むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 若い人の指導は難しい

    本を読んでいて、誤解していたことがあります。「情けは人の為ならず」という言葉ですが、情けをかけるのは人のためにならない、と思っていました。完全に間違いでした。「情けをかけることは、人のためではない。巡り巡って自分に帰ってくる」という話だそうです。びっくりしました。こんな誤解ってありますね。こんな年になるまで知らなかったなんて恥ずかしい。

    昨日、スカッとジャパンというTVをみていたら、喫茶店のブラック店長をギャフンと言わせたい、みたいなコーナーがありました。店長が、新人バイトの子にもっと笑顔で!口角を上げて!もう少し明るめの口紅を使って!接客するときはドレミファソラのラの音階で!」と手厳しく指導していました。どの指導も、至極まっとうだったのですが、言い方が悪かったために新人さんには聞いてもらえず、逆にブラック店長呼ばわりされて、成敗したいなんて・・と思いました。店長の伝え方が悪かったのです。

    最近、新人教育のマニュアルなどでは、まずいいところを見つけて褒める。そして、改善してほしい点を一つ伝える。最後にまた一つ褒める。褒めて指導してまた褒めるというサンドイッチ方式で伝えるようにと言われています。それも面倒な話だと思いますが、おそらく効果的なんでしょう。私が思うに、指導するときに店の収益や社長に対する機嫌取りの姿勢ではだめですが、本人のことを心から思って優しい言葉で伝えれば伝わるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか?いずれにしても、若い人の教育は難しいですね。私には無理、自分には合わない、それってブラックじゃ?みたいな話になりがちです。

  • 分子栄養学実践講座に申し込みました

    私はこの2年あまり、ずっと患者さんに細かい栄養指導やサプリメントを使った治療をしてきました。勉強したのは三石巌先生の著書です。相当たくさんあるのですが、片っ端から買って読みました。おかげで理論的背景はほとんどマスターしたと思っています。この三石巌先生の理論を発展させたのが分子栄養学であり、オーソモレキュラー医学です。この医学は極めて理論だっており、生命活動をオーダーメイド的にハイパフォーマンスにする理論なのですが、わたしたちは医学部でこれほどすごい理論は習っていません。ただ、基礎医学で勉強した生化学の知識で考えればすべて納得いくものです。

    しかし、困ったことに、オーソモレキュラー医学で治療につかうのはほとんどが鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルとビタミン類です。サプリとして手に入るのでいいのですが、保険がききません。我々医師としては保険のきかない治療は本流でないような感覚があり、アウトサイダー的な扱いになりがちです。しかし、実践してみると驚くほど効果的です。しかも、処方箋がいらないので、患者さんに必要なビタミンを指導すれば、あとは世界中どこにいても大抵は自力で治療できます。

    分子栄養学実践講座というものがあり、東京や大阪で土日のセミナーがあるようです。調べてみたら、遠方に済んでいて参加できない人や日程が合わない人はWEB版をどうぞという案内があり、実際にセミナーに参加するより安く全講演をWEBで見ることができます。九州からだと飛行機代、宿泊代などかかります。このシステムは素晴らしいです。早速申し込んでみたら、全講演のビデオがオンディマンドで見ることができます。過去の講義もテーマ別に閲覧できて、なんと全部で60コマ以上の講義が自宅で受けられます。途中で止めてメモしたり見返したりすることもできるのです。嬉しいことこの上ないです。寝る暇が無くなります♫

  • ガンの相談は難しい

    漢方を専門にしていると、いろんな難しい症例が集まってきます。更年期のようなものからガンの相談までいろいろです。毎日相当難しい症例ばかりたくさん見ているので、最近ではあまり悩まずにこの患者さんにはこの処方、と素早く決める事ができるようになりました。とはいえ、がん患者さんなどではこれからあと何年いきられるかわからない不安や残った人生をどう生きるべきかという哲学的なことも含めて意見を求められます。3分診療というわけにもいきません。今日もそのような新患さんが来られたので、一生懸命アドバイスしました。

    最近の医療では、絶対良いという方針はないため、いくつかの方針を示した後にどういう方法で治療したいかよく考えて結論を出してください、と患者さんに最終決定を委ねることもあります。しかし、患者さんは素人なので、なかなか結論に達することができません。私も、新患で初めてお会いした患者さんの性格や生き方、ライフスタイルなど何も知らないで意見を求められても簡単には答えられません。医学的判断というより、人生そのものを総合的に考えて結論を出さないといけないからです。

