むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • マスクの話

    下通りなどを歩いていると、時々若い人たちが黒いマスクをして歩いているのを見ますね。この黒いマスク、異様な感じがしますが、実は殆どが韓国からの観光客です。今回ソウルを歩き回って見ると、マスクをしている人がかなり多かったのですが、8割位の人は黒でした。黒が流行っているのだと思いますが、詳しくは知りません。むかしは、マスクをするのは日本人くらいだと言われていました。欧米ではマスクをするのは手術室に入る外科医くらいで、普通の人はマスクはしません。もししていたら、犯罪者のような悪いイメージしかありません。日本の犯罪者といえば、むかしなら唐草模様の風呂敷を頭に被り鼻の下で結ぶいわゆる「どろぼー」スタイル。現代では、スキーの目出し帽にサングラスですね。

    以前から、韓国人はなぜ大勢マスクをしているんだろうと疑問だったのですが、行ってみてわかりました。ソウルの大気汚染は凄まじいです。中国から流れてきたPM2.5なのか、自国で発生しているのかは知りませんが、空が霞んでいました。慢性気管支炎のような変な咳をしている人も見かけたので、公害は深刻なようです。ソウルではまだ道端でたばこを吸う人が大勢いました。今や日本では考えられない風景です。おそらく今後肺がんが相当増えてくるのではないかと心配します。

    ところで、マスクをすることは感染予防にはほとんどなりません。咳やくしゃみをした際にツバを飛ばさないくらいの効果です。病院に行くときやバスに乗る時マスクをするというのは無意味です。マスクは風邪を引いている人がすべきもので、健康な人がしても役に立ちません。唯一予防効果のあるN95マスクというのはウイルスも通さないのですが、マスクと鼻の間にわずかでも隙間があると意味がないので、ぴっちりとはめないといけません。そんなことでは息苦しくて仕事になりません。そういうわけで、私は診察中に一切マスクをしません。インフルエンザとわかっている患者さんを診察するときでさえ、です。

    ソウル 明洞(ミョンドン)の屋台