むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 声が枯れるまで話します

    だいぶインフルエンザの患者さんが減ってきました。風邪で来院される患者さんはまだ多いのですが、検査をすると、陰性が多いです。インフルエンザでない普通の風邪のようです。今年のインフルエンザはB型が流行りました。通常年末から年始にかけてA型が流行り、それが一段落すると4月頃までB型が流行るのですが、今年のパタンは非常に珍しいです。今後、B型が収束したあとA型が流行ってくるなんて展開にならないことを祈ります。

    さて、わたしの声が診察中に枯れてしまうことが最近ありますが、これは風邪のせいではありません。私は昔から長く話をしていると声がかれるのです。よく講演で2時間位の話をすると、やはりその後声がかれます。それと同じで、外来患者さんとのお話をしているうちに声がかすれてきます。聞き取りづらかったらすいません。そもそも私が患者さんと話す声のトーンはかなり抑え気味にしています。これは、わざとです。

    よく、病院のドクターは「〇〇さん、今日はどうされました?」と大きな声で話しかける風景を目にしますが、私からすると、どうもそれは演技臭い。「医師という職業人」を演じてしまうと、外来の椅子に座っているのは本物の自分ではなく作られた(医者を演じている)自分であり、患者さんとの間に演じることによるバリアができてしまう様に感じます。私はそれが嫌で、バリアを作らない話し方に徹しています。接客マニュアルにあるようなバカ丁寧な話し方もしません。私は、来院いただいた皆さん一人一人が自分にとっての大事な人であると思いながら話をします。実際にはめったにしませんが、手をにぎって話をしたいようなそんな気持ちです。

    まだまだ寒いですが、日差しがかなり強くなってきました。今年の夏はすごく暑いのではないかと心配しています。

  • レセチェック

    毎月月初めにはレセプト(診療報酬)の書類のチェックがあります。1ヶ月分の診療内容をA4の用紙にプリントしたもので、診療行為や処方した薬に対して適切な傷病名がついているかとか、診療報酬の規則通りの請求ができているかをチェックするのです。今は、レセプトチェッカーというソフトも売られており、そういうソフトの力をかりて短時間に片付けることもできるそうですが、そうはいっても最終的には目で確認して仕上げをしないといけません。

    当院でも、ベテランの事務職員さんたちが細かくチェックしてくれていますが、それを私がもう一度全部見ます。A4用紙で積み上げれば10センチ以上あります。膨大な量のレセプトを、一枚一枚確認します。今月も、この土日に雪降る窓の外を見ながらレセチェックを行いました。土曜の夕方から初めて、日曜の夕方までかかりました。

    それ以外にも、週末にしかできない買い物などあれこれ済ませないといけない用事もあります。平日はクリニックと自宅の往復以外ほとんど何もする時間がありませんので、週末は忙しいのです。それにしても、寒い一日でした。寒いと免疫能が落ちます。体を暖かく保ちましょう。そして、暖房がきいた部屋は空気が乾燥します。乾燥した空気はウイルスを拡散します。風邪の予防は保温と加湿です。

  • 昼休みには何をする?

    当クリニックの昼休みは12時半から午後2時半までの2時間あります。昼食を食べるだけなら30分、ゆっくり休んでも1時間あればいいのでは?と思うかもしれませんね。実は、私は昼休みも休んではいないのです。5分ほどで弁当を食べたら、すぐに往診に出かけます。日によって違いますが、毎日2人から7-8人を訪問診療します。往診が終わってクリニックへ帰ってくるのが2時20分位になりますから、10分位休めばすぐに午後の診療です。訪問診療から帰ってきたときにすでに駐車場がいっぱいになっている時もあります。そういう場合は、午後の診療を10分ほど早めに開始することもあります。つまり、全く休み無しです。

    なぜそこまでして働くのか?別に借金を返すためとか、そういう切羽づまった話ではありません。わたしたち国立大学出の医師は医学部で一人前になるために一人あたり1億円ほどの税金をかけて養成されています。それは、文科省や厚労省から大学や附属病院への補助金として交付されているわけですが、間接的に我々の教育に使われているのです。それを思えば、健康で働ける我々の世代は、汗水たらして文句を言わず皆さんの役に立たなければいけません。それは恩返しでもあり、使命だと思います。

