むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 年末の雑感とご挨拶

    クリニックのオープン前からこのブログを書き続けて2年半です。今日のブログが何回目の更新なのか調べたら、975回目でした。もし、過去にさかのぼって読もうとすると、大変な量です。それにしても毎日よく書き続けたと自画自賛です(休んだのはたった1日:おととし風邪で寝込んだ日に更新できませんでした)。

    患者さんをはじめ、いろんな人に読んでいただいているようです。下の世界地図はグーグル解析した当院ホームページ(院長ブログ)をこの1年に読んでくださった人たちのアクセス状況です。日本はもとより、アメリカ、カナダ、ロシア、東南アジア、アフリカなど各地から読んでいただいているのがわかります。世界中の皆さんに感謝です。来年もますます役に立つ情報を満載で書き綴っていきたいと思います。ご期待ください。

    年末のご挨拶:本年も多くの患者さんにご来院いただきありがとうございます。循環器内科、漢方、心療内科と幅広くやっている関係で非常に難しい症例も多数集まります。「おかげで元気になりました」と言っていただけるのが何よりも喜びです。なかには難しい疾患で私の力の及ばない場合もありました。さらに自己研鑽し、一人でも多くの方に健康で幸せな毎日を送っていただけるよう頑張りたいと思います。2019年もどうぞよろしくおねがいします。

     

  • メガビタミンの一年

    今年も残すところわずかとなりました。ちょうど一年前の統合医療学会でうつやパニックは鉄分不足という話を聞いて、それから必死に栄養と気分障害の関連について勉強しました。その中で、広島の藤川先生の著書を知り、その藤川先生がこの分野の研究に入ったきっかけとなった三石巌先生の著書にたどり着きました。何冊も買って、自分のものとするまで繰り返し読みました。三石先生の著書はかなりたくさんあるので、まだ全部は読み終わっていません。この正月の休みに全部読むつもりです。

    そして、その理論の実践です。患者さんにも相当数ビタミンやミネラルのサプリを勧めました。よく病院用で品質が高いから値段も高い、みたいな商品がありますが、そういったものは一切排除して、ほとんどはドラッグストアで買えるDHCの商品やネット通販で買えるアメリカ製のサプリを使いました。自分でも10種類近くを毎日朝晩に分けて飲んでいます。おかげで、毎日膨大な患者さんの診察をこなしても疲れ知らずです。

    もう一つ患者さんにおすすめしたのが、タンパク質の摂取を増やすことと、炭水化物を減らすことです。和食はコメに重点を置いてメニューが構成されますが、炭水化物は糖尿病のもとです。タンパク質(肉、魚、卵、納豆、チーズ)は体を構成する成分の多くをしめますから、食べないといけません。メンタルにも仕事の疲れにも甘いものではなくプロテインです。この医療の実践で、薬ばかりに頼らず治療できる可能性が広がってきています。

    私が飲むビタミン。左からナイアシン(B3), A10000, B50, C1000, D3, E400, オメガ3、ビオチン、カルシウム・マグネシウム・亜鉛です。

  • インフルエンザ検査キット高感度リーダーを導入しました

    それにしても寒くなりました。往診中は雪が降って気温も4度くらいにしか上がりませんでした。私は歩いて通勤していますが、ついにマフラーと手袋をしての通勤です。今日になり、インフルエンザの患者さんが急増してきました。年末年始は帰省したりして人と合ったりする機会が増えるので、流行のきっかけとなります。注意してください。

    この度当院では、インフルエンザの判定キットの高感度リーダーを導入しました。インフルエンザの検査をした方は見たことあると思いますが、検査キットはチップ上に線(バンド)が現れます。1本目はきちんと検査ができている証拠で、コントロールといいます。もう一本がAあるいはBのところに現れたら、それぞれインフルエンザA型、B型の判定となります。しかし、ウイルス量が少ないとバンドは非常に薄く判定が難しくなります。これまでも、心の目で見えそうで見えない微妙なバンドを見ながら判定していました。それを今回導入したリーダーは高感度センサーで判定してくれるのです。

    今日使ってみてびっくりしました。私たちの目では絶対に見えないバンドを検出して陽性判定が出ます。このレベルになると、去年までは正確に判定できていませんでした。そういう場合(怪しいけど陽性判定ができない場合)、明日もう一度来てみてくださいと言っていましたが、今回のリーダーの導入で一日ムダにすることなく即日判定して治療を開始できます。1日早く治療開始することで家族にうつるのも防ぐことができます。患者さんにとってはものすごいメリットです。今シーズンはこのリーダーのおかげでインフルエンザ治療が劇的に変わると感じています。

