むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 日光浴の効果とビタミンD

    むかし、結核の治療法がなかった時代、結核療養所はサナトリウムと呼ばれ、郊外の小高い丘の上などにありました。治療はもっぱらきれいな空気と日光でした。それでも、療養の甲斐があって元気になる人もいたようです。抗結核剤(特殊な抗生物質の組み合わせ)を使わずに治るというのは不思議ですが、日光浴が薬になったであろうことは想像できます。日光浴をすると、体の中でビタミンDが合成されます。ビタミンDはビタミンという分類ですが、ステロイドやコレステロールに似た骨格(構造)を持ち、どちらかといえばホルモンです。

    ビタミンDは骨を強くするとか、カルシウムの吸収を助けるというイメージですが、じつはそれだけではありません。最近注目されているのは、免疫能をあげて風邪の予防になるということです。さらに、糖尿病、動脈硬化、花粉症、うつ病などにも効果的だと言われています。ビタミンDは日光(紫外線)の刺激で体内で合成されるため、夏は比較的十分なのですが、秋から冬にかけて足りなくなってきます。風邪やうつが冬に悪化するのもその影響がありそうです。最近読んだ本では、冬になるとビタミンDはが減ってくるので、それがシグナルとなって体は冬眠体制に入るそうです。そうすると、代謝が落ちて節約モードとなり、脂肪が増えて肥満に関連するようです。

    そこで、冬にもちゃんとビタミンDはをサプリで摂ったり十分な日光浴(ひなたぼっこ)をすることで、肥満の予防になるようです。もちろん風邪の予防にもなるし、いいことずくめです。日焼けを気にして長袖、帽子、サングラス、日焼け止めという完全防備をすると夏でもビタミンDは不足が起こりますから、日焼け対策を程々にするかサプリを飲むことを検討したほうがいいみたいです。私は、うつの患者さんには毎回のように明るい日中に外を散歩してくださいと言っています。これは、日光が脳内のセロトニンをふやすのに大事だと言われているからですが、ビタミンDも重要な関与をしているようです。

     

     

  • 鶏肉とサルモネラ(食中毒)

    鶏肉や卵にはサルモネラという食中毒を起こす菌がいます。生焼けの鶏肉は要注意です。先日、スーパーで買った鶏肉をフライパンで焼いて食べようとしたら、味と香りがいまいちだったので、食べるのを止めました。そのときの鶏肉パックの残りをさっと焼いてうちの犬(ゴンちゃん)にやってみました。ちょっと生焼けだったのですが、ゴンは散歩中にわけのわからないものを拾い食いしてもどうもない強靭な胃袋の持ち主なので、このくらい傷んだ鶏肉のソテーなどごちそうだろうと思ったのです。

    ところが翌日仕事から帰ってみたら大変です。ゴンが激しい嘔吐下痢でした。ゴンは留守中サークルの中にいるのですが、サークルの中が吐物と下痢ですごいことになっていました。食中毒です。慌てて、サークル内をアルコール消毒し、ゴンには殺菌効果の強い正露丸とビオフェルミンと整腸作用のあるエビオスをあげました。幸い翌日には元気になりました。

    私が子供の頃は、鶏肉は肉屋には売ってありませんでした。(覚えていますか?)肉屋にあるのは牛肉と豚肉でした。鶏肉は鳥専門の店がありました。当時、二本足の動物(トリ)と四つ足(牛、豚)は別の扱いと言われていましたが、おそらくトリはサルモネラが多くて他の肉と同じ扱いにすると大変だからだと思います。今はスーパーなどで鶏肉とその他の肉は同じ売場で扱われているので法律がかわったのでしょうか?生卵の殻にもサルモネラがついています。日本人は小さい頃から生卵を食べるので、サルモネラに比較的強いのですが、外国では生卵は食べません。最近日本の卵は洗浄消毒してから店頭に並ぶので、食中毒が減ったのかもしれません。とにかく、鶏肉の生焼けは要注意です。

     

  • 健康にいいミネラルと鍋について

    パソコンで複数の仕事を同時にすることをマルチタスクといいます。検索しながら論文を書くとか、YouTubeをみながらメールを書くとか、そういう「ながら仕事」のことです。私はできるだけ「ながら仕事」をするように心がけています。えー反対じゃないのという方もおられるかもしれませんが、一つだけに集中せず、いくつも同時に仕事をこなすのは若い頃からの習慣です。この前両親と話していたら、私の父もそうだといいます。逆に母はひとつずつきちんとこなすタイプだそうです。iPad2つとパソコン2台を駆使して仕事をします。AIスピーカーのアマゾンエコーも活躍します。最近気づいたのですが、アマゾンで買ったkindle本(電子ブック)はアマゾンエコーのAI(人工知能)に朗読させることができます。これで更にながら仕事がパワーアップします。

    今日は、ミネラルの話題を書いておこうと思います。ミネラルというのは金属です。体に必要なミネラルの代表はナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅、などです。一方、からだに悪いのは鉛、水銀、アルミ、カドミウム、ヒ素などです。