    そして、そういう休み無しで働くために必要なことは、自分の健康管理です。私たちドクターはめったに他の先生に診てもらうことはありませんから、自己管理あるのみです。食事に気を使い、適度な運動をし、ビタミンなどいいと思ったものを積極的に取ります。通勤や往診の際には事故にあって仕事ができなくなっては患者さんや職員全員に迷惑をかけるので、頑丈な車にしか乗りません(残念ながらベンツではありませんが)。そのように、日々プロ根性で働いているのです。

    先週日曜にあった郡市対抗女子駅伝の様子。私もマラソンに出たりしていましたが、クリニック経営者としては事故に遭ってはいけないという思いもあり、過酷なフルマラソンはやめました。最近はもっぱらウォーキングです。

  • 春はすぐそこ

    寒いですね。毎日氷点下のあさです。私の小学生の頃は冬といえばこんな寒さで、霜柱を踏みながら通学していました。それが、いつの頃からかだんだん暖かくなり、冬に氷が張るほどの寒さはたまにしかなくなりました。それが、今年の冬は毎朝氷点下です。むかし懐かしい冬らしい冬です。しかし、そういう中、昼から夕方にかけての日差しは春そのものです。だいぶ明るくなり、日の入りも遅くなってきました。立春ももうすぐです。漢方で言う「陰極まれば陽生ず」です。

    最近はこのブログを見て遠方からいろんな相談に見えます。本当に難しい病気もあります。難しいとはいえ、癌のような不治の病ではないのですが、どう治療していいかわからないような症例です。私も、西洋医学と漢方で縦から横から観察しながら治療の方法を考えるのですが、あまりに難しくてすぐには治療法が思いつかない時があります。そのような場合は、まず治せそうなところから治すというのが原則です。例えば、頭痛、めまい、ふらつき、倦怠感、食欲不振、かたこりなどを訴える患者さんがいます。通常ですと不定愁訴と言って片付けられます。しかし、例えば食欲は治せそうだとか、頭痛、めまいは困っているから第一に治そうとか、そういう部分寛解を目指して治療すると、それなりに成績が出ます。それを繰り返すうちに全体的に良くなります。

    私が漢方の講義をするときに学生さんによく話をするのは、熊本から大分まで一気に行こうとしても、直通のJRはほとんど通っていない。飛行機も飛んでいない。そういうときは福岡経由で行けばいい。最初に進む方向はダイレクトに大分の方向を向いていなくても、ある程度進んでから方向を修正すれば大丈夫です。直通の道ばかり探さずに、行けそうな方向へまず進んでからあとで修正すればいいのです。

  • カウンセリングについて

    当院では、開業当初からの方針として心療内科の患者さんの初診は予約なしでも当日に診ることを貫いてきています。これは、ほかの心療内科のクリニックがどこもいっぱいで1ヶ月待ちなどざらになっている状況で、今困っている患者さんの救いになりたいという思いからやっています。すると、当然というか毎日いろんな心の悩みを抱えた患者さんがたくさんこられます。当院は循環器内科も標榜しており、血圧、糖尿など通常の内科疾患の患者さんも多数こられますので、心療内科にあまり時間を取ってしまうと血圧などの患者さんの待ち時間が増えてしまいます。現在のところ、内科患者さんも心療内科患者さんも分けることなくこられた順番で診察していますが、これ以上心療内科の新患で長時間の診察時間を確保するのは難しい状況です。

    何とか、今困っている患者さんに楽になってもらいたいという願いはあるので、今後も心療内科の新患を受けては行きますが、診察順番を血圧や風邪の患者さんの後にまわっていただく可能性があることをご了承ください。後になるほうがじっくりお話を伺えます。それから、薬はいいからカウンセリングを受けてみたい、と来院される患者さんがおられますが、当院ではカウンセリングだけの診療は致しません。じっくりカウンセリングをする時間は取れませんので、そういう場合は精神科の病院に予約をされるようお願いします。

    それでは、カウンセリングをまったくしないかといえば、そうではありません。わずか数分の診察時間でも、真剣勝負でお話しています。雑談のように聞こえても、実際はそれがカウンセリングです。基本は薬の処方で治療するわけですが、そこにいたる過程での会話は悩める皆さんの生きるヒントをお話しするよう考えています。わずか数分の会話ですから一言ひとことに癒しのパワーをこめています。その私の話をきちんと聞いてもらうために、看護師には診察中に横で雑談しないように厳しく言っています。