    当院の年内の診療は29日(土)午前中までとなります。新年は1月4日から通常通りです。

  • 風邪の予防法

    血圧の薬やコレステロールの薬は簡単です。飲んでもらえば結果が出ます。しかし、医療においてそのようなものは例外的です。人の体はそんな単純ではありません。例えば今流行りの風邪。風邪にかかってばかりいるのでなにか免疫を上げる漢方をください、みたいな相談がしょっちゅうあります。風邪を予防する漢方はないことはありません。補中益気湯や玉屏風散などは非常に効果的です。しかし、それだけで満足してはいけません。多くの人がインフルエンザの予防注射をしたから大丈夫みたいに簡単に考えていますが大間違いです。予防注射なんて、ほとんど効きません。インフルエンザにかかった人に聞いてみると、たいていの人がワクチンを打っています。逆に風邪を全然ひかないという人に聞くと、ワクチンなんて打ったことないと言われます。

    結局、生活習慣全体の問題です。風邪の対策としてどんな事があると思いますか?きっとご存知のことと思います。ワクチン:ちょっとだけ効きますが、個人のレベルでは効果はわかりません。学校全体とか、国民全体とか、集団で考えると打ったほうが多少いいみたいです。そのくらいの効き目です。うがい:効きません。ほとんど無駄です。手洗い:最も重要です。アルコールの手指消毒:有効です。マスク:予防にはなりません。かかった人がかけておくとくしゃみなどの飛沫が遠くまで飛ばないので予防効果があります。ビタミンC:体内でウイルスと戦うインターフェロン産生に重要なので、とったほうがいいと思います。

    その他の食品で有効とされるもの:納豆、ヨーグルト、味噌などの発酵食品。ネギ、玉ねぎ、ニラ、にんにくなど匂いの強い野菜。しいたけを始めとするきのこ類。これらの食品は全部重要です。私は毎日全部欠かさず取ります。1つ2つかけても仕方ありませんが、何か一つではだめです。LG21ヨーグルトとか、ブランド物はいいような気がしますが、関係ありません。それだけでなく、ネギも納豆もしいたけも毎日食べることです。そういう努力なしに風邪ばかり引いて困るので漢方ください、というのは基本が間違っています。

  • 薬物依存治療は難しい

    「精神科臨床144のQ&A(星和書店)」という本が刊行されました。月に一度金曜午後に外来を担当してもらっている真紀先生(東京の国立精神神経医療センター勤務&私の妻)もこの本の1セクションを分担執筆しています。内容は、「Q: ベンゾジアゼピン系薬剤の依存になってしまっている患者さんに対してどのように対処すればいいのでしょうか」というコーナーです。ベンゾジアゼピン系薬剤(以下ベンゾと略)はいわゆる睡眠薬や安定剤として広く使われている薬剤です。とてもよく効くのですが依存になりやすく、薬が切れるとどうしてもその薬が欲しくなるので麻薬みたいな感じです。

    以前は抗不安薬(安定剤)は睡眠薬より軽い薬だから安全という誤った認識があり、広く使われていました。デパス(エチゾラム)、ソラナックス(アルプラゾラム)などが代表です。今はこういった薬剤を睡眠薬代わりに出すことはしません。すでに薬物依存になってしまっている場合、並大抵ではやめられませんから、しかたなく処方していますが、処方するたびに残念で仕方ありません。最初にデパスやソラナックスを使わなかったら今頃こんなに依存症にならなかっただろうにと思うからです。

    実は、マイスリー(ゾルピデム)は非ベンゾと言われていますが、ほとんどベンゾと同じです。使っているうちにその薬がないと眠れなくなります。ひどいときは何ヶ所も病院を回って同じ薬を処方してもらい、一日5錠とか10錠とか使う人がいます。こういう人は4週間分処方しているのに3週目に貰いに来たり、薬をなくしたとか、家族が間違って捨てたとか、親の介護でしばらく県外に行くので早めだけど1ヶ月分ほしいとか、何かにつけ変な理由を考えて貰いに来ます。こうなったら自力ではどうにもなりません。医師会では、このようなベンゾ依存で点々と睡眠薬などをもらい歩く人をブラックリストにして情報共有しています。特にデパスは麻薬と同じような向精神薬に指定されましたから、年が明けると処方が厳しくなります。どこでももらえなくなると予想されます。しかし、突然内服を止めたら痙攣を起こしたりして命の危険さえあります。止めたいけど止められなくなって、どうしようもないところまで行ってしまった方は、真紀先生にご相談ください(完全予約制)。本気で依存を治したいならこちらも力になります。