    身近な話題として、鍋やフライパンを考えましょう。よくあるのはアルミの鍋。軽くて熱伝導もいいので、ご家庭にいくつかあると思います。酸に弱いので酢を加えた料理は要注意です。アルミが溶けて体内に入ると神経毒となります。認知症のリスクです。アルミホイルやアルミ缶の飲料水やビールなども避けるべきです。テフロン加工したフライパンもテフロンの下はアルミで出来ています。テフロンそのものがフッ素ですから加熱しすぎると猛毒を発生します。テフロンが剥げてくるとその下がアルミですから、どっちみち体に悪いのは間違いありません。うちはテフロン鍋は全部処分しました。銅は必要なミネラルと書きましたが、過剰摂取は禁物です。銅の鍋はプロっぽくてカッコいいですが避けたほうがいいです。一方、使ったほうがいいのが鉄鍋です。最近は技術が進んで焦げ付かない鉄のフライパンや中華鍋があります。貧血なども治ります。また、よくあるステンレスやホウロウ、土鍋などは健康的です。このような生活習慣からくる健康被害は何十年もたったときにはじめてわかりますが、後悔しても間にあいません。ぜひご参考ください。

    上江津湖

  • 漢方の講演の準備

    長年漢方を専門にしていると、各地で漢方の勉強会があるので、講演会の演者を頼まれます。それぞれの会の主催者から演題のリクエストがあります。もうすぐ2つの講演をひかているのですが、一つが「心療内科の漢方治療」もう一つが「産婦人科の漢方治療」です。私の講演を聞いてくれる人たちに聞いてよかったと思ってもらえるように話の内容を構成するのは大変です。ただでさえ、毎日臨床に追われて全く時間がありません。仕事、食事、寝る、毎日これ以外何をする時間もありません。

    講演はスライドを使うのですが、だいたい1分で1枚使います。60分なら60枚、90分なら90枚は必要になります。相当な労力です。実は、スライドを作る手間暇もさることながら、全体の話の流れ、構成を考えるのに1ヶ月以上かかります。一度考えがまとまれば、あとはそれを決まった枚数のスライドに仕上げるだけです。今週末は久しぶりに家でゆっくりしたので、あさからノートとペンをテーブルに置いてひたすら考えました。Google検索しながらアイディアを広げていきます。一度考え出すと芋づる式にキーワードは浮かんでくるので、忘れないように目の前にパソコンとiPadを合計3つ立ち上げてそれぞれの画面に検索結果を表示しながら思いついたことを調べていきます。朝から始めて夕方にはA4で5枚位の構成ができました。単純にこれをスライドにすれば25枚位になりますが、あとは検索して膨らましたアイディアをスライドとして肉付けすると60枚位にはなります。

    私の臨床のスタイルは漢方一本ではありません。西洋薬もたくさん使うし、最近はビタミン剤やプロテインも使います。それくらい総合的に取り組まないと難病の患者さんには太刀打ちできません。また、診察中の患者さんとの会話も薬です。カンセリング料をとるほど時間をかけまていせんが、一言一言言葉を選んでいます。愛情を込めて、親しみを込めて、尊敬の念を込めてお一人おひとりと話します。言葉のちからも薬以上に治療になるからです。したがって、私の漢方の講演を聞いて理解してたと思っても、それは私の診療テクニックの全てではありません。

    郡市対抗女子駅伝

  • Q: 血圧の薬は止められますか?

    血圧やコレステロールの薬を飲んでいる患者さんからよく聞かれることがあります。この薬、いつまで飲まないといけませんか?そのうち止められますか?この質問に答えるためには、なぜ血圧やコレステロールを治療しないといけないかを考えないといけません。血圧やコレステロールは多少数値が悪くてもどうもありません。症状がないのに治療するには納得できる理由がほしいのはわかります。日頃の診療中になかなか時間がなくてゆっくり説明できていませんので、ここに書いておきたいと思います。

    むかし、血圧を下げる薬がなかった時代、脳卒中が避けられませんでした。アメリカの大統領でさえ、薬がないため血圧が300近くまで上がって脳卒中を起こした歴史があります。それが今、一日1回薬を飲めば高血圧はコントロールできるようになり、脳卒中はかなり減りました。コレステロールも脳卒中と関連しますが、もっと関連するのは心筋梗塞です。高コレステロールを治療することで心筋梗塞はかなり予防できます。

    人生90年の時代ですから、血圧やコレステロールの薬を飲み始める50歳位の人たちはあと40年生きます。その40年を無病息災で過ごせるかどうかは、血圧やコレステロールをいかにきちんと管理するかにかかっています。放っておいて、60歳位で脳卒中や心筋梗塞になれば、その先90歳まで生きることはできないかもしれませんし、生きたとしても生活の質(クオリティーオブライフ)が著しく低下します。したがって、血圧やコレステロール治療というのは健康で豊かな老後を過ごすための自己投資と考えていただきたいのです。

    A: 薬はやめられるかも知れませんが、あなた次第です。減塩、運動などで薬に頼らずうまくコントロールできるようになる場合もあります。しかし、薬を飲む飲まないにこだわるより、血圧やコレステロールをいかにきちんと管理するかが大事です。

    ソウルの写真は昨日で終了です。日韓関係はいつまでたっても良くない状態で、政治的にはイラつきますが、九州からはすぐ近くにある外国ですから気分転換に旅行するにはいいと思います。