウトです。また、いも農家の人達はご飯代わりに食べると言っていました。つまり、ご飯を食べて、いもも食べるのはアウトです。トータルの糖質量を考えて食べないといけません。また、スイートポテトのようなお菓子は砂糖が大量に入っているので、やはり健康には良くないと思います。適量を食べることは食物繊維のことを考えると健康にいいのでしょう。味噌汁の具にするくらいがちょうどいいのではないでしょうか。

    江津湖畔の湧水。熊本地震から今日で1000日。地震の際はこの湧水を飲んで生き延びました。命の水です。

  • めまいは体操で治す

    夕方、名医のTHE太鼓判という番組を見ました。いくつか大事なことを言っていたので、忘備録として書いておこうかと思います。見なかった人は是非参考にしてください。まず、骨粗鬆症です。みかんを食べると骨折予防になるそうです。その有効成分はみかんに多く、夏みかんその他には入っていても量が少ないとのこと。冬にしっかり食べておけば予防効果は夏まで持続すると言っていました。番組では、みかん農家の人たちが平均で1日3個のみかんを食べており、骨密度が高かったそうです。みかん農家の人は、急斜面の畑を歩く運動をしているからではないかといううがった見方もできますが、とりあえず面白いネタなので、1日3個程度のみかんなら食べてもいいかもしれません。ただし、糖尿病や中性脂肪が高い人は注意が必要です。

    次に、めまいです。めまいの半数は良性発作性頭位めまい症だと言っていました。私の外来での実感もそうです。もう少し多いかもしれません。残りの半分はメニエール病とか、自律神経失調です。素人の皆さんはすぐに頭のCTを撮ろうとしますが、CTでわかる脳腫瘍や脳梗塞などがめまいの原因となるのはごく僅かです。大半はCTなどの検査は不要です。その良性発作性頭位めまい症ですが、めまい体操が良いとのこと。私も患者さんにめまい体操を勧めてはや10年ほど経ちます。めまい体操は簡単です。頭を振るとめまいがするので怖がる人が多いですが、勇気を持って動かしましょう。治るためにはそれが早道です。じっとしていたらとりあえずめまいは起こりにくいでしょうが、いつまでたっても治りません。

    最後にむくみの話題。むくみと塩分摂取は密接な関係があります。塩分摂取が多いとてきめんむくみます。立ち仕事や一日座っている場合はもちろんですが、食生活にも注意が必要です。番組ではダシを濃く取ると塩分控えめでも満足感が得られると言っていました。ただし、白だし、めんつゆ、粉末のだしの素などは塩分がかなり含まれるので要注意です。ダシは昆布や椎茸、鰹節など本物からとりましょう。

    下江津湖畔の「 象の見える散歩道」

  • 健康な油(油脂)

    日曜は部分日食でしたが、見ましたか?私は何度か空を見上げましたが、曇っていてよくわかりませんでした。ただ、結構暗くなったので、その時が日食だったのだろうと思います。日食と言うのは太陽と月と地球が一直線に並んだときに起こります。少しでもずれると日食にはなりません。通常、満月や新月の日は多少太陽と地球との位置関係がずれていても大潮となります。地球に大きな引力がかかると言うことです。これは、日食や月食の日となれば、重力の歪は最大限になります。どおりでこの数日地震が頻発するわけです。あと2日ほどは大きな力がかかりますから地震には要注意です。

    さて、正月が明けて1週間が経ちました。今週は年末に処方した患者さんが集中すると予想されます。皆さん、1月の第1週は予定が立たないため再診日程を入れるのを避けられます。その結果、第二週、すなわち今週あたりに集中するのです。待ち時間が長くなるかもしれない点は、ご容赦ください。折しもインフルエンザが増えてきています。当院では風邪の患者さんと血圧などの慢性病の患者さんは待合を分けているので安心いただきたいと思います。

    さて、昨年は健康分野では糖質制限がブームでしたが、今年の健康ブームは脂質(油)だと思います。以前はマヨネーズなど不健康の代名詞でしたが、いまやドレッシングより体にいいからマヨネーズを使いましょうと言います。マーガリンは悪、バターは良。魚の油は良。サラダ油は悪、亜麻仁油やえごま油、オリーブオイルは良。油とうまく付き合うことが健康への近道です。