むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • タミフルとインフルエンザ新薬

    今シーズンのインフルエンザの流行は去年ほどではないと思っていたら、結構流行っています。先日のブログでも書いたのですが、今年は1回の内服で治療が済む新しいインフルエンザ治療薬(ゾフルーザ)が出ています。当院でも使っていますが、効き目が従来のタミフルや吸入治療薬と比べてとくに優れているわけではありません。タミフルと同等です。タミフルはジェネリックが発売になり、値段は新薬の半分近くになっています。同じ効き目でこの値段ですから、普通考えてタミフルを優先的に使うべきだと思います。

    もう一つは副作用です。タミフルに関しては18年近い使用経験からほとんどの副作用が明らかになっています。以前、10代の子供には異常行動を起こす可能性があるから使用を控えるように言われた時期もありましたが、その後解禁された経緯があります。新薬にはそういった情報が全く無いので、これから明らかになってくると思いますが、新薬を希望する人たちはその実験台になっているも同然です。

    高齢者の場合は飲ませたのに吐き出したとか、きちんと飲めたかどうかわからないという場合がしょっちゅうあります。吸入タイプもうまく吸えない人がたくさんいます。一方タミフルに関しては、朝夕2回の5日間で合計10回飲むので一度きちんと飲めなかったとしてもまだ治療のチャンスがあります。また、今回最も懸念されていることが新しいインフルエンザ治療薬は耐性獲得が多いと報告されていることです。ウイルスのほうが薬より強くなってしまう恐れがあります。したがって、せっかくの新薬が効かなくなる日は近いと予想されます。そういうわけで、目の前の患者さんにはタミフルにするか新薬(ゾルフーザ)にするか吸入(イナビル)にするかをいろいろ考えて処方しています。たまに患者さんの方から新薬を希望されることもあります。心の中では「本当にそっちにしますか?私だったら飲みませんけど」という気持ちです。ただ、治療の有効性が担保されるタイムリミットが発症から48時間であるため、ギリギリの人には1回でいい新薬を処方しています。悠長にタミフルを5日間飲むよりいいと考えてのことです。

    最後にもう一つ、私が気にしているのはタミフルの飲み方です。貰ったらとりあえずすぐ1回目を飲んで欲しいです。時間が勝負だからです。先日老人ホームの患者さんに昼にタミフルを処方していたのに夕方ホームに見に行ったらまだ飲んでいませんでした。夕食を食べたら飲ませます、と言ってました。それでは遅い!何度も言いますが48時間以内に開始しないと「効かない」のですから、飲むのであれば「すぐに」です。ただ、処方箋には便宜上1日2回朝夕食後と書きますが、食後でないといけないわけではありません。まずはすぐに1回飲んで、2回目はできれば半日ほど開けるのがいいと思います。

     

    ソウルタワー(一番奥の山の頂上)です。5、6年前に行った際には頂上まで走って登りました。