    とはいえ、せっかく家族も交えてこれからの生き方を相談されると、短い時間ですが必死に情報を集めて私の家族だったらどうしてあげたいかという立場で何らかの結論に導きます。できれば、私から言われたから(しぶしぶ)という感じではなく、お話しているうちに納得してその方向で行きたい、と自ら決定した形に持っていきたいものです。そのほうが、結果どうあれ幸せだと思うからです。

  • 20年前アメリカの医療現場で見たものが今ここにある

    昔アメリカのTVドラマでERという番組がありました。私が医師になりたての頃はやったものです。当時はケーブルテレビで見るか、レンタルビデオで見るしかありませんでした。ERというのは救急救命室という英語の略語で、英語圏の人にとってはだいたいERで通用します。このドラマが一斉を風靡したのは、とてもリアルな描写だったからです。本当に病院の救急の現場はこの番組のとおりなのです。それまでの医療系の番組は名医が難病患者を助ける話などが多かったのですが、このERでは実際の現場のとおり、1−2割の急患は助からずに亡くなります。リアルに番組でそれを再現したところが話題でした。私はアメリカ留学中、集中治療部に所属し、救命救急を毎週まわっていました。当時私は血液凝固異常と急性呼吸不全を研究テーマにしてたため、テキサス大学病院の救急でもそのような患者さんを見てはレジデントに治療方針をレクチャーしていました。

    その懐かしいERの番組が、アマゾンプライムでただで見られるようになりました。見てみると、1995年とあります。なんと25年も前の作品です。救急の現場は25年たった今も同じです。ただ、番組の中の世界と今とでは変わったところがいくつかありました。一つはポケベル、アメリカではページャーとよんでいましたが、医師は全員持っていました。今は院内PHSになり、風景は変わりました。もう一つはレントゲンです。昔はフィルムを現像したものを見ていましたが、今ではパソコンの画面で見ます。デジタル撮影になったからです。

    私が留学していたとき(20年前)、アメリカの大学には今あるレントゲンのデジタル画像があちこちのパソコン端末で見ることができるようになっていました。それを始めてみた時は衝撃でした。また、カンファレンスでつかうスライドが現像を要するフイルムでなく液晶プロジェクターを使い始めたところでした。また、当時ダヴィンチという手術ロボットが導入されて、みんなで見学した覚えがあります。20年たった今、日本もやっとそういったテクノロジーの恩恵を普通に受けられる世の中になったんだなと実感しています。

  • 嗚呼、風邪で病院にかかる日本人

    1.17はあの阪神淡路大震災から25年でした。寒い時期だったんですね。昨日のように思い出します。そしてこの週末はセンター試験ですね。現行のセンター試験は今回が最後だそうです。例年センター試験のときには大雪が降ったりしてたいへんな季節ですが、受験生の皆さんは頑張ってください。

    風邪の患者さんが多いですが、今年はインフルエンザは非常に少なく、検査をしても陽性に出るのは毎日数名です。熱が出てもあわてて来院せず一晩くらい様子を見てから検査を受けましょう。タイミングが早すぎると正しい結果が得られません。私は滅多に風邪を引かないのでインフルエンザの検査も受けたことないです。ちょっと怪しいと感じたらビタミンCを1時間おきに1000mg飲みます。合計8~10gほど飲めばほとんど治ります。また、漢方なら板藍根(バンランコン)です。お茶のように美味しく飲めます。当院向かいの凌雲堂薬局で手に入ります。

    先日バラエティー番組で世界各国出身の人達がひな壇に座ってコメントしていました。話題は、日本に来てびっくりしたこと。アメリカ人が言っていました。「日本人は風邪で病院にかかるんですね。アメリカでは考えられません。寝てれば治るじゃないですか」それはアメリカが医療費が高いからでしょう、と言う話になっていましたが、「寝ていれば治るのにどうして病院に行くの」というのは真実だと思います。家で寝ていれば人に移すこともありません。本当はインフルエンザの検査もタミフルも高齢者や免疫の低下した持病のある患者さん(例えばがん患者)だけでいいのです。若くて元気な人は無駄な医療費を使わないようにしましょう(といいたいけど、学校や職場の人はそれを許してくれないのが日本の変な常識ですね)。

    生花です。何かわかりませんが迫力があります。新高輪プリンスホテルにて